第50話 三角ってそもそもなんなん?

「そうだな。まあ何かあればその時考えればよい」

「なんだか不思議な感じですね。同化していると本当にテペ隊長の気持ちもわかって来るなんて」


「それはこちらとて同じだな。キミヨ、そろそろ腹が減ったのか?」


「もう! テペ隊長! 今はそんなこと言ってるときじゃないでしょう!」

「ふむ、戦場でも腹が減るのは良いことだぞ」


「これでも私は乙女で、ってそうだ! 忘れてましたけど私、現実世界で誰かに騙されてここに連れて来られたんですよ!!」


「なに? 無理やりだと?! さすがに三角もそこまでやるとは思えぬが」


「三角ってそもそもなんなんですか?」


「そうか、そこからだったな。キミヨ、三角とはこの世界だ。ゲームを仕切る存在だ。三角が作った世界では三角の定めたルールに従うしかない。それがたとえどんなに繋がった仲間であってもだ」


「それって」

「口には出せぬがもう感じ取ったのだろう?」


「ええ。でもテペ隊長。大丈夫なんですか?」

「やるしかあるまい。私はそもそもこのゲームには反対なのだ。なぜ三角は戦いも知らぬ者を次々とここに送り込み帰すのだ? それに何の意味があるというのだ?」


「そしてキミヨ」

「はい?」


「初めて私と同化できるものが現れた。三角がこれを望んでいたというのなら望みは叶ったのだ。これ以上この世界のゲームに付き合う必要があるのか?」

「それは、私にはわからないけど、同化した時点でゲームが終わらないってことは同化だけではないってことなのでしょう?」


「ああ、面白いものだな」

「え? なにがです?」


「同化する前まではそのような思考を進める人物ではなかったが」

「あ、ほんとだ。わたし、なんでこんなことを考えてんだろう?」


「これが同化というものらしいな。視界だけではなく思考も同化していくのか。そう言えばネロが面白いことを言っておったな。同期した後は自身が自分ではない感覚、同期した者の感情というものがネロに新しく備わった感じだと言っておった」


「感情の同化?」

「ああ、そのようにネロは言っておった。さて、キミヨ。少しお前の世界の話を聞かせてくれ。どのようにこちらの世界にやって来ることになったのか聞いておきたい」


「ええ。わたし、その日、面白くない事があって家に帰らずに街に遊びに出かけてたの。そこで声をかけられてその人についていったのよ。そしたら<スリプカアポ>っていうアプリを入れろって言われてね」


「その<スリプカアポ>? というアプリ? を入れるとこちらに来たというのか?」


「いいえ、説明しずらいんだけど。そのアプリっていうのを入れただけだと特に何も起こらないの。まあ睡眠の管理くらいかしらね。で、その男はわたしに今アプリを入れたらヘッドセットをプレゼントするって言ったのよ」


「ますますわからん言葉だらけだな。しかし感覚の同化が進めば理解できるのかもしれんな」

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