第51話 国王との密約
オレは国王が待つ部屋に入った。今まで見た中で、一番豪華な内装だ…………思わずオレは息を呑んだ。
「おお、ナリユキか! よく来たな! こっちじゃ、こっち!」
高級そうな椅子に座った国王が手招きする。昨日カジノで会った時とは違って金ぴかの王冠を被り、マントのついた立派な服を着ていた。
オレは言われた通りに国王の目の前まで歩いて行った。
「昨日は失礼しました」
一応、頭を下げておく。コイツはダメ親父だが、とりあえず味方にしておきたい。
「いやいや、気にせんでいい。ワシはあの後、エルディアにこっ酷く叱られてな。カジノも人形集めも言語道断だと怒鳴り散らし追って……まったく頭が痛いわ」
そう言って頭を抱える国王。それはアンタが悪いのでは?
「おかげで、気軽に娯楽をする事もままならん。何か楽しい遊びを……おや?」
国王の視線がオレの持つ刀に向けられていた……しまった!
この刀は、エアリスに預けておくべきだった!
刀を見つけた国王は、いきなり激怒した。
「やっぱりそうか! その刀は国宝なのじゃ! 今すぐワシに返せ!」
立ち上がり、刀に手を伸ばす国王。なるほど、わざわざオレを呼び出したのは、これを取り戻すためか…………!
この局面を切り抜けるには、どうすればいい…………そうだ!
「ちょ、ちょっと待って国王! 代わりにいい物を差し上げます!」
「な、何じゃと……?」
国王の動きが止まった。オレは、畳みかけるように発言する。
「カジノよりも、もっと楽しい遊びがあるんです。明日、それをここにお持ちしますんで! それと刀は交換という事で、どうですか?」
「ほう? そんなに楽しい遊びがあるのか?」
「はい。ルールさえ覚えれば、誰でも遊べます! ルールも説明しますので!」
「そうか。そこまで言うのなら、その宝を譲ってやろう。明日、同じ時間にここへ来るのじゃ」
「ありがとうございます! 必ずお持ちします! では!」
オレは、そう言って逃げるように部屋を出た。あ、危ねえ…………。
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