第68話 68
68
都内、
豪華な応接室のソファーに座り思考していた。
どうすれば病気占い師シグナルスキャンの気を引けるかを。
そして宗教団体オクトパス教祖
『1にまずお前がシグナルスキャンのお得意さんになる事から始めて、この人は金払いのいい上客だと認識させる』
金払いがいい…依頼する…たくさんの人数。
そしてボタンを操作し電話をかけると直ぐに男が出た。
「私だが何かようかな?」
「
「かまわんよ」
「実はシグナルスキャンを先生の自宅に招いて病気占いを行って貰おうと思っています。人数は20人程度で、その後に彼と食事を一緒に出来るように取り計らう事は出来ますか?」
「良いが何故私の家なのかね?」
「はい、私が私財を使って病気持ちや身寄りのない人を養っている風に持って行きたいのです」
「なる程。心情に訴えて行く訳だな」
「はい。無理に行きますと嫌われると思いまして…」
「シグナルスキャンには連れがいるのだろ?問題ないのか?」
「はい、今回は私を知ってもらいう事に専念しますので居ても問題ないです」
「分かった。ならば日取りが決まり次第連絡してくれ」
「ありがとうございます」
そして
『まず、第一関門突破だな』
すると、ドアを開けて30歳くらいの綺麗な女性が入って来た。
女性は一礼すると声を上げる。
「お呼びでしょうか」
「お前が担当してシグナルスキャンを呼び出せ」
「かしこまりました」
新たな勧誘の蓋が開いたのだった。
*
俺と安藤さは一般向け占いの改善に取り組んでいた。
「まず見る順番なんだけど、早い者順で人数が上限に達したら、その日の占いは終了でいいんじゃない?」
これは安藤さんの案だ。
「でも、それだと家が遠い人は不利になるけどどうするの?」
「そこで、別の日は一般向け病気占いの予約可能日を作るの。当然だけど恐らくここにも入れない人がいると思うんだけど、ホームページ上でゲリラ的に店を開ける予告をるすの。当然、全予約枠で」
「それで納得してくれるかな」
「納得も何もこう言う店だと思ってもらうしかないわね」
そんな改善を行いながら店をやっていると、お仕事依頼メールが入った。
このメールは企業限定にしてあるのだが、個人の名前で入って来たのだ。
『衆議院議員、
電話番号 000-8686-1616-04510-194』
とりあえず無視する事は出来ないので安藤さんが連絡をすると、この店で話をする事になったと報告して来た。
安藤さんからは個人名だけど団体での依頼話らしいとの事だ。
電話当日の夕方に女性は現れた。
紺色のスーツに身を纏った30代くらいの綺麗な黒髪の女性だ。
特に変な違和感はないので、二階の応接室へと案内した。
「初めまして オオヤマ サチコです」
女性はソファーに座るとそう名乗り頭を下げた。
安藤さんはいつも通りに名刺にて挨拶し、俺は名乗るだけの挨拶とした。
「まず、話を聞いて頂きありがとうございます。私は衆議院議員、
俺は話を聞いていて少し重い?話だなと思ったが、安藤さんはそんな感じではなく直ぐに質問をした。
「慈善団体に登録とかはされているのですか?」
「いいえ、あくまでも個人で行っているので登録等の手続きは行っていません」
「そうすると、個人の依頼と言う形になるのですけど…」
「はい、それは重々承知の上でお話に来ました。名目上団体だと思い依頼を受けては頂けないでしょうか。謝礼は十分に支払う用意があると
「ちなみに場所は何処にあるのですか?」
「横須賀市になります。当然ですがお二人分の交通費等は出させて頂きます」
「依頼料金と交通費を支払うより近場より医者を呼んだ方が安くないですか?」
「医者を呼んで健康診断を行う場合、一人当たりある程度時間が掛かるので、それに耐えきれない人が出ると思うので断念をしています。その代わりシグナルスキャンさんなら病気占いにかかる時間は、ほんの僅かと聞いております」
俺と安藤さんは顔を見合わせて悩んだ。どうするのかと。
俺の本心としては横須賀に行ってみたいと言うのが本音だ。仕事は別として。
後はいつも通りに安藤さんに丸投げにする。
安藤さんはため息を一つついて答える。
「分かりました。お引き受けしましょう。ただし今回だけと言う条件ですがよろしいですか?」
「はい、ありがとうございます」
俺達の横須賀行きが決まった瞬間だった。
*
私はVチューバーヤミコ。
私が流したリアルヤミコの流した映像が海外に無断アップロードされていたのを、リスナーの力を借りて削除に乗り出した。
そして私は時間が掛かったがある程度アダルトサイトより動画を削除するのに成功した。
私は配信をしながら協力してくれたリスナーに呼びかけた。
「みんな、ありがとう!みんなのお蔭で私の動画をほとんど消せる事が出来ました」
良かったねなどのコメントが流れる。
「以前約束していた特別写メをプレゼントします。写メはVチューバ―ヤミコとリアルヤミコのツーショット写真です。それを今からこの場で先に公表します」
私はパソコンを操作して画面中央に写真を映し出した。
リアルヤミコは、全身黒いレオタードに尻尾が付いたスタイルで、顔は猫の被り物をして口元は黒いマスクで隠していて、目だけが出ている物だ。当然初めての顔と言うより目出しだ。
Vチューバ―ヤミコも同様に猫のレオタード姿でお互いが寄り添い合っている写真となっていた。
リスナーのコメントが嵐のように流れる。
当然ヤミコは目が追い付かず読めないので諦めて次へいく。
「この写真にリスナーのハンドルネームを入れてプレゼントします。私が動画を消しました、もしくは消す手伝いをしましたと言う方は下のフォームにハンドルネームを入れて下さい。近日中にフォルダーにまとめて上げておきます」
リスナーからは喜びのコメントが溢れた。それは手伝っていなくても誰でも貰えるものとなっていたからだ。
最初ヤミコは動画を消した人のみと考えたが、立証が難しいので直ぐに諦めて全員に変更したのだ。
-
そして数日後、ヤミコはハンドルネーム入りの写メを一斉にアップロードした。
だが、ヤミコは知らなかった。簡単に写真の文字が消せる事を。
その日からSNS上にリアルヤミコとVチューバ―ヤミコのツーショット写真が溢れたのであった。
ただ、見た目にはチョットセクシーに見えるが、可愛いの部類に入るのが唯一の救いだった。
それを知らないヤミコはSNSを開いて「なんじゃこれ!」と叫んだのは些細な事だった。
そして二度と写真を上げない事を誓ったのだった。
SNSは怖いね。
-
ヤミコのセクシー動画は一旦見なくなったが、誰かがパソコンに保存しておいた動画が流出し、又もや動画が拡散された事は未来のお話。
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