第15話
「ああ、光が見える!やっと出口だぞ!」
そのクラスメイトの歓喜の声と共に九条を除いた僕のクラスメイトは途中でモンスターに遭遇しないように僕が予め付近百メートルモンスターにいるモンスターを即殺していたおかげもあり、モンスターとのエンカウント無しで無事脱出に成功した。
現在の外の状況を確認するために分身を飛ばすと、悠乃という女子が無事帰還しているのが確認できた。ただ、相当先ほどの出来事が辛かったらしく何も話せていないようだった。さっきの出来事話したらどうなるんだろう?信じてもらえるのかね?そもそも話せるのか?そう疑問を抱いただけで特に異変はなかった。
そのため、中の状況把握が出来ていなかった教師はその僕たちが謎に喜んでいる様子を見て胡乱な眼差しを向けた。
「どうした、お前ら?何かあったのか?」
「せっ、先生!ドッ、ドラゴンが、ドラゴンが出たんです!」
少し呆れたような顔を僕たちに向けてくる。
「はぁ?ドラゴン?何の話をしているんだ?このダンジョンにはドラゴンなんて出ないだろうが」
「いや出たんですって。多分イレギュラーで!」
あまりのその生徒と周りの必死さからドラゴンが出たということが本当であるということを信じたらしく、今度は教師が焦り始めた。
「ちょっと待った。お前ら全員いるな?先生はこれからダンジョン内の奴らに避難勧告を出してくるから絶対に動くなよ。いや、ちょっと待って。中に入るべきか?俺一人で?うーん……」
そうブツブツ呟き考え込んでしまった教師に無慈悲にも追い討ちがかけられる。
「せっ、先生!大変です!九条がいません!」
「そうか、九条がいないか。分かった。……っておい!本当か?」
「本当です!」
「……一人で取り残されているってことか?それとお前たちはドラゴンに遭遇したのか?それとも見ただけなのか?」
「遭遇して逃げてきたんです」
その言葉で教師は頭を抱えてしまった。当然のことだ。ダンジョンに一人で取り残されるのと周りに人がいるのとでは生存確率が大きく違う。……相手が蒼龍の場合は関係ない気がするが。僕たちに再度絶対に動くなよと言うと教師たちが集まっているところに駆け出して行った。
そこで、久保田くんのクラスが戻ってくる。そこでも生徒からドラゴンが出たと話がされたらしく、教師陣は本格的に忙しくあちこちに走り回り始めた。
その後、ずっとその場で待機していた僕たちは今日はもういいから帰れと言われて一旦寮に帰された。僕は分身を飛ばして事態を把握する。
一応、帰寮後に、九条以外は脱出に成功したらしかった。まぁ、僕がそれとなく誘導魔法かけてたんだけど。そして、僕の予想通り、ドラゴンに遭遇したといえども僕と西野さんのことを踏まえると生存している確率はあるということで、救出部隊が派遣されることが決まったらしかった。ただ、どうやら学園の教師が行くのではなく現役最強探索者が行くらしい。これが親の権力か……。
まぁ、いいや。じゃあ、救出作戦はその人たちに任せるか。一応、実力とかが分からないから分身は出して確認しておくけど。
そうして僕は次の作戦に移行した。
僕が九条にあらかじめかけておいた魔法、悠乃という女子にフラれたら発動する魔法の完成のために
加奈はベッドの上で寝苦しそうに何か呻きながら眠っていた。
僕はそんな彼女を
こうすれば、明日から加奈は元に戻れるだろう。そして、九条に仕掛けておいた魔法が作動することによって加奈のことを九条が再び意識しだして二人がくっつく。
そして、僕は二人の関係が頂点に達したところで九条から、——加奈のことを形だけ奪う。更に——
うん。完璧な作戦だな。じゃあ後は九条の帰還を待ちますか。
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更新遅れて申し訳ありません。忙しいので文字数も少なめです。第一章完結が見えてきましたね……。
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