第64話 おいおじさん自重しろwwww


「俺に考えがある」


 ――


「で、考えって……コレ……ですか……?」

「まあ、見ててよ」


 俺たちは、町の中央にあるカジノへやってきていた。

 異世界にも、当然カジノはある。

 だが、問題はカジノの中にどんなギャンブルの種類があるかだ。

 まあ、スロットとかはないのは確定だ。

 トランプって、異世界にあるのだろうか……?


 とりあえず、俺は中に入る。

 ひかるんは未成年だから、外で待っていてもらう。

 俺がカジノに入ると、コメント欄がすごい盛り上がりを見せた。


『おいwwwwww』

『考えってギャンブルかよwwwwww』

『辻おじwwwww』

『おいおじさん自重しろwwww』

『クズだwwww』

『だめだこれ……』

『これ金全部溶かすやつだ』

『ごめんひかるん……』


 みんな酷い言いようだ。

 心外だな。


「いやいや、お前ら。金策っていえばギャンブルだろ!」


 RPGなんかでも、俺は金策といえばカジノに入り浸っていた。

 異世界でも、もちろんカジノは有用だろう。

 みんな俺がまるでギャンブル中毒のダメなおじさんみたいに言うけど、決してそういうことではない。


 地球でも、俺は数えるくらいしかギャンブルはしていない。

 何度か付き合いでパチンコや競馬にいったことはあるが、どれもそれほどはまったりはしなかった。

 むしろ俺はギャンブルとは無縁の人間だった。


 では、なぜ今回カジノへやってきたか。

 それは、俺には策があるからだ。

 おそらく、ほぼ勝てる……はずだ。


「なるほど、ルーレットとカードはあるのか」


 カジノには、ルーレットと、カードゲームが主に行われていた。

 ルーレットのルールは地球と同じようだ。

 ルーレットは地球でも、300年前から遊ばれていたらしいからな。

 異世界にあっても、まあ不思議ではない。

 ルーレットがあるなら、ほぼ勝てる。


 それから、カードは地球のトランプとは絵柄や呼び名が違っていたが、ほぼ同じもののようだ。

 ルールもポーカーとほぼ同じものがある。

 よし、これなら余裕だな。


「よし、いけるな」


『ほんとかよwwwww』

『フラグwwwww』


 俺は適当なテーブルに座り、何度か勝負をする。

 しばらくして――。


 ――


「よっしゃあああ!!!!」


 俺は所持金を倍に増やすことに成功した。

 しかも、まだ一度も負けていない。


『まじかよwwwwwwwwwww』

『なんでwwwwww』

『馬鹿勝ちしてて草』

『おじさんつええええええwwww』

『なんで……!?』


 なぜ俺が危なげもなく勝負できるのか、それには秘策があった。


 まず、ルーレットには秘策がある。

 これはインターネットで調べればすぐに出てくることだが、ルーレットにはいくつかの必勝法があるのだ。

 マーチンゲール法、ココモ法、モンテカルロ法など、さまざまだ。

 これらは長年の人類の歴史で編み出されてきた必勝法だ。


 俺はそれらを、知っていた。

 いや、別に俺が地球で海外にいってカジノに入り浸っていたとかっていう歴史はない。

 ただ、興味があって、前に一通りの必勝法を調べたことがあったのだ。


 ギャンブルを題材にした海外の映画が面白くて、一時期はまっていろいろ勉強したのだ。

 知識はなんでも入れておくものだな。

 まさかあのときの知識が異世界で役にたつなんてな。


 俺はプログラミングを組むのが得意だし、好きだった。

 だから自分でルーレットのゲームを作ったりして、暇なときにシミュレーションしたりもしたのだ。

 ルーレットは基本的に確立のゲームだ。

 仕組みを理解すれば、かなりの確率で勝つことができる。

 確率などを計算するのは好きだし、得意だった。


 そしてなにより、おそらくだが、この異世界ではこれらのルーレット必勝法はあまり知られていないだろう。

 確率を計算しまくって、ルーレットをやると、地球のカジノだと出禁になったりもするらしい。

 だが、異世界だから、まだそこまで確率の概念も浸透していないと思ったのだ。

 これらの必勝法は、地球ならインターネットで調べれば誰でもすぐに知ることができる。

 だが、異世界ではおそらく一部の人間しかまだ気づいていないだろう。

 ということで、俺は大胆にもルーレットで大勝することができたのだ。


 現代人の知能からすれば、異世界人を出し抜くことなど余裕なのだった。


 そして俺は、あっという間に目標の金額を手にした。

 最終的には10万Gもの大金を手にした。


「よっしゃあああ! お金たまったぜ!」


 俺はひかるんのもとに戻って、金を見せる。


「すごいです……ハヤテさん! まさか本当に上手くいくなんて……」

「よし、これで魔女の情報を教えてもらおう」


 俺たちは、金を持ってさっそく情報屋の元へいった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る