二〇二五年
第17食 汗だくだく涙そうそう、辛さチャレンジ・レヴェル1:エチオピア高田馬場店(東京・早稲田)
二〇二五年の年が明けてから、書き手は、とある計画を密かに推し進めていた。
一月は、ランチ時に外食の為の時間をつくり易かったのが木曜日であったという事情もあって、書き手は〈木曜日〉にランチ・カレーを始めたのだが、仕事場近くの店、『エチオピア カリーキッチン 高田馬場店』に何回か通っているうちに、ある企画を思い付いてしまったのだった。
昭和六十三年創業の老舗カリー店『エチオピア』は、二〇二五年四月現在、神保町の本店を含め、「アトレ秋葉原1店」、「御茶ノ水ソラシティ店」、「高田馬場店」の四店が東京都内で展開されている。
『エチオピア』のホーム・ページによると、「カリーキッチン」の名が含まれている支店三つは、「本店同様のこだわりのインドカリーはもちろんのこと、欧風カレーやカレーに合う様々なサイドディッシュやドリンク」が用意されているそうだ。そして、書き手が通っている高田馬場店は、「インド風カリー」と「欧風カレー」に大きく分かれており、これらに「ドライカレー」と「牛すじカレー」が加わる。
さて、書き手が思い付いた密かな企画とは、メニュー一覧から様々な品を選びつつ、辛さを〈1〉から一つずつ上げてゆく、〈辛さチャレンジ〉で、まずは、その第一段階として、辛さ〈10〉を目指すものであった。
ちなみに、『エチオピア』において、書き手がいかなるカリーを何倍で食したかは、この稿の末に記しておいた。
ところで、二〇二五年五回目の訪問の折に、書き手は「牛すじカレー」を注文してしまったのだが、実は、『エチオピア』において「0~70倍まで辛さの度合い」の変更ができるのは、インド風〈カリー〉だけで、メニュー表にも確かにそう書かれている。
書き手は、この企画において、〈辛さチャレンジ・レヴェル1〉として、〈01〉から〈10〉倍の辛さに挑んでいる、というのに、一月から四月頭にかけての訪店回数が〈十一回〉だったのは、企画中に一度、辛さが変更できない「牛すじカレー」を注文してしまったからで、これは、完全に書き手の見落としであった。
とまれかくまれ、〈辛さ〉を求めて、『エチオピア』を訪れる読み手の方は、辛さの変更ができるインドカリーを間違えずに注文するように注意していただきたい。
さて、今回の企画、〈辛さ第一段階〉においては、一度、〈豆+野菜〉のメニューを注文したものの、メインの具材がコラボではない品を注文してきたのだが、肉やエビをメインにしたカリーは、これらを主たる具にしつつ、豆や、細かく切られた玉ねぎ、ピーマンなども入っている、ワンプレートの〈ライス・カリー〉になっている。
これに対して、「豆カリー」や「野菜豆カリー」など、〈豆〉を軸としたカリーは、カリーとライスが別皿の〈カリー・ライス〉スタイルになっており、豆を軸としたカリーのみ、注文できる辛さは三倍からで、つまり、〇番や一番・二番といった、比較的、舌に優しいカリーは注文できないのだ。『エチオピア』のカリーは食べたいが、辛いのが苦手な読み手の方で、ベジタリアンやヴィーガン向けとも言い得る、豆のカリーを食べたい方は、この点に注意していただきたい。
いずれにせよ、諸事情で訪店の期間が開いてしまったり、直近の二回のように、水・木の二日連続で訪れたケースもあったのだが、書き手は、原則として週一、木曜日に『エチオピア』を訪れ、そのたびに辛さを一つ一つ上げてゆき、徐々に、身体が辛さに慣れてゆくようにしていった次第なのだ。
この企画中に書き手が残してきたメモによると、「辛さ1でも頭から汗」と書かれていた。
公式ホーム・ページによると、『エチオピア』では「12種のスパイス」が使われている、と書かれており、ちなみに、神保町本店には、具体的にそれらのスパイス名と効能が示されている。
その十二種類とは、「カルダモン」、「コリアンダー」、「しょうが」、「唐辛子」、「シナモン」、「キャラウェイ」、「フェンネル」、「クミンシード」、「ターメリック」、「胡椒」、「クローブ」である。
このうち、発汗作用があるとされているスパイスは、「カルダモン」、「唐辛子」、「シナモン」、「胡椒」で、つまり、『エチオピア』のカリーには、なんと四つも入っている分けだ。
ところで、『エチオピア』のカリーを構成するスパイスが分泌させる体液は頭皮や額から吹き出る多量の汗だけではない、
これは、〈辛さ03〉を注文した時から生じた現象なのだが、汗に加えて涙も溢れてきて、止まらなかったのだ。
これはどういった事か?
「スパイス」や「涙」をキーワードに調べてみたところ、カプサイシンを含んだ食べ物を摂取すると、粘膜が傷ついて涙が出やすくなる、とあった。
唐辛子の辛さを示す値が〈スコヴィル辛味単位(SHU)〉で、現代においては、科学的に計測されたカプサイシンの量を〈スコヴィル値〉に置き換え、辛さのレヴェルを示しているそうだ。
『エチオピア』が、いかなるスコヴィル値の唐辛子を使い、いかにして、辛さの値を変えているのかは分からないが、いずれにせよ、『エチオピア』では、辛さ値を上げれば上げれほど、汗はダクダク、涙はソウソウになってゆくのを、書き手は、この十回の辛さチャレンジを通して体験したのだった。
〈訪問データ〉
エチオピア高田馬場店:東京都新宿区早稲田、最寄り:東京メトロ早稲田駅(徒歩十五分)、現金支払
01:一月九日(木)十一時半、 辛さ01・ビーフカリー、 九八〇円
02:一月十六日(木)十一時十五分、 辛さ02・野菜カリー、 一〇三〇円
03:一月二十三日(木)十一時十五分、 辛さ03・豆カリー、 九八〇円
04:一月三十日(木)十一時十五分、 辛さ04・野菜カリー、 一〇三〇円
05:二月六日(木)十三時二十分、 辛さ無・牛すじカレー、 九二〇円
06:二月十三日(木)十一時半、 辛さ05・野菜豆カリー、 一〇八〇円
07:三月六日(木)十一時十五分、 辛さ06・豆カリー、 九八〇円
08:三月十三日(木)十四時、 辛さ07・ビーフカリー、 九八〇円
09;四月三日(木)十三時半、 辛さ08・野菜カリー、 一〇三〇円
10:四月九日(水)十四時十五分、 辛さ09・ラムカリー、 一〇七〇円
11:四月十日(木)十四時半、 辛さ10・エビカリー、 一一四〇円
〈参考資料〉
〈WEB〉二〇二五年四月十一日閲覧
『カリーライス専門店 エチオピア』
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