第17話 壱七
「もっと深いキスをしてあげるよ」
「お願いします」
返事をすると、アルヴェルスは、唇を重ねて来ました。
舌を入れられ、口の中を舐め回されると、それだけで気持ちよくなってしまいます。
暫く続けていると、ようやく解放されました。
「アルヴェルス、これからどうしましょう」
「そうだね、取り敢えず、何処かに泊まろうか?」
そう言われたので、近くにある宿屋を探して、泊まることにしました。
部屋は別々に取るつもりだったんですが、お金が勿体ないということで、同じ部屋になりました。
「アルヴェルス……そのね、あのね、キスして欲しいの」
「うん、いいよ、いっぱいしてあげるからね」
と言って、抱き締められると、そのままベッドに押し倒されてしまいました。
そして、キスをしながら服を脱がされていきます。
あっという間に下着姿にされてしまった私は、恥ずかしさのあまり手で隠そうとしましたが、
その手を掴まれてしまい、頭の上で押さえ付けられてしまいます。
そうして、その後はアルヴェルスとは朝方になるまで愛し合いました。
「おはよう、よく眠れたかい?」
と聞かれたので、正直に答えることにしたのです。
そうすると彼は嬉しそうに微笑んでくれました。
そんな彼を見ていると、私も嬉しくなりました。
それから、一緒にお風呂に入り身体を綺麗にした後、着替えてギルドに向かうことになりました。
まずは朝食を食べるために酒場に行く事にしたのですが、その時に、冒険者達の視線が私達に向けられている事に気付きました。
ですが、それも仕方のないことでしょう。
何故なら、今の私達の格好はとても人には見せられないような格好でしたから、こんな姿を見られたらきっと幻滅されてしまうでしょうし、
最悪、襲われてしまうかもしれませんよね。
なので、なるべく目立たないようにしながら移動していたのですが、途中で、一人の男性に話しかけられました。
その人は、確か、以前にパーティーを組んでいた人でした。
名前は忘れてしまいましたけど、顔は覚えていますよ。
ただ、今は、会いたくなかったですけどね。
だって、今の私の姿を見られたくないですから、できれば関わりたくありませんが、無視するのも失礼ですし、
どうしたものかと考えていましたら、向こうから話しかけてきてくれましたよ!
これはチャンスだと思い、適当に相槌を打ちながら会話を続けていきました。
「ところで、そちらの方は彼氏さんですか?」
と言われたので、思わず動揺してしまい、言葉が詰まってしまいました。
そうすると、アルヴェルスが代わりに答えてくれたのですが、その内容を聞いて更に驚く事になりました。
「英里は俺の妻でもあり、パートナーだな」
「アルヴェルス恥ずかしいですよ、人前でそんな事を言うなんて」
「隠す事でもないしな」
と笑いながら言われてしまい、顔が熱くなっていくのを感じました。
そんなやり取りをしている間も、男性達は何か言っていたような気がしますが、
私には聞こえなかったので、そのまま放置しておきました。
そうすると、ようやく満足したのか去って行ってくれたので、ホッとしましたよ。
その後、私達は、食事をするために酒場に向かいました。
注文を済ませると、料理が届くまで待つことにしました。
その間、他愛もない話をしていると、突然、彼が立ち上がって何処かに行ってしまいました。
どうしたんだろうと思いながら待っていると、数分後に戻ってきたのですが、何故か、女性を連れて戻ってきました。
しかも、その女性は、私と同い年くらいの子でしたので、とても驚きましたね。
一体どういうことなのかと尋ねてみたら、どうやら、彼女は私のファンらしく、サインが欲しいということだったので、
快く了承してあげました。
嬉しそうにしていましたので、良かったです。
こうして、楽しい食事の時間を過ごすことができたのですが、そろそろ宿に戻ろうという話になったので、
帰ることにしました。
帰り道の途中で、さっきの女性に呼び止められてしまったのですが、何だろうと思っていたら、
何と彼女も、私と同じ転生者だったようです。
それで、色々と話を聞かせてもらったところ、この世界は魔王に支配されているらしいのです。
そこで、彼女が提案したことは、まず、仲間を集めることなのでした。
「勇者様の仲間に相応しい人を探すにはどうしたらいいのかしら?」
と聞いてきたので、私が知る限りの事を教えてあげたら、喜んでくれたようで何よりでした。
すると、今度は私に質問してきたのですが、何と答えたものか悩んでしまったので、
取り敢えず、当たり障りのない答えを返していくことにしたんです。
そうしたら、納得してくれたみたいで一安心ですね。
それにしても、彼女の名前って何でしたっけ?
うーん、思い出せませんねえ、まあ、別にいいでしょう、そのうち思い出すはずですしね。
それよりも、彼女について詳しく聞いてみましょうか、もしかしたら知っているかもしれませんからね。
そう思って聞いてみたのですが、やはり知らないそうです。
困りましたね、これでは情報が得られないじゃないですか、仕方ないので、自分で調べるしかなさそうですねぇ……ってあれ?
そういえば、アルヴェルスはどこに行ったのでしょうか、姿が見えないんですけど、もしかして迷子になってしまったんでしょうか、
それなら大変ですよね、早く探しに行かなくてはいけませんね、というわけで早速行動開始しましょう。
とはいえ、どこを探せばいいのか分かりませんし、闇雲に探しても時間の無駄になってしまうだけですからね、
ここは慎重に行動する必要がありますね、さて、どうやって探すべきか考えましょうか。
とりあえず、この辺り一帯を探索するのが一番手っ取り早い方法だと思いますけどね、それでは早速出発しましょうか。
まずは、街の中を歩いて回ってみることにしますかね、といっても、それほど広くはないんですけどね。
でも、歩き回れば何かしらの情報は得られると思うんですよ、それに、もしかすると、誰かと遭遇できるかもしれないので、
そうなれば、仲間に誘うこともできるかもしれませんよね、というわけで、頑張っていきましょう、おー!
暫く歩いていると、何やら騒がしい音が聞こえてきたので、気になって行ってみることにしたのです。
するとそこには、大勢の人が集まっていたため、何があったのか聞いてみることにしました。
そしたら、なんでも魔物が現れたらしくて、討伐隊を編成している最中なんだとか、
ちなみに、誰が参加しているのかと聞いたら、なんと私の名前が挙がったではありませんか。
これにはびっくりでしたね、まさか、自分が呼ばれるなんて思っていませんでしたから、
ですが、ここで断るわけにもいきませんよね。
なので、参加することにしました。
そして、すぐに準備をして向かうことになったのですが、その際に、ある人物に会いました。
それは、以前パーティーを組んでいた人でした。
彼は、私のことを覚えていたらしく、声をかけてきたのですが、私は無視して先を急ぎました。
何故なら、一刻も早く終わらせたかったからです。
しかし、それでもしつこく話しかけてくるものですから、いい加減にして欲しいと思い、怒鳴りつけてやりました。
これでようやく静かになったので、安心して目的地に向かうことができそうですね。
そうこうしているうちに、目的の場所に到着したみたいですね、そこは洞窟のような場所でしたが、
中に入ると、奥の方から何かが這いずるような音が聞こえてきました。
恐らく、この奥にオークがいるのでしょう、気を引き締めなければいけませんね。
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