第20話 20
20
しばらくすると大学も夏休みに突入した。
俺と安藤さんは営業の戦略を考えていた。
ホームページを作り店の宣伝をしてお客さんから助かったなどの声を貰った。
だが、それはほんの一握りの人にしか周知されてはいない。
俺と安藤さんは周知を目的に名古屋市を中心に、ドーナツを描くように営業を始めた。
営業を始めて見ると面白い事が分かった。
とてもお客さんが多い所と、ギリギリ場所代が稼げるかと言うくらいしかお客が来ない場所があった。
一回行っただけでは判断できないが、客が少ない場所は次の営業計画から外す事にし、以前のようにリベンジなんて事はしない事にした。
移動にもお金がが掛かるのでそう言う方向性にした。
そして営業が落ち着いた所で俺は安藤さんをお礼と言う名の遊びに誘う事にした。
安藤さんには何かと仕事としてお金を渡してはいたが、現状だと大学生のアルバイト金額を下回る感じだ。
俺は営業終了後の喫茶店で切り出す事にした。
「安藤さんお疲れさま」
「あっお疲れ様。今日もまあまあのお客さんだったね」
「そうだね。この場所は営業的に一応
「そうだね。
「それから俺からの提案なんだけど、この数週間かなり安藤さんには占いを手伝ってもらったから俺からお礼って言うか、一度休みにして遊びに行かない?」
「遊び?」
「うん、例えば遊園地とかそんな感じの。行きたい所があれば言ってよ」
俺はここまでのやり取りで心臓はバクバクだ。
女の子を遊びに誘うなんてこれが生まれて初めてだからだ。
安藤さんは少し考えた後にボソリと話し出した。
「私実はネズミの国に行った事がないの。本当は大学2年の時に友達達と行く予定だったんだけど、病気になっちゃってね…」
俺は安藤さんの話を聞いて瞬時に頭を働かせて一つの案を出した。
「なっならさっ!東京見学して初の東京出張営業してその後にネズミの国に行かない?」
「えっ!?」
安藤さんは驚き目をパチクリさせていた。
「さっき休みと言いながらの提案なんだけど、営業だから交通費も経費で出せるしどうかな?」
「いっ行く!絶対東京旅行行きたい!
安藤さんは机の上に両手を着き、俺の方へ前のめりになり話す。
俺はよっぽど嬉しかったんだなと思いながら、俺達は東京の行きたい所や食べたい物の話で盛り上がったのだった。
それから俺は旅行の準備をしつつ初の地元以外の営業と言う事で、旅の恥は
*
インターネット掲示板スレッド
『怪しい占いに行ったんだけど興味あるやついる?』
151:名もない占い師
チート持ち東京出張キター!
ホームページに営業予定が張り出されたぞ
ttp://www.シグナルスキャン.cheater_dayo
152:名もない占い師
俺絶対行く
153:名もない占い師
俺はヨメ連れて行こうかな
154:名もない占い師
>>153
うらやま
155:名もない占い師
俺じいちゃんとばあちゃん連れてくわ
156:名もない占い師
>>155
支払いはじいちゃん持ちとか?
157:名もない占い師
>>156
俺は連れて行く足代わりだから支払いはお願いするw
158:名もない占い師
寄生してまで病気見てもらうとか、それも病気じゃね?w
159:名もない占い師
金を払ってもらってでも行く価値はあるぞ
俺は自分で払うがな(`・ω・´)
160:名もない占い師
人多すぎて見てもらえるかな?
161:名もない占い師
>>160
俺はそんなに多くないと思うぞ
正直ネット以外騒いでないからな
162:名もない占い師
人によってはチート持ちに会える最初で最後のチャンスかもしれないぞ
163:名もない占い師
それはあり得るな
*
東京営業旅行当日、俺と安藤さんは朝早くに名古屋駅にいた。
営業は明日なのだが、今日は東京観光と言う事で早めの出発にした。
俺の服装は普段学校へ通っているジーパンスタイルだ。
安藤さんは夏と言う事で薄いピンクのワンピース姿だ。
俺は安藤さんの姿を見てちょっとだけドキドキしたが、旅行前の確認をする事にした。
「安藤さん忘れ物ない?」
「たぶん大丈夫。鈴木君こそ忘れ物は?」
「ないと思うけど、安藤さん携帯持って来た?」
「もちろん。営業に携帯は必須だからね。当然パソコンも持って来たわよ」
安藤さんの携帯電話だが占い用に俺が契約し安藤さんに貸したものだ。
安藤さんはホームページからのメールを安藤さんの個人携帯で受けていた為、これから先いろいろ使うだろうと予想して渡した物だ。
データ使い放題の電話は5分無料にした。
これでパソコンを携帯に繋げばどこでもネットが使える環境が出来た。
当然だが、機種は安藤さんが普段使っているリンゴ社の最新型を用意した。
画面が大きく仕事がしやすいだろうと言う俺の勝手な判断だが、安藤さんは値段が高いとか最初は言っていたが、携帯の使い心地に満足しているようだった。
俺の携帯使用頻度は本当に少ないので占い用携帯購入は却下した。
「よし、それじゃあ、いざ!東京へ出発!」
そして俺と安藤さんは新幹線に乗り込み営業と言う名の旅行へ出発したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます