山の陰に暮らす

5月28日 チキン南蛮弁当

　びっくりするほど体調が悪い。

　十中八九、雨が降ったり止んだりを繰り返す今日の天気のせいである。

　体は鉛のように重く、心臓が脈打つ度に頭が鈍く痛む。声を出せば頭の中がぐらぐらと揺れて気が遠くなる。

　今日はもう、無理。

　夫がゲームしているのを見る、というよりは聞きながら、静かに横になっている。

　この日の雨と同じように、寝たり起きたりを繰り返して午後は過ぎていく。

　先ほど、夫の買ってきてくれた『ほっともっと』の「チキン南蛮弁当」を食べた。

　この、ちょっと不思議なチキン南蛮が、幼い頃から結構好きだ。宮崎の人がどう思っているかは知らないが、私は『ほっともっと』もしくは『ほっかほっか亭』のチキン南蛮として、これを愛している。

　何が不思議かといえば、その衣である。竜田揚げとも唐揚げとも違う、独特の衣。外はこんがりとしつつ中はふんわりとした食感で、それなりの厚さがあり、表面は平らに近い。おそらくそのおかげでソースがよく絡むのだ。

　別添のソースは、甘酢ソースとチキン南蛮ソースの二種。ソースに関しては地域差があるらしいが、島根はこれである。さらりとした甘酢ソースを全体にかけてから、クリーミーなチキン南蛮ソースを垂らしていく。このチキン南蛮ソースはタルタルソースの具を完全に液状化したものである。

　カリふわな衣に包まれた胸肉はしっとりとして、甘酢と溶け合ったチキン南蛮ソースはまろやかで、コクのある甘みの中にレモン果汁やピクルスの酸味を感じさせる。玉ネギの気配には、気づかないフリをする。揚げ物ではあるが、非常に食べやすい一品なのだ。

　このチキン南蛮弁当が、本日の唯一まともな食事だった。後はドリンク剤とグラノーラを少し食べたくらいだったもので。

　そろそろ梅雨がやってくる。つらい季節である。