第49話 同化現象
「キミヨ、今から私が話すことをよく聞いてくれ」
「は、はい」
「キミヨ、今から私が話すことは絶対に誰にも言ってはならない」
「はい」
「いいか。まずこのゲームの目的は昨夜も話したが、三角の作った世界のゴール、教会にたどり着くことだ」
「はい」
「しかしこれまでゴールできたものはいない。そして今回から我ら七頭がガイドを務めゴールを目指すこととなった」
「今までは参加者だけで教会を目指していたんですか? この戦場の中を?」
「ああ、そうだ」
「そりゃゴールできないわ」
「まあ、七頭それぞれの世界があるのでな。私の世界が戦場だということだ」
「他にはどんな世界があるんですか?」
「行方不明になったウスの世界は海の中だ。他にも森の中や砂漠などもあるな」
「ほえー。そうなんですねえ。どこもなかなか難しいんでしょうね」
「まあ簡単ではないな。キミヨ、私は前回の七頭会議の後、クラという七頭がある情報を秘匿していることに気づいた。そしてそれをネロ、七頭の一人に話したのだ。そしてその後のゲームでネロが連れた者も同期したのだ」
「え? すごいじゃないですか」
「だが、その者は教会を目指さず途中で帰ってしまったそうだ」
「帰る? なんでですか?」
「さあな、その辺りネロは話そうとせぬ。しかしその後明らかにネロの様子が変わったのだ」
「それは?」
「同期した者の思考が我ら七頭に影響を与えるのだろう」
「ってことは私の思考がテペ隊長に影響する?」
「そうなるのだろうな」
「で、あのさっきネロさんのゲームに参加された方は途中で帰ったって? 帰れるものなんですか?」
「キミヨ、この世界を作ったのが三角である以上、帰る、ということはこの世界で死ぬということ。そしてそれはお前の言う現実世界でも死んでしまう可能性が高いと考えられる」
「え?! じゃあ、さっきの爆発とかで死んだら」
「ああ、あちらの世界でも命を落としてしまうだろう」
「そ、そんな!」
「だからキミヨ、お前は自分の身を守れ。そして自分の身を守るためなら何をしても構わない」
キミヨはテペ隊長の目をじっと見つめる。
そしてテペ隊長の目の中の黒い瞳を見ているうちに、テペ隊長の言葉が真実であることを感じ取る。
キミヨの左目はテペ隊長の左目と繋がり、二人の思考は共有されつつあるようだ。
「テペ隊長、そのクラという七頭はやっぱり怪しいと思います」
「ふむ、同化というのもなかなかに面倒なことだということが分かった。確かに怪しい。怪しくはあるがだからと言って何ができるわけでもないぞ、キミヨ」
「ええ、現状どうしようもないですね。私たちはこのまま教会を目指す以外の選択肢はないですね」
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