6月26日 黒と白のドリア、たら竜田の香辛だれ定食

 雨。雨音は聞こえないが、自分の体で確かにわかる、雨。目の前がぐらりと揺れて、瞼を開けていられない。重く生ぬるい空気が全身にまとわりついて離れない。ろくでもない月曜日。


 昼間には一人、セブンイレブンのドリアを食べた。昨日のうちに買っておいたものである。20日まで実施されていた北海道フェア商品で、札幌パークホテル監修とのこと。山陰ではまだ陳列されていた。

「黒と白のドリア」の名の通り、半分にはホワイトソース、もう半分にはデミグラスソースがかかっている。ごはんがバターライスなのが良い。ホワイトソースの上にはブロッコリーとエビとアサリが乗り、しっかりと下味がついていてクリーミーなソースに負けていない。デミグラスソースは濃厚で甘め、その中にごろりと大きな鶏肉が二切れ。どちらかというと、こちらの「黒」の方が好みである。

 美味しかった。しかし、別日に食べて日記に入れそびれていた、三國シェフ監修の「ビーフシチューオムライス」の方がレベルは高かったように思う。あれはデミグラスソースではなくしっかりとコク深いビーフシチューであったし、ゴロゴロとしつつも柔らかい牛肉とじゃがいもが美味しく、とろりとした卵でバターライスを包んだオムライスとも素晴らしい相性だった。

 私はまた、北海道の美味しさに救われた。コンビニでこの味を手に入れることができるのは、本当に感謝しかない。


 食べた後は、しばらくじっといていた。じっとしているしかできなかった。

 週末の食生活が適当だったので、夕飯は届いたばかりのミールキットで「大戸屋監修、国際たら竜田の香辛だれ」である。

 結局大戸屋なのかよ、と思われるかもしれないが、まぁそこはそれ。主菜副菜まで言われたとおりに作ればあの定食になるのなら、健康的で良いではないか。

 ベビーリーフを敷いた上に、こんがりと揚げ焼きしたたら竜田、炒め合わせたナスとピーマンを乗せ、中華ダレや豆板醤を混ぜ合わせたタレを回しかける。ほんのりと酸味がありピリ辛なタレが、疲れた体にも食欲を思い出させてくれる。生野菜もあることで油がくどくならず、さっぱりとした味わいで美味しい。

 副菜はじゃがいもと小松菜のおかか炒め。じゃがいもは先にレンジで火を通しているので、炒める時間が短く済んで手軽である。

 味噌汁だけさっと自分でつくる。今日はメインが魚だし、あおさを入れて。


 最近、味噌を変えてみた。今までは故郷・広島の味『ますやみそ』を使っていた。広島県民ならば「かあさんまちがえんさんな、ますやみそよ」「かあさんの味 ますやみそ」などCMフレーズが思い浮かぶであろうアレである。

 アクセスが悪いとはいえ距離は近いからか、山陰でも『ますやみそ』を売ってはいる。しかしどこのスーパーでも、という訳には行かず、先日買い足そうと思ったときに普段の味噌が見当たらなかった。そこでどうせならと思い、この土地の味噌を使ってみることにしたのだった。

 手に取ったのは、『とんばら味噌』。作られている頓原とんばらは、町の九割を山林や原野が占めるという飯南町いいなんちょうの中にあり、島根と広島、山陰と山陽を隔てる中国山地の麓に位置する。大国主命オオクニヌシノミコトが自身の琴を納めたとされる琴引山ことびきさん、その周辺は県内有数の豪雪地帯で、他に何があるわけでもないが、ここにも温泉は湧く。

 そうした土地柄から農業と林業が盛んで、地元産の大豆と良質な米・麦を使用して頓原の農協加工所で作られたのがこの、『とんばら味噌』なのだという。

 最近暑い日が続いていて汁物を作っていなかったため、この味噌を使った味噌汁は今日が初めてだった。米と麦のあわせ味噌だが、色は濃い。大変なめらかで溶かしやすく、カスもあまり残らない。舌に触れた瞬間には塩気を強く感じたが、コクの深さと後味の優しさが印象に残る。なかなか美味しい味噌である。しばらく色々使ってみようと思う。


 今週はどうも不安定な天気になりそうで、今からげんなりしている。夏も嫌だが山陰の梅雨はつらい。

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