4月19日 ロメインレタスのブレゼ
先週末からまた積んでしまっていた新聞を読む。
松江にガンダムマンホールができるらしい、という他は、今日の空のようにどんよりとした記事がほとんどである。
我が家では山陰中央新報をとっている、というのは以前書いた通り(https://kakuyomu.jp/works/16817330654745085719/episodes/16817330655415069602)だが、誠実な記事と共に私が楽しみにしているのが、連載小説の『娘が巣立つ朝』である。
作者は伊吹有喜氏。タイトルだけを見るとハートウォーミングストーリーに思えるが、これがなかなかどろどろとしていて良い。
結婚の決まった娘、その父親、母親と、章ごとに視点が変わりながら物語は描かれていくのだが、結婚に関わる面倒事に「あるある」と頷きつつも、登場人物たちが毎回最悪手を打ってしまうものだから、ひゃあ!と楽しく仰け反ってしまう。
この結婚相手というのが、幼少期を母親の子育てエッセイに赤裸々に綴られて、それがまた大ヒットしてしまったという男性で、柔らかい人柄ながらも屈折した内面が見え隠れする上に、そのエッセイを書いた母親というのがまた強烈である。彼女のデリカシーの無さや主張の強さに皆が振り回され、疲弊していく。
それに対し、主人公側はどこにでもある一般的な家族だが、どこにでもあり得る危機を抱えている。夫婦で別々の趣味があり、その先の人間関係を大事にするあまり家族を見る目が曇ったり、年老いた義理の親の今後に悩んだり、自らの老いや病に向き合わざるを得なかったり。それぞれは現実にもよくある話なのだが、この物語の中では最悪のタイミングで、最悪の組み合わせで、最悪のセリフとなってぶつけられたりしてしまうのだ。
愛し合う男女であっても、結婚準備期間というのはとりわけ揉めやすい時期である。時代は変わってきたとはいえ、結局のところ結婚とは、別々の家が結びつくことになる。価値観の相違をどこまで擦り寄せることができるのか、それとも何かを断ち切ってしまうのか。自分自身のことも色々と思い出しながら、この行く末を引き続き見守りたいと思う。
ただ物語の舞台は東京なので、銀座の話など出ると私の心がまた疼くのだが。
今夜は少し冷えるので、スープ代わりにロメインレタスのブレゼを作った。
ブレゼ、というのは要するに少量の水分で蒸し煮にすることで、フレンチの用語ではあるが全く難しいものではない。
四つに割ったロメインレタスを鍋に並べ、ベーコンを散らす。その上から白ワインと水、オリーブオイル、コンソメとケチャップを少し、それに塩胡椒を回しかけて火にかける。ぐつぐつと煮立ってきたら蓋をして弱火で十分ほど放置。調理工程はこれだけ。皿に盛って、仕上げに粉チーズと粗挽き胡椒(カンボジアのやつ)を振れば完成である。
ほんのりと苦みのあるロメインレタスは、蒸し煮にすることで、シャキシャキと食感を残しながらも穏やかな風味に。チーズのコクと塩気、そしてケチャップの仄かな酸味がそれに寄り添う。レタスの旨味はベーコンの脂と共にスープにも溶けて、しっかりと味わい尽くすことができる。
場合によってはサラダよりも手軽なので、ブレゼはおすすめの調理法である。白菜などもうまい。
明日からはどうにか晴れるらしいが、そろそろ気温くらいは安定してほしいものである。
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