第24話*アルテ皇后とホシノカケラの更なる真実

 今日からアルテ皇后と2人きり。凄く緊張する。初対面で、相手の母親、しかも国の皇后と一緒なんて、まだ現実味がない。


「ミサ、緊張しないで? さっきも言ったけれど、いずれ貴女の母になるんだから、ね?」


 皇后は優しく微笑んでくれている。


「ありがとうございます。けれど、やはり緊張はしてしまって……国の偉い人、皇后様と2人きりなので」


「そう、よね。緊張するわよね? シリウスも居ないしね。けど、ゆっくり馴れてくれたら嬉しいわ。それと、良かったらと呼んでね?」


 皇后が、私の緊張を解こうとしてくれてるのが分かる。


「は、はい! で、では、お義母様……と呼ばせて下さい。それで、あの、私、大丈夫でしょうか? 皆さんに認められるような何かってあるでしょうか……?」


 私なんかで……何か役に立てたりするのかな? 不安でたまらない。 そんな私の気持ちを察してか、優しく接してくれてる。


「大丈夫よ。シリウスが選んだ娘なんだもの。きっと……それで、何か魔法は使えるかしら?」


「それが全く使えません。私の住んでいる国……地球で魔法は、空想の世界の話でなので」


「そう、なのね。あ! そういえばミサは、12年前にこちらに来たのよね? シリウスに聞いたわよ? あの時の娘だって。もう一度会いたいと思っていたの。だからきっと、貴女には何かあるわ。偶然にしても、幼い貴女が来れるようなところでは無いもの。シリウスも言ったと思うけれど、普通はホシノカケラやホシノシズクが無いと、他の星や国からは入れない筈なのよ」


「確かにシリウスに聞きました。ホシノカケラもシズクも持っていない私がここに来たのは偶然じゃなくて、運命かもって」


 本当に運命ってあるのかな?


「ふふっ。私の前だからって、シリウスにつけなくて良いわよ? そういえばミサ、貴女は今回、髪を染めていないのね?」


 まだまだ緊張してるのバレてるよね? を付けなくて良いって言われたら、直ぐに外すべきかな。


「髪を染めては失礼と聞きました。幼い頃からずっと黒く染めていたので、元の色も覚えていませんでした。が髪を元の色に戻してくれて……ずっと黒だったので、まだ不思議な気分です」


「そうだったのね。チキュウの貴女の国では、黒髪が主流の様ね。この国では髪の色も個性だから、染めることは基本的に禁止なの。貴女の髪の色素敵よ。まるで、水の精霊のような綺麗な色ね」


 精霊だなんて……何でこんなに褒めてくれるんだろう。


「そんな、精霊だなんて。勿体ないお言葉です」


「そんな事無いわ! それくらい透き通った青い色よ。シリウスも好きな色。そうだわ! この国で王族になる人は精霊と契約する事になっているの。少し難しいけれど、きっと貴女なら大丈夫! 私は森の精霊と契約しているわ。シリウスは、花の精霊と。貴女は、水の精霊と契約を結んではどうかしら?」


「水の精霊、ですか?」


「そうよ。シリウスが貴女に幼い頃渡していたホシノカケラ、あれも水の精霊が我が国に納めたものよ。水色の石を持っていたでしょう? 精霊と契約出来れば立派な王族の印。皆に認められるわよ?」


 ね? って、お義母様は言ってるけど、そんな凄いこと出来るのかな? 魔法も使えない、異世界の一般人が精霊と契約なんて……


 精霊と契約できると証明できれば、王族って認められるんだろうけど……何だか凄い話よね。


「私が持っていたホシノカケラは、水の精霊が納めたものだったのですね」


 精霊が納めた石……やっぱり凄いんだ。国宝だもんね。


「そうよ。それに本来なら、幼い子供がホシノカケラをずっと持つことは出来ないの。カケラの持つ力が強いから。けれど不思議な事に貴女はあの石を何年も持てていた。それはとても凄いことなのよ」


 強い力……持てないってどういうこと、なのかな。


「そうなんですか!?」


「それぞれ、精霊たちが力を込めて国を守るために納めてくれた石。それをまとめてというの。そして、納めてくれた代わりに王族はそれぞれ精霊と契約し、森や湖、自然を守っていく事を誓うの」


「それぞれの精霊達が……」


「そう。だから、貴女をに帰したのは陛下と私だけれど、その時は貴女がホシノカケラを持っていることに気付けなかったの。それもとても不思議な事で。ホシノカケラを持っているのが分かっていたら、外してから貴女を帰していたわ」


「そうですよね。国宝、なんですもんね。私もシリウスに聞いた時は凄く驚きました。分かっていれば、私が持ったまま地球に帰ることは無かったですよね」


「そう、使い方を間違えば大変な事になるもの。暴走すれば貴女が怪我をしたり、何処か異空間に飛ばされたりしたかもしれない。シリウスが持ち出したと分かった時は焦ったわ。それを貴女に渡したと知った時はどうようかと……」


 暴走!? そんなに危険な石だったなんて。


 私は顔が強張り、震えてきた。


「驚くわよね? それから、他のホシノカケラを使って貴女を探したけれど見付からなかったの。不思議よね? 何か力に阻まれているような感じだったわ。けれど、シリウスが花の精霊と契約した後、力を使って貴女の居る場所を探し当て、辿り着いたってわけ」


「そ、そんなに大変な石だったんですか!? けれど不思議ですよね? そんなに力を持ったホシノカケラを私が持ててたなんて」


「そうなのよ。この国でも子供は危険だから、ホシノカケラを触ることの無いようにしているの。大人になればある程度力は抑えられるはずだけれど。だからきっと、貴女には何か力があると思ってる。そして、水の精霊の石を持っていたのだから、きっと契約出来ると思うの」


「私に力が? 契約出来るか試してみたいです。何をすれば良いですか?」


「森の中にある、泉に行きましょう! そこに水の精霊がいるわ」


 私はお義母様に案内され、城の近くにある森に入って行った――

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