ちゃんちゃんこ色の記憶
今日も高校の生徒会の仕事を終えて池袋駅へ続く通学路を歩く。
途中途中、アダルトな地域であったり暴力団事務所としてテレビニュースで見たことのあるビルを通るが池袋西口特有の問題のため仕方がないだろう。下手にほかの道よりかは道幅も広く街灯も明るいので下校が19時過ぎても安心ではないだろうか?
「気づけば生徒会の執行委員を務めて会長や副会長に仕事を全部投げて優雅にカップラーメンをすする日々だったが就職はどうなるんだろうか。進学なのだろうか。」
そんな漠然とした将来の不安を抱えつつ今日も地下鉄への階段を下っていく。
いつも通りに赤い地下鉄に乗り込んで方南町の自宅まであえて遠回りすることで睡眠時間に充てることができるのである。
次の新大塚までの間にいつも眠りについてしまう。新大塚と茗荷谷を通り過ぎていく。
地上の高架ホームで赤鉛筆でマルバツ三角のつけた新聞を片手に乗り口に待っている僕を見つけた。
やけに悔しがっているが何かあったのだろうか。周りにいる同時に乗ってきている人も悔しがっている人もいれば喜んで嬉々としている人もいるが、何かあったのだろうか。
おそらく、東京ドームの試合の結果かもしれない。同級生にいる野球好きの影響でそうなるんだろう。
列車は本郷三丁目、お茶の水、淡路町と列車は進む。
今度はちょっと高そうなスーツを身に着けて秘書らしき人とともに歩く僕を俯瞰している。丁度、和菓子屋で一服を終えお客様らしき人物と黒塗りの高級車で移動を開始している。
今、学校で流行っているアニメキャラクターの家としても登場しているこのお店である。
先日、同級生たちと聖地巡礼と称して訪ねていたが、その時と雰囲気が変わらずに存在をしているお店だが俯瞰してみている僕と周辺の雰囲気だけが変わっている。
赤い地下鉄は変わらずに走り続ける、大手町、東京と列車は滑り込む。
今度は本来、高速道路があるはずの場所が公園のようになっていて、そこに買い物を終えた様子で座っている僕を見つけた。どうやら歩きすぎて足を痛めたらしい。
足をさすりつつ銀座の夕焼けに照らされる明かりを眺めていた。
一瞬、銀座の光景が驚きだったために目が覚めた。どうやら今までのはユメだったらしい。
みてきた内容と現実の列車現在地がリンクしているのは偶然だろう。次は霞ケ関だと車内放送が言う。
そして、日々の学校生活の疲れからか、再び眠気に勝てるわけでもなく、乗換予定の中野坂上まで再び眠ることにした。
国会議事堂前を過ぎて、四ッ谷のホーム直前に地上に出るが、あたりは真っ暗である。
そして、ホームに入ると仕事帰りの僕を見つけた。
日々の激務だったのだろうか目の下も軽くクマができており、全体的に活気がなく同じような人々の渦に飲まれるように列車に乗り込んでいた。
四谷三丁目、新宿御苑前を過ぎて新宿三丁目に到着をする。
突然、バーの光景が浮かんだ。おそらく歌舞伎町かどこかのバーだろう。
お酒を飲みつつ、マスターの揃えている珍しいウイスキーを舌の上で遊ばせながらマスターとたまたま居合わせた気さくな常連さんのとんとん拍子で進む会話をBGMに夜更けを待っていた。
列車はそのまま新宿、西新宿と過ぎていたらしい。目が覚めると、新中野駅を発車しており、次は新高円寺とドア上の案内が表示されている。
寝過ごしである。
寝方が悪かったのか足がしびれて立てずに新高円寺を出発しそのまま南阿佐ヶ谷を過ぎて荻窪に到着をした。
降りても仕方ない、寝過ごしのために折り返す。
今度は寝ずに、中野坂上に到着をした。
ここで目的地である自宅への列車に乗り換える。中野新橋、中野富士見町を過ぎれば終点の方南町である。
方南町駅の改札では年老いた妻と遊びに来ていた息子夫婦と孫が待っていた。
今日は僕が高卒からずっと務めていた会社の定年退職日。
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