声には出せないけれど ―クチナシ―

「はいこれ、プレゼント」


 白くな花とかわいらしいオレンジの実を象ったブローチが姿を現す。


「わぁ……!」


 歓声を上げる私を見て彼が笑う。


「もう、こんなにキラキラしたものを用意しなくてもいいのに……」


 きっと高かったろうに。私には、もっとささやかな物でいい。あなたが居るだけで満たされるのに、さらにプレゼントまでなんて。


 恥ずかしくて声に出せないから、と表情で伝える。


 伝わったかはわからないけど。

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