目覚めたら携帯が熱いことってあるよね
起きたら登録者が30万人超えていた。
「意味が……分からない」
開口一番、どこかで聞いたような見たような漫画のセリフが出た。
最終的にライブの視聴者数は10万人になってることは分かったけど、視聴者全員が僕をチャンネル登録することなんて、ありえないことだ。
気分転換に、Twitterを開いてみると、原因が分かった。
【白夜】・リーダーシオン
僕関連のことがトレンドに乗っていた。
【白夜】の規模の大きさに、改めて驚かされた。
再生回数は見てないけど、これの影響で登録者数も増えたんだろう。
あとは、なんかインフルエンサーが拡散してるのも要因の一つみたいだ。
嬉しいけど、やっぱり【白夜】の影響力が強かったんだよなぁ。
試しに【白夜】のアカウントをタップすると、石抱きを受けているタケルの画像がでてきた。
『この度はタケルの失言により、リーダーの存在が明るみに出てしまい、シオンには本当に申し訳ないことをしてしまいました。これは、反省の意味を込めて、全世界にさらけ出してます』
とのツイート。
「えぇ……そこまでやらなくても良いんだけど……」
ボソッと呟く。
「まじすみませんでした」
「!!!!?????」
部屋の隅からタケルみたいな声が聞こえて、肩がビクッ!!!ってなった。
いるんだけど!!!???
「さっきから居ました。まじすんません」
「いや、怖すぎるんだけど」
「俺のせいで、シオンが迷惑をかけたから、せめて直接謝ろうと思って来たんだ」
「謝る気持ちは凄く良いと思うけど、流石に部屋にいるのは心臓に悪すぎるから、せめて一言連絡入れてから来てほしいな……幽霊かと思ったから」
「すまん。どうしても直接謝らないといけないと思って、レオナに頼んで転移したんだ。それに、ここはユイが結界を張ってるから、幽霊どころか、泥棒とかその辺の探索者でも来ることは出来ないぞ?」
「えっ?いまさらっと聞き捨てならないこと言わなかった?」
「レオナに頼んで転移したことか?」
「違うよ。その後だよ!」
「知らなかったのか?」
「初耳だよ…」
ユイは回復や浄化などの魔法が得意で、結界を張るのもお手の物らしい。
しかもけっこう強力みたいで、その辺の探索者ってタケルは言ってたけど、レベル5ダンジョンを潜るくらいの実力ある探索者でも、この結界を突破するのは難しいみたい。
なにやってんの?
「ちなみに3人は何してんの?」
「そこのリビングでくつろいでるぞ?」
部屋から出て、リビングに向かうと、タケルが言ってたように、3人がいた。
「おはようシオン。良く眠れたかい?」
「お邪魔してます」
「zzz」
レオナはソファで眠っていた。
自由だな。
「今日学校じゃなかったっけ?」
「寝ぼけてるねシオン。今日は祝日だよ」
あ、そうだった。
今日が休みだから、昨日配信したんだった。
朝からタケルの印象が大きすぎて、すっかり頭から抜けてた。
「起きたら登録者が30万人を超えてたんだ」
「それはおめでとう!でも、すまない。自分の力で登録者を増やすって言っていたのに…」
「良いんだ。配信でも言ったけど、これ以上先送りしていると、強い強いって言われてたシオンって存在が、更に変に脚色されることになりそうだったし。言えて良かったって思うよ」
「シオンさん…本当にありがとうございます」
「いいよ。それにタケルから聞いたけど、ここ凄い結界張ってるんだって?」
「え?大したことない結界ですけど…」
「レベル5の探索者でも突破出来ない結界は大したことじゃないと思うんだけど…でもありがとう。安心して配信も続けることができるよ」
「いえいえそんな…」
真っ赤にしてユイが答える。
「身バレの心配とかもないと思うし、これからものびのびと活動できるだろうし、本当に助かるよ」
感謝の言葉を伝える。
「ふわぁぁ。おぁょぅシオン…」
ようやくレオナが起きたみたいだ。
まだ完全には目覚めてないようで、ウトウトしてる。
こう見ると、普段のレオナと違うから、こういう姿を配信してはどうかとも思う。
赤くて長い髪が顔を隠してるのも見ていて面白い。
「おはようレオナ」
「やっと起きましたね。いつものことですが、もうちょっと早く起きれないものですか」
「うゆぅ…」
「あと少しで起きるだろうし、このまま様子見でいいね」
時間はまだ正午に近い午前中。
みんないるし、これから何しようかな。
そうだ。
もう【白夜】のリーダーとして配信してしまったし、この際だからみんなで雑談配信でもしようかな。
「午後から【白夜】のアカウントで雑談配信でもしない?」
「良いね!今日のやることが決まったね!」
僕が【白夜】の配信に出ることはないため、初めて配信に映ることになる。
「基本的に私たちはダンジョン探索の配信しかしないので、今日の配信はとても盛り上がると思いますよ!」
「そうなの?」
「そういえばシオンは僕らの配信を見ないように伝えていたもんね」
「この前切り抜きを見たのが初めてだよ。今後は僕も配信やつぶやきを見てもいいよね?」
「……」
「……」
ナツとユイが黙った。
というより、顔を赤らめている。
なんで?
「見てもいいけど、怒らない?」
「なんで怒らないといけないの?」
「じ、実は……その、」
「配信も呟きも、シオンのことを言ってることが多いんだ……シオンは凄いとか、料理は美味いとか。だから怒るかなって思って」
それは確かに恥ずか死ぬね!
「えっ、毎回言ってるの?」
コクコクと2人は頷く。
「コメント欄も色々聞いてくるから、つい話し込むんだ……だからシオンに見られると僕らも恥ずかしいなって」
僕も顔を真っ赤になるのが分かる。
「……」
「……」
「……」
「今後はもうちょっと控えてもらえると助かる…かな」
顔を赤らめながら3人で頷く。
ちなみにレオナは再び寝てるし、タケルは僕の寝室で石抱きを継続していた。
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