真夜中に舞い降りる純白 ―ゲッカビジン―
「もう寝なさい」
「やだやだやだ! 今日は寝ないもん!」
「ダメです。寝なさい!」
「今日だけは絶対イヤ!」
僕はゲッカビジンの植木鉢を抱きながら、寝ろと催促する親に果てしなく抵抗する。大きく膨らんだ
一夜だけしか咲かない花に、ただ一度だけ会いたくて。寝るわけにはいかない。
「まったく……今日だけよ?」
遂に母親が折れる。これで、この花を咲くのを見届けられる。
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