オレって

「オレは何で店のNo.1じゃないんっすかね」


「どうした?」


「人気ないなぁと思って」


「好きな奴は好きなんじゃない?」


「例えば?」


「うちの妹」


「ピンポイントすぎるッ!!やっぱオレはダメなのかなぁ」


「ダメってことはないよ。No.1じゃなくても本当に好きな、コアなファンっているからさ」


「そうっすか?みんなから求められなきゃ存在する意味がないと思うんっすけど」


「まだまだ世の中知らないな」


「どういうこと?」


「表面的じゃなく、いろんな角度から好きな奴ほど本心で向き合ってるのさ。良いところも悪いところも」


「ちなみに悪いところはなんっすか?」


「匂いがくどい、お子ちゃまっぽい」


「ひ、ひでぇ!」


「まぁ俺はそんなところが好きだけどな。きっと他にもそういう奴いるよ」


「一般ウケする方が価値があると思うけどなぁ」


「人気だから価値があるんじゃなくて、元々価値があるんだよ。例え誰からも相手にされなかったとしても、本質の良さが消えることはないよ」












「じゃあ、オレをカフェうちのオススメメニューにして良いっすかね?」


「良いけど、表記は正式名称の『カフェ・オ・レ』にしてくれよ。今の若い奴はすぐ言葉を短縮するんだからな…頼むよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一介駄物 花邦イチ @Hanakuniichi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ