第29話朝チュン

 ん……痛い。

 頭がズキズキする。

 なんで?

 あ!そうだ!

 昨日、ルーカスと飲んでたんだ。


 はて?

 飲んで……それから……?

 

 

 あああぁぁぁぁ!!!

 途中から記憶がない!!?



 目覚めたら頭がガンガンで記憶が途中からない!


 確か昨夜は、ルーカスの部屋で飲んでて……。

 ヤバい!思い出せない!

 いやいや、待てよ。良い年代物のワインを開けてルーカスの愚痴を聞いてたんだ。王様って大変だな、と思って何かルーカスに言ったような記憶はあるんだけどな……。何故かルーカスは物凄く上機嫌でやたらに盛り上がった気がする。


 う~~~~ん。

 ダメだ。まったく思い出せない。

 飲み過ぎて頭が痛いし、喉もイガイガして気分が悪いし、最悪の目覚めだ。

 ベッドの上で身を起こそうとすると隣で誰かが寝ている事に気付いた。

 恐々とそちらに目をやると見慣れた美男が気持ち良さそうに眠っている。


 なんだ……ルーカスか。


 良かった。ホッとして胸を撫で下ろす。

 しかし、この状況は一体何だ? なんで一緒に裸で寝てるんだ? 俺は酔っぱらうと脱ぐ癖があるのか!? うーむ。全く思い出せないけど、まあいいか。

 相手がルーカスだと知って、一先ず安堵した。

 だって見知らぬ女官や侍女が隣に眠ってたらそれこそ大騒動だ。

 ルーカスは起きる気配もなく眠り続けている。


 あどけない寝顔で無防備に眠る姿は、起きている時の凛々しい印象とは違ってとても可愛らしく感じてしまう。



 

 体を起こそうとするとズキンっと下半身に鈍い痛みが走った。

 んっ?!思わず声が漏れそうになるのを何とか抑えるとあらぬ処に激痛が走ったのだ。


 原因というか、身に覚えがあり過ぎる痛みに一気に青ざめた。

 まさかな……いくら何でも僕はそんな節操なしじゃないはずだ。

 そう思うも腰の痛みとお尻の中にまだ何か入ってるような違和感は過去に何度も経験しているものだった。

 これは間違い無くアレだよね。ルーカスとやっちゃったって事だよね?

 うわぁぁ!!ど、ど、どうしよぉ!!! よりにもよって相手があのルーカスだなんて!!!

 

 不敬だけど弟のように思っていた存在と!!?


 夢なら冷めて欲しい。


 しかし残念ながらこの鈍い腰の痛みは紛れもない現実だった。

 

 本当にどうしてこんな状態になったんだ!?

 昨夜一体なにがあったっていうんだ!!!




 


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