第18話 壱八

「皆さん、行きますよ!」

そう言って、勢いよく飛び出していったのはいいのですが、そこにいたのはオークではなく、

ゴブリンの群れだったので拍子抜けしてしまいましたよ。

ただ、数が多いので油断はできないでしょうね、とにかく、片っ端から倒していきますか、そう思っていた時でした。

突然、背後から何者かに襲われてしまい、気を失ってしまうという失態を犯してしまいましたが、

幸いなことに命を失うことはなかったようですね。

ですが、目を覚ますと、両手両足を縛られていて身動きが取れなくなってしまっていました。

しかも、目の前にはアルヴェルスが立っていました。

彼は、私を見下ろしながら、ニヤニヤと笑っていて気持ち悪いんですよね、

本当に、今すぐにでも殴り飛ばしてやりたい気分なんですけど、それができないというのがもどかしいところです。

「英里は俺の妻何だし、何故、共に行動しないんだ?」

「別に、一緒にいなきゃいけない理由なんてないと思いますけど」

と答えると、彼は不機嫌そうな顔をしながら、こちらを睨みつけてきたので、思わず怯んでしまいましたが、

何とか堪えることに成功しました。

そして、再び話しかけようとしたその時、急に抱き寄せられてしまいました。

抵抗しようと思いましたが、何故か力が入らず、されるがままになってしまいます。

どうしてでしょうか、まるで、彼に魅了されてしまったかのような感覚に陥ってしまいます。

このままではまずいと思った私は、必死に抵抗するのですが、上手く力が出ないせいで抜け出せそうにありません。

それどころか、どんどん強くなっていくばかりで、もう駄目なのかと思って諦めかけたその時でした、

アルヴェルスの動きが止まりました。

一体どうしたのかと思って見てみると、

「君にこんな事をして申し訳ない、そのな、妻にこういう事をしてはいけないな、今、縛られているのを解くよ」

と言って、縄を解いてくれました。

助かったと思い、ホッとしていると、突然、キスをされました。

しかも、舌を入れられてしまって、口の中を舐め回されてしまいました。

そのせいで、頭がボーッとしてきてしまい、何も考えられなくなってしまうほどでした。

それから暫くして、ようやく解放されたと思ったら、いきなりキスされちゃうのです。

「んぐっ!?」

突然のことで驚いてしまいましたが、次第に慣れてくると、自分から舌を絡めるようにしていました。

そうして、お互いの唾液を交換し合っていると、突然、唇を離されて、名残惜しく感じましたが、我慢することにしました。

「英里の唇は柔らかいな」

「ありがとう、アルヴェルスのも柔らかくて好きだよ」

と言いながら、もう一度、キスをしてもらいました。

今度は舌を入れるのではなく、軽く触れる程度のものでしたが、それだけで十分すぎるほど興奮してしまいました。

その後も何度も繰り返していると、段々とエスカレートしていき、最終的には、ディープキスまでするようになっていました。

流石にやりすぎてしまったせいか、疲れ切ってしまったのか、その場に座り込んでしまいました。

そんな私を見て、心配してくれたようでした。

なので、大丈夫だという事を伝えるために微笑んであげると、安心した様子でした。

その後は、お互いに見つめ合ったまま固まってしまっていたのですが、先に動いたのは彼の方でした。

ゆっくりとこちらに近付いてきたかと思うと、

「んっ……」

突然の出来事に驚きながらも、なんとか声を出すことだけは我慢できたようです。

というのも、彼が私の首筋に吸い付いてきて、そのまま離れようとしなかったのです。

最初は痛みがありましたが、徐々に慣れてきたのか、あまり気にならなくなりました。

むしろ、気持ちよくなってきましたね、それに、なんだか幸せな気分になってきますよ、

このままずっと続けばいいなと思っていましたら、今度は、耳の中に舌が入ってきて、

ゾクゾクとした感覚が襲ってきまして、とても変な気分になりますね、これが俗に言う快楽というやつなんでしょうか。

まあ、どうでもいいことですけどね。

それよりも今は彼との時間を楽しみたいと思っていますので、邪魔しないでくださいね。

「なぁ、英里、実はな、新しい魔王が誕生しそうなんだ、一緒に討伐してくれるよな? 君は女神の力もある訳だし……な……」

「はい、勿論ですとも、アルヴェルスのためならば、たとえ火の中水の中、何処へでも駆けつけますよ!」

と言うと、嬉しそうにしていました。

私も嬉しくなりましたが、それ以上に興奮してしまい、つい、抱きついてしまいました。

そうすると、彼もそれに応えてくれるように抱き締め返してくれたので、更に気分が高揚しましたね。

暫くの間、そうしていたのですが、いつまでもこうしていたいという気持ちとは裏腹に、

時間は過ぎていってしまうので、そろそろ終わりにしないといけないですね。

そう思った私は、彼から離れて、こう言います。

「アルヴェルス、魔王討伐に向かいましょう!」

それを聞いた彼は、頷いてくれたので、私達は、街を出ることにしました。

まずは、情報収集をするために酒場に向かったのですが、そこで、思わぬ収穫があったんです。

なんと、勇者様達が、この街に向かっているという情報を入手したんですよ、これはチャンスだと思いましたね。

だって、彼らがいるということは、他の仲間もいるということですから、彼らを仲間にできれば、

魔王討伐が楽になることは間違いないでしょうからね。

それに、もしかしたら、あの女性も一緒に来ているかもしれませんし、そうなると、心強い味方が増えてくれることになりますね。

ただ、問題なのは、どうやって彼らと出会うかですよね。

下手に動いてしまうと、警戒されてしまう恐れがあります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る