第29話 巨匠とおれごんの言いたいことは同じ
新作は18万0千字、しっかりと足ぶみ状態です。書いても書いても進みません。3歩進んで3歩さがる。
でも焦ってはいません。出す小説賞を変更したからです。年間を通して随時受付のものを選択したので、期限がなくなりました。期限がなくなったので、好きなだけ完成度を高めることができます。
ずっと幕あいを書いています。しかもまだ終わっていません。決勝戦が終わったのが3週間前ですから、3週間ずっと幕あいを描いていたことになります。
この幕あいだけで35000字。過去作なら中編くらいの文量です。しかもまだ増えます。
ドラマパートと思えばよいのかもしれませんが、読者さんは退屈ですよね。なにか驚きでも仕込めればと頭をひねっても、壊れたおれごんの頭脳からこぼれ落ちるのは鬱展開だけ。
鬱展開、あっちゃダメですか?
彗星のごとく現れた新人が日本一。その逸材をオリンピック出場選手に起用。金メダルで終劇。
これ、本当におもしろくなります????
やっぱり向かい風あってのスポーツだと思うんですよ。ちぎっては投げ、ちぎっては投げでもいいのですが、終始それでは食あたりに。なによりワンパターンじゃないですか。
それでもいいんです?
常にワンサイドゲームでもいいんです?
なんの苦労もしない炭治郎や、一度も苦戦しない悟空でいいんです?
だって途中での苦労は最終的に、ラストでの高低差につながるじゃないですか。
いいんですか?
それでもいいと。
でもね、私はお届けしたいんですよ、鬱展開を乗り越えたその先を。
ちょっとだけ疲れました。ここ3週間ずっと重苦しい部分を書き続けていたのに疲れました。
そこで気分転換ですよ。君たちはどう生きるかを観てきました。
正直言いまして面白くなかったです。あれほどの巨匠であれば、わたし程度の木端がなにを申し上げても問題ないでしょう。
あの方は前作でキャラに言わせていましたよね、「創造的人生の持ち時間は10年」であると。あの方の10年はとうに過ぎました。その点わたしはこの業界にまだ4年です。まだまだ真っ赤な鉄は熱いです。
率直にスタッフロールが流れ始めたときに「勝ったな」と思いました。
あのくらいの作品なら拙作の方が面白いです。屠殺だって真正面から描いてみせました。病気も貧困も災害も戦乱も、難しい題材でしたが逃げずに描ききりました。
わたしはそれに何十万字も費しましたが、彼はそれをたったの2時間に収めるんですもんね。そこには素直に敬意を表します。
でもおれごんの勝ちですよ。世界の片隅でひっそりと高らかに宣言しますよ、それだけは間違いありません。
面白さに関しては作数を重ねるごとに前進している自信があります。新作は過去作を超えることを約束しますが、なぜか作数を重ねるごとにPVは低下する一方で?
おやぁ? 面白いと思っているのは書いた本人だけ? おれごんは4年目ですでに下降線ですか?
ま、そこはプロの赤ペンで白黒つけましょう。まずは提出した第2作が処女作を越えているか。第3作もすでに提出済みで評価を待つ身。
その間わたしは第4作に注力します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます