【episode.5】妻との出会い〜シャイ男の告白〜
俺はシャイだ。
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昔から女性に話しかけることができなかった。
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どうして、そんな俺と妻が結婚することになったかというと、、
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社会人になりたての頃、俺はサラリーマンとして働いていた。毎日朝早くから終電まで、会社のために働いた。
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心も体も疲弊しきっていた。
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そんな生活を送っていた頃、休みの日にふらっとコンビニまで行こうとした途中に、花屋を見つけた。
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こんな所に花屋なんてあったかな。
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花なんて普段全く興味がないのに、なんとなく気になりお店に入った。
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「こんにちは!」
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女性の店員さんが笑顔で挨拶してくれた。
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シャイな俺は、店員さんに挨拶されただけで挙動不審になってしまった。
こくんと頭を下げるだけで精一杯だった。
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「このお店今日オープンしたばかりなんです!
良かったらゆっくり見て行ってください!」
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立て続けに話しかけられ、またしても頷くことしかできなかったが、どうやらオープン仕立てとのことだ。
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たまには花でも買ってみるか。
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俺はなんとなく手に取ったアスチルベの花を買った。
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花を買うなんて初めてだったので、もちろん花瓶も持っていなくて、一緒に買って帰った。
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帰宅して、買ってきた花をリビングのテーブルに飾る。
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男1人の殺風景な部屋が、一気に華やいだ。
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花がある部屋も悪くない。
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それから、定期的にその花屋に通い花を買うようになった。
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最初に話しかけてくれた店員さんとも少しずつ会話ができるようになった。
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女性と話ができている自分の成長を噛み締めていた。
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気がつけば彼女と話すために花言葉を覚えたりなんかもして、花を買うことよりも彼女に会うことが楽しみになっていた。
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通い始めて半年が経った頃、彼女が紫のアネモネをよく眺めていることに気づいた。
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その花が好きなのだろうと思っていたが、それを眺める彼女の表情は、どこか切なさそうだった。
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ある日、花を選びながら、
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「なんでいつもアネモネを眺めてるんですか?」
と彼女に聞いてみた。
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花の手入れをしていた彼女は、少し間をおいて答えてくれた。
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「私、大学生の頃、好きな人がいたんです。
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その人は少し年上だったので、私が大学を卒業したら付き合うって言ってくれました。
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でも、卒業しても仕事が忙しいとか、もう少し待ってほしいとか言われて、、
それから3年間、彼が付き合おうって言ってくれるのをずっと待っていました。
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そしたらある日、彼が他の女性と歩いているのを見てしまって、後から分かったんですけど、彼結婚していたんです。
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私のことは遊びだったみたいです。
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アネモネを見ると、信じて待ち続けていた当時の自分を思い出してしまって、、」
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「あのっ!
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俺は、俺なら、
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いえ、、なんでもないです、」
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俺ならあなたを悲しません。
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彼女の話を聞いてそう伝えようとしたが、
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そんな勇気が俺にあるわけなかった。
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度胸がなく告白できなかったことが情けなかった。
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いつか必ず彼女に告白してみせる。
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この日にそう決めてから、毎日カッコ良い告白の言葉を考えたり
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告白のシチュエーションはどんなのが良いかネットで調べたり
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告白に向けての準備にいそしんだ。
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おしゃれなレストランはどうだろうか。
いや、プロポーズでもないのに重いと思われてしまうかもしれない、、など考えすぎて眠れない毎日が続いた。
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体も絞った方が良いかな、なんて考えてジムにも通い始めてしまった。
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昔から、目標を叶えるためにはとことん努力するタイプなのだ。
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毎日ジムに通い続けて1ヶ月が経った頃、体も引き締まり告白のセリフも決まった。
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告白すると決めてから1ヶ月も経過したが、いよいよ告白する日がやってきた。
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---続く---
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#努力家正樹
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