第011食 謹んで食させていただきます:東京スリランカ(東京・有楽町)名店会その3
名店会の五店盛りの中には、「東京スリランカカレー チキンカレー」というラインナップが認められる。だが、たとえ調べてみても、東京都内に同名の店舗の存在を確認する事はできない。
それもそのはず、この「東京スリランカカレー チキンカレー」は、「横濱カレーミュージアム初代名誉館長」で、「元祖カレー研究家」である「小野員裕」氏の監修の下に作られた製品だからだ。
小野さんのブログでは、二〇二三年八月付けの記事にこのレトルトカレーについての言及があり、また、商品を取り扱っているサイトによると、発売開始は八月十八日で、つまるところ、「東京スリランカ」は、誕生から未だ一年も経過していない、出来立てホヤホヤなカレーなのである。
商品関連のサイトによれば、「ココナッツミルクをベースにトゥナパハ(スリランカのカレー粉)を使用」している、との事である。
それでは、この「東京スリランカ チキンカレー」を食すには、通販で注文するか、あるいは、取り扱い店舗である『東急ストアー』で買う以外に手段はないか、というと、必ずしもそうではなく、実は、直接食する事ができる店が東京都内に存在しており、それが、言わずもがな、有楽町の『東京カレー屋名店会』なのである。
二〇二四年四月二十三日・火曜日・夜、新橋で用事を済ませた書き手は、そのまま徒歩で有楽町に向かった。
時刻は九時少し前、昨今では、この時刻には既にラスト・オーダーを終えてしまっているカレー提供店も多い中、夜九時でも未だ、カレーを食べられる安心と信頼の店があり、それが『名店会』なのだ。
前回の共栄堂から僅か中五日での直接訪店で、いささかハイペースのようにも感じられるのだが、まあ、こういったものはタイミングである。
有楽町の隣である新橋に来ていたのも何かの縁、かくして書き手は、企画二店目として「東京スリランカ チキンカレー」を有楽町の名店会で食す事にしたのであった。
店に到着するや、メニューを見ること無く、「東京スリランカカレー」を注文した書き手は、その提供を待つ間、卓上のメニューを眺めていたのだが、五店盛りに関しては、その構成店や品も、四月末の時点では変化はなく、メニュー内容も同じであった。果たして、メニュー変化のローテーションのスパンはどのくらいなのだろう、と思っているうちに、注文した品と、サービスのマンゴープリンが提供された。
トレイに載せられてきたのは、別々の容器に盛られたライスとカレーで、白い皿の上のライスは舟型、銀のグレイビーポット内には肉厚のチキンがゴテッと入っており、カレーの色はスタンダードな茶色であった。
まず、カレーにスプーンを入れ味わってみたのだが、カレーは、サラサラというか、ジャバジャバという印象で、なるほど、この液状のシャバシャバ感が、まさに、ザッツ・スリランカカレーなのだろう。
それにしても、共栄堂もデリーもそうなのだが、名店会のカレーは、液状でシャバシャバな品が多い印象だ。これには何か、五つのカレーに通底するコンセプトのようなものが存在するのであろうか?
是非とも考えてみたいものである。
追記
後日、「東京スリランカ チキンカレー」を監修した小野さんのブログを読んでいた時、五月初旬に小野さんが急逝された事を知った。
この場を借りる事になるが、謹んで御冥福を祈りたい、と思う。
〈訪問データ〉
東京カレー屋名店会・有楽町イトシア店:東京・有楽町
二〇二四年四月二十三日・火曜、二十一時
東京スリランカチキンカレー:九九〇円(現金)
〈参考資料〉
〈WEB〉二〇二四年七月六日閲覧
「新しいレトルト『東京スリランカチキンカレー」を作りました』」(二〇二三年八月二十五日付)、『元祖 カレー研究家 小野員裕』。
「国分首都圏、『東京カレー屋名店会 東京スリランカチキンカレー』の取り扱いを開始」、二〇二三年八月十六日付、『国分グループ本社株式会社』。
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