第63話 俺に考えがある


 超級薬草を手に入れた俺たちは、冒険者ギルドへ戻ってきた。

 受付嬢さんに話しかけて、クエストを完了させよう。


「あの、すみません」


 俺が話しかけると、受付嬢さんは不思議そうな顔をした。


「あ、ハヤテさん。どうしたんですか? 超級薬草についてわからないことがありましたか?」

「あ、いえ……そうじゃなく。クエスト完了したんで来ました」

「え…………?」

「え…………?」


 受付嬢さんは、頭にはてなを浮かべている。

 俺なにか変なこと言ったかな。


「あの、さっき出ていったばかりですよね? 嘘でしょ……。もう見つけてきたんですか?」

「ええ、ほんとですよ。ほら、この通り」


 俺が超級薬草をとりだすと、受付嬢さんは目を丸くして驚いた。


「す、すごすぎます……。ふつうこのクエスト、もっと時間がかかるものですよ?」

「いや、まあ。ちょっとしたコツがありましてね……」


 これに関してはひかるんとだいふくがお手柄ということだ。

 俺は受付嬢さんに超級薬草を納品する。

 ちなみに、もう一個の超級薬草は地球に持って帰ろうと思う。


「えーっと、ではこれが報酬金になります」

「ありがとうございます」


 俺たちはクエストの報酬として5000Gを手に入れた。

 これって日本円にしたらどのくらいの価値なんだろうか、よくわからない。

 とりあえず金を手に入れたから、これからいろいろできるな。


「えーっと、それから……情報屋さんの場所を教えてほしいんですが……」


 俺は受付嬢さんにそう尋ねる。

 冒険者ギルドでは、いろんな情報が手に入る。

 だがやはり、重要な情報は、情報屋で聴いたほうがいいだろう。

 

 だがまず、その情報屋の場所を知る必要がある。

 情報というのは、かなりの価値を持つ。

 情報屋の場所は隠れた場所にあって、まず誰かの紹介がないと見つけられないそうだ。

 冒険者ギルドで金を払えば、情報屋の場所を教えてもらえるらしい。


「では500Gになります」

「はい、お願いします」


 俺たちは、500Gを支払って、情報屋の場所を教えてもらった。

 情報屋は路地裏に、ひっそりとたたずんでいた。

 

 さっそく、俺たちは情報屋に入る。

 情報屋は、不愛想な感じのおやじだった。

 おやじは机に肘をついたままこたえる。


「いらっしゃい、なんの情報が必要だね?」

「魔女の居場所を知りたいんだ」

「魔女か、魔女についてはかなり高額だが、払えるか?」

「4500Gある」

「魔女については3万Gいる」

「マジか……」


 超級薬草のクエストはかなり高額報酬だと思ったのだが、それでも足りないようだ……。

 これは出直す必要があるな。


 とりあえず、俺たちは情報屋を出て、道具屋に向かった。

 なにか持ち物を売れば、それなりに金が手に入るかと思ったのだ。


「これ、売れるか?」


 俺はポケットから、地球産のポーションを取り出した。

 ダンジョンに潜るということで、一応いくつかポーションを持ってきてあった。

 地球産のポーションとなれば、科学的な方式で作り出されたものだ。

 つまり、こっちのポーションとは作り方から性能まで違う。

 なので、高く売れないかと思ったのだ。


「こ、これは……!? なんだこれは……!?」


 道具屋は、目を丸くして驚いた。


「なんだこれはって、ただのポーションだが」

「こんな純度のいいポーションは初めてみた……!」

「それで、買ってくれるか?」

「もちろんだ。一個500Gでどうだ?」

「よし」


 俺はポーション10個を5000Gで売りさばいた。

 日本円で一個1500円なので、たぶん儲かったはずだ。

 いや、1Gが何円かは知らないが。

 ちなみに、こっちのポーションは一個30Gで買えた。

 こっちのポーションも使ってみたが、たしかに純度が違う。

 回復量が全然違っていた。

 これは、なかなかポーションを売るのは金になるかもしれないな。


 一度日本に戻って、大量にポーションをこっちの世界に輸入できないだろうか。

 そんなことを考えてしまう。

 もしできたら、異世界で俺は大金持ちになれるぞ。

 まあ、異世界で大金持ちになっても仕方ない気もするが……。

 あ、ていうか、俺今配信者として世界中に注目されているから、日本でも大金持ちになれるか……!?


 道具屋を出て、次に向かったのは宿だ。

 そろそろ日も傾き始めている。

 一度日本に戻るという手もあったが、それだとまたあのダンジョン深層を超えてこないといけなくなる。

 それだとさすがに大変すぎるからな。

 しばらく、魔女を探し出すまでは、こっちに滞在しようということになった。


 ちなみに、コメントなどの情報によると、今頃、他の探索者たちもなんとか異世界にいこうと躍起になってるらしい。

 まあ、しばらくのあいだは、誰も深層をクリアなどできないだろう。

 俺たちが深層をクリアできたのも、たまたまテイムというのができたからだ。


 宿代は一泊飯付きで100Gだった。

 もちろん、ひかるんとは別の部屋だ。

 

 さて、明日からは情報屋への金を用意するために、金をまた稼いでいこう。


「ハヤテさん、どうやってお金稼ぎましょうか……またクエスト受けますか?」

「いや、俺に考えがある」

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