第39話 パソコン

「パソコンを見て」


えっ? 司書に言われてパソコンを見たら、パソコンの中で文字が勝手にスクロールしてる。


「ただ、画面を眺めて」


言われたとおりにパソコン眺めたけど、ただ黒い塊がひたすら動いてるだけだ。


「なんにも見えないけど」


「そのまま見てて。ただ見るの」


他のパソコンも同じ状態になって、梨偉人と詠子も同じようにしてる。しばらくして二人の前のパソコンの電源が落ちた。どうやら読み終わると電源が落ちるらしい。二人はあっというまに容量を掴んだみたいで、どんどんパソコンを攻略していくけど、俺だけまだ一台目がクリアできない。


「くそっ! なんで俺だけ出来ないんだ」


イラっとしてパソコンを叩いたら、パソコンになんか映像が映った。



「これ、私の好きな本よ」


そう言って司書が古い本を差し出した。何度も読み返したみたいで表紙がボロボロになっていた。渡されたからしょうがなく読み始めたけど、わりと面白くて、もうすぐ読み終わるところで転生した。タイトルは忘れたけど、確か物語の中に主人公が入り込んじゃうみたいな話だった。で、映像が消えて気づいたんだけど、このパソコンの文章、あの本だ。


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