4月26日 芽ひじきと梅干しの炊き込みご飯

 書いていた小説を、寝かせることにした。

 筆が進まず困ってしまって仕方なく。苦手な題材を書くには、思いつくのが遅すぎたのだ。今月末には間に合わない。いつかちゃんと書きたい話ではあるので、下書きに残す。

 そうして下書きになっているものがそれなりに溜まってきているが、別の機会にちゃんと日の目を見るものもある。今はまだ種だけれど、いつか花が咲いたら見てやってほしい。どれも可愛いわが子である。


 こういうときこそ、ヘキに素直なものを書く頃合いなのではないか。いわゆる“性癖”である。

 この日記ではこれまで機会が無かったので言及してこなかったが、私は重度の眼鏡フェチである。眼鏡男子に目がないのは勿論のこと、眼鏡そのものの魅力にすっかり魅せられてしまったのだ。それがどれほどのものか、というのは眼鏡私小説(https://kakuyomu.jp/works/16817330650371709131/episodes/16817330650372171039)に書いているので是非読んでいただければと思う。令和の私小説部門で中間選考も突破してしまった怪文書である。

 あなたがたは眼鏡という道具の美しさを、考えたことがあるだろうか。医療器具でありながら装飾品でもある、機能美を体現したその形。デザインには無限の可能性があり、人の顔の印象を如何様にも変えることができる。だからこそ、人はもっと眼鏡に対して真剣になってほしい。似合う眼鏡は必ずある。眼鏡の似合わない人などいない。改めて宣言しておく。


 さて、一ヶ月以上も日記を書いておいて何故一度も眼鏡に言及していないかといえば、山陰に来て以来、私が好きなタイプの眼鏡屋に出会えていないからである。

 つらい。とてもつらい。

 東京ではお気に入りの眼鏡屋が何軒もあり、眼鏡選びに悩む人を連れて行って眼鏡屋ツアーなどもしていたのに。初見の眼鏡屋でも、並んだ眼鏡をニコニコ眺めていると「眼鏡、お好きそうですね」などと店員に声をかけられて、そこから談笑したりしていたのに。

 いま愛用している眼鏡のブランドを取り扱っている店は一応見つけていて、それを調整してもらったことはある。しかし、正直言って、その技術はいまいちだった。並んでいた眼鏡の趣味は良かったので、本当に残念なことである。

 島根には、選択肢が無い。

 夫の眼鏡もそろそろ新調したいのだが、おそらく東京に戻ってからになるだろう。

 この眼鏡へのフラストレーションを爆発させた小説が書けたら良い、と思う。


 今夜は鯖の西京焼と、芽ひじきと梅干しの炊き込みご飯。

 梅干しレシピのネタ切れが危ぶまれる。が、炊き込みご飯好きの夫は嬉しそうなので良しとする。二人で二合は多いので、普段はあまり炊き込みご飯を作らないのだ。

 前回は鯖缶を使ってその煮汁などで味付けしたが、今回は出汁を使って炊くタイプ。

 出汁は、久世幅商店の「万能だし」パックを使う。本当は昆布や鰹から煮出して使い分けたりするべきなのかもしれないが、手軽で、なおかつ味にしっかり深みが出るので愛用している。焼津のかつお節と削り節をベースに、さば節やいりこ、焼きあご、日高昆布などが使われていて、とてもバランスの良い仕上がり。味噌汁などもしみじみ美味しい。何よりありがたいことに、山陰にも店舗がある。ちなみに茅乃舎は存在しない。

 風味豊かな出汁でふっくらと炊いた芽ひじき、その磯の香りの中に、梅干しの穏やかな酸味と甘みが調和する。米はツヤツヤとして甘め、醤油はほんのりと感じる程度。やはり出汁の良さが出ていて、全体を上品に包み込んでいて、美味しい。鯖の西京焼ともよく合う。少し胡麻を振れば、香ばしさがアクセントにもなる。


 1キロの梅干しはようやく、一部底が見えてきた。早く無くしてしまいたい。まだずっしりと重いのが、そのまま私の背にのしかかるようである。

 

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