【18】転福為禍のインヴォーカー ~「嫌いだから一緒に旅はできない」と言われた俺と、言ったボク~ (三鞘ボルコム) 読みながら感想


【18】転福為禍のインヴォーカー ~「嫌いだから一緒に旅はできない」と言われた俺と、言ったボク~(三鞘ボルコム)

https://kakuyomu.jp/works/16817330669307554527



十八番目の参加者は、三鞘ボルコムさん。

作品は「転福為禍のインヴォーカー ~「嫌いだから一緒に旅はできない」と言われた俺と、言ったボク~」です。


三鞘さんは私と同じ批評企画をされておられます。こちらは「激辛批評」を名乗っておられて、「じっくり正直」を旨とするうちの企画とは路線が違うかと思っていましたが、お話すると好きで激辛にしているわけではないとのこと。だとすれば主旨は近しいのかもしれません。うちも許容限界超えるとオブラートが尽きるだけですし。


そんな三鞘さんの参加コメントはこちら。



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初めまして、三鞘ボルコムと申します。

実は私は「激辛批評」なる企画をしておりまして、「批評される側の気持ちが知りたい」と思いましたので参加を決意いたしました。


・作品名

『転福為禍のインヴォーカー ~「嫌いだから一緒に旅はできない」と言われた俺と、言ったボク~』

https://kakuyomu.jp/works/16817330669307554527


長編作ですが、オープニング~第2話で約9000文字となってますので、そこまでの批評をお願いしたく思います。


・特に意見が聞きたい部分。

第1話~第2話でPV数が4割以上も落ちております。(342から190)

いくつか原因は推察してはいるのですが、ぜひ梶野カメムシさまのご意見も賜りたく思います。


・「梶野ならこう書く」具体的なアドバイスが欲しいか。

反映できるかどうかは分かりませんが、お聞きしたく思います。


・学生(中高生以下)かどうか。オブラート増量します。

オッサンです。

「激辛批評」の作者をやってますので遠慮は不要です。


これが私の処女作になりますので拙いかとは思いますが、どうぞよろしくお願い致します。


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>「批評される側の気持ちが知りたい」と思いましたので参加を決意いたしました。


どうですか、この立派な参加理由。批評者の鑑だと思います。私も見習いたいところですが、よく考えたら周囲に辛辣なメンバーしかいないので、参加する必要がないことに気がつきました。常在戦場ってやつです。だが、そこがいい。


激辛になるかはまだわかりませんが、さっそく読んでみましょうか。

それでは「じっくり感想」、始めます。



⬜️読みながら感想

二読後の感想を、読みながら書きます。(2話まで)



>オープニング 「10年後の決別」


>左頬に傷跡のある茶髪の青年・ユーキの部屋に訪れた金髪碧眼のアレクは少しの逡巡しゅんじゅんの後に、いつもとは違う固い口調でそう言った。


長文に描写を重ねた悪文。私なら外見描写は後に回します。

ユーキの部屋「に」は「を」の方が適切です。(用例はあり絶対ではないが少数)


また、この説明はアレクの発言を受けてのものなので、直前が

>「……は? なに言ってんだアレク?」

と、ユーキの台詞になっているのは違和感があります。


以上を踏まえて、冒頭を私が書くなら、


[「ユーキ、残念だけどキミとはここでお別れだ」

 ユーキの部屋を訪れたアレクは、少しの逡巡の後、いつもとは違う固い口調でそう言った。

「……は? なに言ってんだアレク?」

 2人は幼馴染であり、その付き合いは10年にもなる。~]


>誇張ではなく半生を共にした知己ちきと言えるだろう。


「知己」は「自分をよく理解してくれている人。親友」という意味ですが、「単なる知り合い」という使われ方もする言葉です。

絶対に「知己」を使う必要のある場面ではないので、「親友」「仲」などで代用した方が引っ掛かりは少ないかと。


>更に2人はただの親友ではなく「とある目的」を果たすために共に冒険者となり旅に出た、


ここは「冒険者となり、共に旅を続けて来た」の方が直感的かと。

重要なのは「共に旅をする」部分のはずなので。


>その親友の口から出てきた突然の決別の言葉に、ユーキは理解が及ばず素っ頓狂な声を上げたのだった。


台詞やここまでの説明を見れば理解できるので、この一文は不要です。

書くならプラスアルファの情報を乗せるべきです。


>「言葉通りの意味だよ。ここから先はボクたちに任せてユーキは故郷に帰るといい」

>「ふざ……っけるなよっ! こんなところで終われっかよっ‼ 俺はまだ――」


察するに魔王とか強敵との対決目前とか、決死の出兵とかを前にした状況だと思われますが、そこの説明がないので、二人への共感が妨げられています。

「どんな状況」など、最低限の情報は開示すべき場面だと思います。手がかりが少なすぎると推理のしようがなく、かえって読者が興味を失います。


>2人の目的はまだ果たされていない。既に目的の為に代償も支払った後だ。その犠牲を、決して無駄にはできない。そう、たとえこの身を……と、そう考えたところでユーキの言葉は止まった。


何となく察せはするのですが、二人の関係性がわからない上、状況に確信が持てないので、興味より傍観(情報開示待ち)になってしまいます。


>「この際ハッキリ言ってあげようか? ボクはキミが……嫌いだ。キミがどう思っているかは関係ない。ただ、これ以上一緒に旅をすることは無理だ。それだけだよ」


まあ、ユーキを何かしらの理由から引き離したいための方便(嘘)だとは予想できるんですが、状況がわからないので傍観状態。


>アレクの言い分はあまりにも一方的で身勝手だった。

>出会って10年、一緒に旅に出て2年が経つ。その間、苦楽を共にしてお互いに信頼を寄せあってきた筈だった。

>その相手から「嫌い」だから一緒に旅はできない、では納得できないだろう。……通常なら。


ここはわかります。


>「……わかった」

> 突然の承諾の言葉にアレクは目を見開く。ユーキの急な心変わりはアレクにとって予想外の事だった。


アレクには予想外かもですが、まあユーキがアレクの気持ちを察したのかな、と。


>アレクにだって自分の言い分に無理があることは理解している。それでもアレクはこれで押し通すつもりだった。たとえ、どんな罵詈雑言をユーキから浴びせかけられようとも。


そこはもうちょっと上手くやるべき、とは思います。

本気で怒らせるくらい悪役に徹するか、理屈で説得するか。


> 「なんでそんなに簡単に納得できるのか?」

ウソが下手すぎるからでは?


>「ユーキ、これからどうするつもりだい?」

まさに聞いてどうするって台詞ですが、アレクの人の好さは伝わりますね。


>「さてな、お前さんの言う通りシュアーブに帰るのもいいが……。ま、ゆっくりと考えるさ。アレクたちはすぐに出発か?」


アレクが独断で言ってるのか、仲間の同意があるのかは気になりますね。

誰がリーダーかもわかりませんが。


>「ぁ、うん……。2、3日中には帝都を発つ予定だよ。でも……」


こういう別れ話って、普通は出立直前か前日にしませんかね。

多分、宿屋は同じでしょ。2、3日一緒だったら気まずくありません?


>逆にアレクは動揺を隠せない。その動揺が、一瞬アレクの口調をいつものものに戻し、更に心中の不安が僅かながら言葉に漏れ出てしまう。


なんでアレクが動揺してるのか、謎過ぎますね。

覚悟もなしに別れを切り出した、としか読めませんが。

どういうキャラかわからない段階ですが、とりあえずアレク株は開始から暴落です。


>「お前は俺のことを嫌いかもしれねぇが、俺はお前のこと嫌いじゃなかったぜ!」

>なぜなら、熱い雫がその碧あおい瞳から流れ落ちるのを止められなかったから。


理由は不明ですが、別に喧嘩もしてませんねこれ。

二人の気持ちの齟齬やすれ違いを後々まで引っ張る展開かと思いましたが、実質プロローグで解決してますねこれ。ふうむ……?


>聖歴1366年の春。冬の寒さも去り、実に過ごしやすい良い天気の日だった。


この天気の描写が暗喩だとすれば、「一件落着」ですね。

確かに「世は全てこともなし」的に私は読みましたが、果たして作者の意図に沿っているのか、かなり疑問があります。

ここら辺、私には展望が見えないので、後々作者に伺いたいところ。


>冒険の旅を始めるのは第4章からとなりますので「子供の話なんて読みたくないっ」という方は、第4章からお読み下さっても結構です。


「飛ばしてもらってよい」という書き方は、個人的には反対です。

「子供時代は面白くない」と作者が告白しているようなものですから。

自覚があるなら、読者に飛ばすのを勧めるのではなく、子供時代を面白く書き直すべきです。



>第1話 「あの日、ボクは英雄と出会った」


>『英雄王ローランドと7つのリング』

後にこの世界の英雄譚だとわかりますが、文章がラノベまんまなので、「この世界にもラノベがあるのか?」となります。内容がありがちなラノベの導入なのも拍車をかけています。


ここは意識して文体を変えた方がそれらしいです。伝記風、童話風、絵本風など色々考えられます。


内容ももっと派手な、神話クラスのワンシーンにしてよいかと。老人を生贄の美姫に、野盗を怪物にするだけでもぐんとインパクトが上がります。

史実をここで出して後の伏線にしたい意図は感じますが、この時点で興味を持たれなければ負けと思うべきです。


>つい先日6歳の誕生日を迎え、来週からは学校に通う事となり、更に今日は初代聖女の誕生を祝う聖誕祭とくれば、幼い子供であれば気分が高まるのも当然の事だろう。


ここは簡潔に状況がまとめられていてよいと思います。


>母の注意も聞かずに「とっもだち、たっくさんできるかな~」などと歌っていたのだ。


ファンタジー雰囲気ぶち壊しなので、私なら歌を歌わせず「(本を)読みながらご飯を食べていた」にします。


>大事な本にシミを残してしまったのだ。

シミが残るのは後の話なので、この場面では「大事な本を汚してしまったのだ」が適切。


>そこから先の展開は想像に難かたくない。

「想像に難くない」は未知の事象に使うべき表現です。わからないけど「想像に難くない」わけで。

同様の言い回しを選ぶなら「言うまでもない」が最適かと。


>「年長者は年下を守るものだ」

「年上なんだから我慢しろ」のほうが自然。


>気が付けば知らない道まで出てきてしまったアレクは不安になってきていた。本人に自覚はないが、完全に迷子である。


空腹で、親が恋しくなり不安になる。

ここらへんは子供の心理として共感できますが、


>しかし昼前の聖誕祭当日という事もあり、人通りの多く賑やかな町並みは楽天的なアレクの胸に沸いた不安をかき消す。むしろ少しワクワクしている程であった。


こうなるのは理解できません。親はともかく空腹が収まるものではないので。


私なら、

[勢いで飛び出したアレクは親が心配しないか一瞬考えるが、妹が謝るまで帰らないと決める。祭りに浮かれる街は屋台が並ぶなど普段と様子が違い、アレクは迷子になってしまうが、それに気づかないほどワクワクしていた。屋台の男に声をかけられ、旨そうな臭いに腹が鳴り、朝食をろくに食べずに出てきたことを思い出す。]


という流れにします。こっちのが子供らしい行動パターンかと。


>それはエプロンを着けた大きなおじさんだった。


地の文で「おじさん」はないかと。

あとここでもう傍の屋台なり、屋台で何を売ってるかなりは言及すべきところ。


>いや、それは6歳のアレクから見ればの話であって、その男は言うほど巨漢でもなければ年の頃も30前後といったものだ。


くどい言い回し。

[もっともそれは6歳の目線で、実際の男は巨漢でも壮年でもない。]


あと30前後は「おじさん」では……? とおっさん的には思いますがw


>「ううん、1人だけど迷子じゃないよ」

>と、アレクはサラリと言ってのける。


育ちの良さげなアレクがサラッと嘘をついてるのは不思議ではあります。まあ実際の子供はわりと平気で嘘を付くので、リアリティがあるとも言えますが。


>(間違いねぇ、コイツは迷子だ。しかしまいったな、どうすっか……)


この話では男の側にカメラを回さず、アレクに固定して不穏や高揚などを子供目線で追った方が迫力が出て面白いと思います。


>そう言って男は屋台へ向かう。

>取り残されたアレクは所在なさげに待つ事になるが、ほんの数十秒で男が帰ってきて「ほれ、食えよ」と手にした物を差し出してきた。それは紙に包まれたホットドッグだった。


あれ。一読目は男が屋台をやっていて、そこの商品をくれたのかと思いましたが、別の店に買いに行ったようにも読めますね。なら、この男の仕事とは?


>そんな事は予想していた。そもそも最初から代金の支払いなど期待してはいない。

>しかし、男には既に名案が浮かんでいた。


もう完全に視点が男に移ってますね。

三人称一元視点なので誤りではないのですが、ここで大人目線2、切り替わるため、迷子の子供のドキドキやワクワクが減じてしまっています。


>このシュアーブの町は治安も良くて事件の類など滅多に起きはしない。少なくともここ十年で大きな事件など聞いたこともなかった。

>だからこそ、可愛い一人娘から目を離して仕事をしていられるのだ。


ここはやや疑問。

普通に考えて、治安の良さは警官(ファンタジーなら衛兵?)が多く、きっちり仕事をしていることで担保されるものです。もしそうなら、男がまず考えるべきは警官なり衛兵にアレクを預けることでは。


同じく、いくら平和な町でも仕事が終わるまでという長時間、幼い娘を外に放置する親は考えにくいです。祭りなら外の人間も押し寄せるでしょうし、それこそ迷子になりかねません。


この問題をクリアしつつ「アレクが少女を助ける」展開にするなら、「男は開店の作業で手が離せないので、少しだけ公園で遊ばせていた」くらいに私ならします。その上で「娘もそろそろご飯だから、公園に行って呼んできてくれ」と頼めばよいかと。要は公園で二人が会い、いじめっ子から救えばいいんですから。


>「ほらほら、頑張らないと取り返せないっスよー」

>「のろま! さっさと投げろよっ!」

>「ヒグっ、返して……。う、ヒグっ……」

>3人の男の子が帽子を投げて遊んでいる。それを1人の女の子が嗚咽おえつを漏らしながら追いかけているのだ。


台詞と描写が一部被っているので、くどい感じです。地の文は綺麗に書けているので、私ならクララの台詞は省きます。


>”パシッ”と手に持つ帽子を強引に奪い取る。帽子を持っていた少年は”ビクッ”と身体を震わせたが、抵抗はしてこなかった。


漫画的な擬音の使い方ですが、わりとアリ。


>少女を慰めているアレクを見て、ようやく正気に戻った少年たちは大きな声で話しかけてきた。

>「なんだぁ、お前? お前ら、コイツのこと知ってる?」

>「いんや、見たことないっスねぇ」

>「ぼ、僕も知らない……」

>「おいお前、女子の前でカッコつけてるつもりかぁ? 今謝れば、この心の広いロドニーさんは許してやらんこともないぜ?」


もたつきすぎて、見ていられません。

ここでいじめっ子の個性を描く意味があるとはまるで思えませんし、求められていないかと。

それよりきびきびと次の展開に進んでほしい。


>「チビ」と言うだけあり、アレクとロドニーの体格差は一目瞭然だった。

>ロドニーはこの場にいる子供たちの中でもひと際大きな身体をしている。対するアレクはロドニーは元より、他の2人どころかクララよりも背が低い。

>恐らく年齢差もあるのだろうが、この場で最も背が低いのはアレクだった。


こんなに長々と説明する必要が感じられません。

私なら、


[「チビ」と言うだけあり、アレクとロドニーの体格差は一目瞭然だった。同じ少年でも年齢がまるで違う。アレクはクララよりも背が低い。]


>ロドニーが”ニヤ……”と笑うと同時に


この使い方はイマイチ。

普通に「ニヤリと笑うと同時に」でいいのでは。

特段、意味がある場面でもないので。


>アレクは足に圧迫を感じる。足元に気を取られていると、次の瞬間に”ドンっ”と胸を押され、足を踏まれたアレクはバランスを取れず尻餅をついた。


子供のする戦い方じゃないですw

体格差があるなら、普通に突き飛ばすだけで倒れそうだし。


>確かにロドニーの言う通り、彼我ひがの戦力差は圧倒的だ。


「彼我」もうそうですが、一般小説的なちゃんとした言葉が散見する反面、”パシッ”のようなラノベ全開の表現も目立つので、何とも言えない気分になります。

文章の傾向をどちらかに統一すべきかと。混ぜるな危険。


>もはや玉砕覚悟で特攻するしか

アレクが特攻してクララを逃がせばよいとは思いますが、まあ六歳ですからね。

冷静な判断が出来ない方が説得力ある気はします。


>茶髪で目の吊り上がったその少年は

意味は同じなんですが、「吊り目」と書いた方がイメージが穏やか。

「目の吊り上がった」だと、人ならぬ形相までイメージされるので。


>「大丈夫か? お兄さんが加勢してやっから、踏ん張んな


この時のユーキは幾つなんでしょう。

ロドニーより年上? 身長はどっちが上? とか気になりますね。

まあこの後説明が入るなら問題ない程度の情報ですが。


>そのあまりにも都合とタイミングの良い登場にアレクは(まるで物語の中の英雄みたいな登場シーンだな……)と、思ったのだった。


真面目な場面のつもりなら「都合」は書かない方がいいかと。

()で心情を書くのは文法上なんら間違いではないんですが、どうも格好良さに欠けると個人的には感じてしまいます。普段使いはいざ知らず、こういう場面は特に。


>第2話 「その日、俺は英雄を見た」


>”ゴトン、ゴトン……”

絵に描いたようなラノベスタート。

間違いとは言いませんが、これを続けてる限り表現力は伸びないと思ってよいです。

工夫の必要が皆無なので。


>ユーキの横には「家庭料理 初心者のススメ」や「図解 よくわかる魔法陣の仕組み」、「ラフィネ聖王国 観光ガイド」などといった本が積まれてある。


ライトファンタジー過ぎてあまり好きな場面ではないですが、小出しで世界観を伝えられるという点では重宝しますねこういう場面は。この場合だと、

・魔方陣の解説書が市井に出回るくらい魔法が一般的

・ラフィネ聖王国という国がある

くらいですが。うーん、上手くやればもっと盛り込めそう。


>「ちげーよ。ってか何だよ、このラインナップは? 「間違えない化粧品の選び方」なんて誰が読むんだよ?」


口調を見る限り、小学校高学年~中学生くらいを想像しますが、幾つなんですかねユーキ。まだわからない。


>「オメェだよ、オメェ。オレが本を読んでるトコなんか見たことあっか? 本屋のじーさんに、ジャンルは問わねぇから初心者向けの本を見繕ってくれっつったんだよ。オメェ、じーさんに文句つけようってのか?」


なんだかよくわからない理屈ですが、嫌いじゃないタイプ。


>この場にいるのはユーキとサイラス、あとは馬車を引く馬がいるだけだ。もちろん誰も化粧などしていないし、今後する事も、恐らくないだろう。


サイラスが御者をやってるんですかね?

そこら辺は描写が欲しいところ。


>いや、体を使ったケンカでは子供のユーキにはなおさら勝ち目が無いのだが。


私ならここで年齢を開示しますかね。


>その後も数十分続いた父子おやこの会話は終始サイラスのペースで行われた。


想像がつく内容なので、省いてよい一文。


>会話の流れを遮り、サイラスが前方を指して言う。まだ遠くてはっきりとは見えないが、その先には明らかな人工物が建ち並んでいた。

>「あれが、これから俺たちが住むシュアーブの町だ」

>「やぁっとかぁ……。長かったぁ」

>「まだ気ぃ抜くのは早えぞ。家に着くまでが引っ越しですってな」

>2人は2ヵ月以上をかけて住んでいた町から引っ越してきた。理由は父・サイラスの転職だ。


この辺りも冗長に感じます。

面白い会話にならないなら省略していいくらい。


>ハッキリと口に出して言ったわけではないが、

[口にこそしなかったが]


>息子であるユーキを想っての決断だろう。

ここら辺は筋が通っていますし、好感が持てます。

ただ「兵士」だと戦争の危険がありそうなので、「衛兵」にした方がイメージ的には無難かと。街で仕事が出来ますし。


>それをユーキは何となく察していたし、嬉しくも感じていた。だが同時に、ただ庇護の対象とされる自分自身に不甲斐なさを感じてもいたのだった。


年齢がわからないので、そんなことを考える年頃なのか、大人びた子供なのか判断がつきません。


>「へえぇー……。賑やかな町だなぁ」

>「今日は聖誕祭だからな。レゾールでも祭りやってたろ?」


祭りの日に引っ越しする人間も珍しい。


>「よし、到着だ。ユーキ、荷物降ろすの手伝え」

>「言われなくてもやるっつーの」

> 新居に到着するや、荷降ろし・荷解きの仕事が待っている。

> 2人はせっせと荷物を家の中へ運んでいく。やたら父親の私物が多い気がするが、ユーキはなるべく気にしないようにする。

> そして30分ほどで全ての荷物を運び終え、ユーキが一息ついた時だった。


贅肉。ダイエットしましょう。


>「んじゃ、オレは馬車の返却してくっから荷解きは任せた。飯はこれでテキトーに食っとけ」

> そう言ってコインを投げてくるサイラス。


初めて来た町で?

せめて、「街を往く途中で屋台が並んでいるのを見た」的な描写があれば、まだ納得いくんですが。それにしても何歳なんだユーキ。


>「ちょ、オイ! 待てよっ! ……行っちまいやがった。信っじらんねぇーっ! 引っ越し当日に8歳の息子1人に荷解き任せていくかフツー⁉」


やっと出ましたね年齢。遅い。

8歳というと小2か小3くらい。父親の職業柄世間ずれしてるなら、性格はまあアリですかね。「自分に不甲斐なさ」を感じるにはちと早い気がしますが。

そして荷解きだけなら小学生でも出来そう。「初めての街で外食」の方が高難度。


>誰に話すでもなく、独ひとり叫ぶユーキ。

>確かに誰かに話したならば、ユーキの言う事は至極真っ当だと言ってくれるだろう。

>だが悲しいかな。サイラスは真っ当な大人ではなく、ユーキの話を聞いてくれる者はこの場にはいない。


文章がもっさりしていて、ユーモアの体を成してません。


[ユーキの叫びは至極正論だが、うなずく者は誰もいない。

 もっともサイラスが聞いたとして、まともに耳を貸さないだろうが。]


>悪態を吐つきながらも荷解きを始めるユーキ。

>幸い、棚やベッドなどの大きな家具は前の住居者が置いていった物が残っている。当然というべきか、ユーキたちの新居は新築ではない。

>各部屋の魔法灯が問題なく点く事を確認し、軽く掃除を始める。掃除が終わったら、調味料や食器を棚へ直し、調理器具は台所へ、トイレや風呂に紙や洗剤を置いてついでに水回りのチェックもする。ずいぶんと手際のよい8歳児である。


ここら辺もまるまる不要な描写。

「荷解きを済ませ、部屋を掃除した」程度で十分。

新しい情報や発見がなく、面白みも欠けるので圧縮すべき場面です。


>荷解きの1/3ほどを終えて、次は自分の私物に取り掛かろうとした時、近くから子供がはしゃぐ声が聞こえた。


ここの細かな情報も不必要。

必要なのは「子供の声が聞こえた」だけなので。


>「そぉ~ら、パース!」

>「ほら、エメロン行くぞ! 落っことすなよ!」


ああ、ここから一話とリンクするわけですね。

この構造はなかなかいいと思いますよ。


>それを見たユーキは(家のすぐ横に公園か。犬のフンとか、酔っ払いが出たら嫌だな)などと子供らしからぬ事を考えていた。……本当に8歳だろうか?


セルフ突っ込みもそうですが、公園の認識が明らかにファンタジーじゃないのはギャグなんですかね? 読者が脳内で描くファンタジー世界を、作者自らブチ壊していくスタイル?


>「ほらほら、頑張らないと取り返せないっスよー」

>「のろま! さっさと投げろよっ!」

>「ヒグっ、返して……。う、ヒグっ……」


クリアに聞こえすぎてて逆に怖いです。

1話でも書きましたが、こういう内容の薄い台詞が続くと、物語が一気にダレます。


>身体は小さく、5歳くらいだろうか。身なりは良く、いいところの坊ちゃんのように見えた。


[まだ5歳くらいだろうか。身体は小さいが身なりは良く、いいところの坊ちゃんのように見えた。]


>輝くような金髪と、大きな碧眼へきがんに吸い込まれそうになる。


金髪はともかく、碧眼を認識するのは無理でしょ。

何メートルくらいを想定してるんですかね、これ。「家のすぐ横が公園」にしても、道路くらい挟んでそうなものですが。

あと、何となくユーキは二階の窓から見てるイメージでしたが、特に描写がないので一階から見てたかも。それでも近すぎると思いますが。


>確かにユーキの思う通り、もう少し成長すれば物語の主役としても役者不足のないルックスと存在感を出していた。


ううーん、悪文。言いたいことはわかるんですが。

私なら、


[もう少し成長すれば、物語の主役に相応しい若者になるに違いない。]


>だって、あの男の子は最高にカッコよくて、でも今ピンチで、それを見ぬ振りをしたら最低にカッコ悪くて、だから――。


何故ここだけ、子供みたいな説明なのか謎です。

ユーキの心理に合せるのなら、これまで通り()で括るべき。

もしくは、第三者視点でかっこよくユーキの決意を描くところです。

私なら後者を選びますが。


>「大丈夫か? お兄さんが加勢してやっから、踏ん張んな」


一話の時は年がわかりませんが、8歳が自分を「お兄さん」て言いませんよね。

いくら大人びていても。


>……つもりだったが、後日になって「あんまりカッコよくなかったな」と後悔するのだった。


確かに。

このセルフ突っ込みモードは基本装備なんですかね、この作品。

ギャグコメディならそれでもいいですが、それだとプロローグと噛み合わない感じfですし。一万字読んでも方向性がよく見えません。


さて、総評に移りましょう。


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