第16話 壱六
というのも、どうやって混ぜたらいいのか分からないのです。
試しにやってみた結果、どうやら、すり鉢を使う必要があるみたいなので、用意しました。
そして、作業に取り掛かりました。
そうすると、少しずつですが、混ざり合ってきました。
それを見て、これなら大丈夫そうだと思い、更にペースを上げてかき混ぜていきます。
暫く続けていると、ようやく完成しました。
完成したものを瓶に移し替えて、蓋をして、しっかりと封をすると、それを大事に保管しておくことにしました。
翌日、出来上がった薬をアルヴェルスに飲ませると、効果はすぐに現れました。
「すごい! 何だか力が漲ってくるようだ!」
と言って、喜んでいましたが、それも当然でしょうね。
なにせ、この薬は、飲んだ人の性欲を高める効果もあるのですから。
しかも、即効性があり、持続時間も長いので、丸一日は効果が続くそうですよ。
その証拠に、さっきから、私の胸ばかり見てきます。
その視線に気付いた私は、恥ずかしくなって顔を背けたのですが、彼が、背後から抱きしめてきました。
最初は、抵抗しようとしたのですが、次第に力が抜けてきて、されるがままになってしまいました。
「英里、キスしような」
「はい……」
返事をすると、彼は唇を重ねてきました。
舌を絡ませ合い、唾液を交換し合いながら濃厚な口付けを交わしていると、
やがて満足したのか離れていきました。
そうすると今度は、首筋や胸元に吸い付いてきて跡を付けていくのです。
「アルヴェルスやめて!」
「嫌だ! 絶対にやめない!」
そう言って私の服を脱がせていき、とうとう下着姿にされてしまいました。
そして、そのまま押し倒されると、再びキスをされました。
「本当にやめなさいっ! やめないと婚約を破棄してもいいの?」
「やれるものならやってみるがいいさ」
そう言うと彼は、ニヤリと笑いました。
その瞬間、私は絶望に打ちひしがれていました。
なぜなら、彼には何を言っても通じないことがわかったからです。
もう諦めるしかないと思った私は、大人しく従うことにしました。
そうすると、彼は、満足そうに微笑むと、再び私に覆い被さってきたのです。
「英里が大好きなキスをしてあげるなっ!」
「はい……」
私が頷くと、彼は嬉しそうに笑ってくれました。
そして、優しく頭を撫でてくれたあと、ゆっくりと顔を近づけてきたかと思うと、いきなり唇を奪われてしまいました。
彼の舌が侵入してきて、口内を舐め回されていきます。
それだけでも気持ちいいのですが、さらに激しく吸われてしまい、頭が真っ白になりそうになりました。
それでも必死に耐えていると、ようやく解放してくれたので、ほっとしていると、今度は、首筋に吸い付かれてしまいました。
「もっとキスしてあげるよ」
と言われながら、何度も繰り返し舐められたり甘噛みされたりしているうちに、いつの間にか眠ってしまっていたようでした。
翌朝目が覚めると、隣には誰もいませんでした。
慌てて部屋から出ると、既に朝食の準備が出来ていたので、急いで食べました。
その後、部屋に戻って支度を済ませた後、宿屋を出て、冒険者ギルドに向かいました。
そこで依頼を探していると、ちょうど良さそうなクエストがあったので受けてみることにしました。
内容は、ゴブリン退治だったので、受付嬢さんに聞いてみたところ、ここから歩いて二時間ほど行ったところにある森にいるそうです。
なので、さっそく向かうことにしました。
暫く歩いていると、目的地が見えてきましたが、何やら様子がおかしいように感じます。
気になったので近づいてみると、そこには大きな洞穴がありました。
中を覗いてみたのですが、真っ暗で何も見えませんでした。
仕方がないので引き返すことにしました。
しかし、途中で道が分からなくなってしまい、彷徨っているうちに日が暮れてしまったため、仕方なく野宿することにしました。
そうすると、どこからか物音が聞こえてきました。
気になって音のする方に向かって歩いていくと、そこにいたのは一匹のオークでした。
「ブヒィィィ!」
叫びながら襲いかかってきたので、咄嗟に避けると、近くにあった木の棒を拾って構えました。
そうすると、向こうも武器を構えて向かってきたので、こちらも応戦します。
相手の攻撃を避けつつ、隙を突いて反撃に転じますが、なかなか当たらず苦戦を強いられています。
そんな時、ふと、昨日のことを思い出しました。
そういえば、あの精力剤を飲んでから体が熱い気がするんですよね……。
それに、何だかムラムラしてくるというか、無性に誰かを抱きたい気分になってくるんです。
そんなことを考えている間にも、オークの攻撃は続き、段々と追い詰められてしまっています。
このままではまずいと思い、何とかしないといけませんね。
そう思い、身構えた時でした。
突然、後ろから抱きつかれてしまったのです。
驚いて振り返ると、そこに立っていたのはアルヴェルスでした。
彼は、私の唇にキスをしてきました。
突然のことで驚きましたが、同時に嬉しさが込み上げてきました。
「アルヴェルス……キス有難う、そこで待ってて下さい、神の力を使いオークをすぐ倒すので」
と言うと、彼は頷いてくれた後、その場に座り込みました。
それを見た私は、早速、力を解放しようと詠唱を始めようとしたその時、突然、腕を掴まれてしまいました。
何事かと思って見てみると、それは彼の仕業のようでした。
どうしたのかと思っていると、次の瞬間、信じられないことが起こりました。
なんと、私を押し倒してきたのです。
これには、さすがに驚きましたね。
まさか、そんなことをされるとは思ってもいなかったので戸惑っていると、彼は、こう言ってきました。
「英里、キスしてあげるよ、それとオーク何てほっとけ」
「え!? あ、あの……その……」
どうしようかしら?
流石に恥ずかしいわよ。
でも、せっかくだし、お願いしてみようかな……?
そう思ってしまった私は、結局、受け入れることにしたわ。
だって、好きなんですもの仕方ないわよね。
というわけで、彼とキスをすることになったんだけど、これが想像以上に恥ずかしかったのよ。
だから、つい顔を逸らしてしまったのだけれど、それを許さないとばかりに顔を押さえつけられてしまって、
「駄目じゃないか、ちゃんとこっちを見なきゃ」
と言われてしまいました。
そう言われてしまうと逆らうことなんてできないので、大人しく従いましょう。
それからというもの、何度もキスされたせいで唇が腫れあがっている気がしていますが、まだ足りないみたいです。
次はどんな風にしてくれるのか楽しみですね。
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