第45話 深層へ7
俺はあまりにも彼女が心配だったので、ひかるんの家までいくことにした。
ひかるんを病院から家に送り届けたのも俺だ。
ひかるんは都内のアパートに一人暮らしをしていた。
お金は、配信業で稼いでいるから、自立できているんだそうだ。
そりゃあ、あんな両親と暮らすのなんて嫌だよな……。
「ひかるん……!」
「ハヤテさん……」
俺はインターホンを押して、ひかるんの家に入った。
ひかるんは楽なスウェット姿だった。
「心配しただろ……! なにが平気だっただよ。切り抜き動画みたぞ。あやうく死ぬところだったじゃないか」
「あはは……見られちゃいましたか……」
「あははじゃなくて……。ほんと、無茶なことはするなよな。グレートオーガを克服したいんなら、俺に頼ってくれ。俺にいってくれたら、いつでも一緒にいってやったのに」
ひかるんひとりだと、もしなにかあったときに、本当に死んでしまう。
だが俺がいれば、一応回復などのバックアップができる。
ひかるんがグレートオーガに打ち勝ちたい気持ちはわかる。
だからこそ、俺を頼ってほしかった。
「そうですね……。今度から、たのみます……」
「そうしてくれ」
「でも……私はどうしても、一人でグレートオーガに勝たなくちゃいけなかったんです……」
「なんで……そうまでして……」
「私、深層を超える気です」
「は……? 深層を……?」
深層というのは、下層よりも下にある階層だ。
下層ですら攻略組でも苦戦する強敵ばかり。
深層なんてのは、そのほとんどがまだ闇に包まれている。
深層までいって帰ってこれるのは、真の実力者のみだ。
そんなところを、超える……って。
「それ、どういう意味かわかってるのか……!?」
「もちろん。でも、私はいかなきゃならないんです。そのために、グレートオーガの克服は必要でした」
深層を超えるということは、ダンジョンの完全制覇だということだ。
そんなの、前代未聞。
誰も成し遂げたことのない偉業だ。
「あぶない……深層に降りるだけでも、危険すぎる。なのに、ソロで深層を踏破しようなんて……。いくらなんでも、許可できない……」
「それは、友人としてですか?」
「ああ、それに、大人として……」
「どうしてもいくっていったら……?」
「絶対に止める」
「それでもいくっていったら……?」
俺は即答した。
「俺も行く」
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