5月27日 日清焼きそばにシャウエッセンと目玉焼き、アンドーナツ

 昨夜は、映画『Vフォー・ヴェンデッタ』を観た。

 アメコミの類にほとんど触れてこなかったため、初見である。結論から言えば、大変楽しめた。

 話の筋はシンプルな復讐譚。ビジュアルがキマっているのはアメコミらしく流石だし、芝居がかったVの台詞回しも良い。刑事ものとしての要素もしっかりしている。巌窟王やシェイクスピアの引用なども好み。ヒューゴ・ウィーヴィングはガイ・フォークスの仮面をずっと被っているのに、所作に豊かな表情が表れていて素晴らしい。

 しかし何よりも、ナタリー・ポートマンの演技が良かった。キュートな登場からVとの出会いで変化していく様が、実に見事。その表情に、声に、ぐっと引き付けられる。監獄を出てからのシーンは最高。


 2005年の映画なのだが、今観ると別の文脈が色々と乗ってしまうのも仕方ない。ウイルス汚染だとか、ガイ・フォークスの仮面だとか。

 私が思わず思いを馳せてしまったのは、劇中で印象的に使われる、チャイコフスキー作曲の序曲『1812年』である。これはナポレオンが侵攻してきたのを押し返してロシアが勝利した出来事から生まれた曲で、そうした背景から、ここ最近の時勢を鑑みて演奏を自粛することが増えているのだ。クラシック曲を演奏する際は、その作曲意図を踏まえなければならないので仕方ないこととはいえ、やるせない気持ちにもなる。この曲には「大砲」の譜面があることが特徴で、ステージ上での演奏ではバスドラム(大太鼓)を使うことが多いが、自衛隊や各国軍の音楽隊やその協力を得た演奏では、本物を使う。全体に難しいところの無い、どんちゃん騒ぎといった雰囲気の曲なので是非聴いてみていただきたいし、早く気軽に聴ける情勢になってほしいものだと、心から思う。



 そこからまたダラダラと遅くまで楽しくお喋りしてしまい、遅く起きた本日。

 なんだかジャンクな気分だったので、日清の袋焼きそばを開ける。袋焼きそばは何種類か食べたが、結局日清が一番美味しいと思う。粉末ソースを絡めるのは少しコツがいるが、このスパイシーさが良い。

 麺を茹でながら、フライパンの端にシャウエッセンも投入。これはかつて、日清と日本ハムがコラボして、何故かゴルゴ13を広告塔に展開した公式の食べ方である。なかなかアホっぽいが、悪くない組み合わせなのだ。

 二人前のそばはそれなりの重さになるが、それをワシワシと炒めてしっかりと水分を飛ばす。ここで「焼く」工程を入れないと麺がベチャッとしてしまい、ちゃんと焼きそばにならない。

 そばの方の火を止めたら、別のフライパンで手早く目玉焼きをつくる。三月始めの方にも書いた(https://kakuyomu.jp/works/16817330654745085719/episodes/16817330654820858920)、両面を焼いたフライドエッグ。今日は裏返すのに失敗したが、まぁ許容範囲。

 予熱でほんのりソースの焦げた焼きそばを皿に盛り、シャウエッセンと目玉焼きを乗せれば完成である。個人的に、青のりは振らない主義だったりする。

 香ばしいソースの絡む縮れ麺、熱々のそれは安定の美味しさ。合間にパリッとジューシーなシャウエッセンを齧る。うん、悪くない。相性がベストかというとそんなことは無く、「嗚呼、日清焼きそばとシャウエッセンだなぁ」としか言えない味わいなのだが、その妙を楽しむタイプの組み合わせである。シャウエッセン以外の袋ウインナーも試してみたが、最も日清焼きそばを邪魔しない風味なのはやはり、シャウエッセンだった。比べてみると、結構違うものである。他社製品は混じり合わない香りがあったり、味が濃すぎたりして、どうも良くなかった。一時的に手を組む相手として最適だったのが、シャウエッセンだということなのだろう。何にせよ、手軽に肉を取れるのが良いのだ。

 目玉焼きはもちろんうまい。裏はこんがりと揚げ焼きになってぷるりとした白身、表面は少し崩れたがちゃんと半熟の黄身。ガツンとしたソースとまろやかに調和するこの目玉焼きこそ、焼きそばの最高の伴侶と言えよう。

 この食べ方を初めてからは、これが我が家の定番になってしまった。炭水化物のみの焼きそばよりはきっとマシだろうと信じて、そこそこの頻度で今後も登場することになると思う。


 おやつには、なんだか気になって買ってしまった「アンドーナツ」を。

 私が周辺で最も信頼しているスーパーには、ときどき全国のご当地菓子や名産品を仕入れることがあり、先日たまたま見かけたのがこの、山口製菓の「アンドーナツ」であった。

 買ってから調べてみたところ、秋田では「油パン」と呼ばれて親しまれているご当地菓子パンだそうである。「油パン」とはまた随分な呼び名だが、透明な袋にアンドーナツの揚げ油がしっかり滲んでいるものだから、それも納得してしまう。

 そしてこのアンドーナツ、でかい。直径15センチはある円盤型で、厚みはさほどではないが手に持つとずっしりしている。一つ分のカロリーはなんと、536kcal。夫と半分ずつ食べるので大丈夫、大丈夫なはず。

 ナイフで割ってみると、重さの意味がわかる。ほとんど隙間なくみっしりと詰まったこし餡。これをなんと、一つ一つ手包みしているそうだ。そうすることで、ドーナツ生地の厚さを抑え、油がさほど染み込まなくなるのだという。

 実際食べてみると、食感は見た目よりもずっと軽い。こんがりと揚げられた表面は香ばしいがドーナツ生地はふわふわとして、確かに油をあまり感じない。そしてこし餡の上品なこと。しっとりとなめらかで甘過ぎず、コクもあるが後味はあっさり。これは天然の地下水を使い、銅釜でじっくりと練っているのだとか。この餡の風味はなかなか無い。

 これは実に、買ってみて良かった。


 ダラダラとした土曜日に食べ過ぎな気もするが、夜はまた一人なので、適当に軽くしか食べない、はずである。

 

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