第11話
「何も知らない」
その言葉一つで恐怖と絶望のどん底へ叩き落された。
知らないのなら知ろうとすればいいじゃないか、怖い怖いと立ち止まっていないで一歩でも足を踏み出してみればいいじゃない。
何もしないでそんなこと言うのは違うんじゃないかな?
かつて誰かに言われた言葉が暗闇の中で永遠にハウリングする
誰かにとっては背中を押してくれる前向きな言葉かもしれない、けれど自分には突き放すような言葉にしかならなかった。
「…嫌な思い出」
いつの間にか布団の中で丸くなっていた。
何も考えたくない、と逃げるように外へ出た。
「まぶし。」
外に出るや否やオレンジ色の光が激しく目に突き刺さる。
幻想のような空がどこまでも、果てしなく広がっていた。
夕方と夜の境目、太陽に負けじと青い空で光る星。
「はぁ…」
たったそれだけ、けれど大きな衝撃。
「人生を変えるのは意外と小さなことであっさりと、けれど大きくすべてを変える、良くも悪くもね。」
いつか祖母に言われたその言葉が暖かく胸に響く。
「わからない、怖い、わからない、どうしたらいい、何もわからない、だから怖い。けれど何かしてみてもいいのかもしれない。」
「勝手に絶望して、勝手に逃げて、勝手に救われるとはねぇ、よくわからねぇなぁ、人間ってのは。」
いつの間にか背後にミサキはいた
後頭部をかきながら首を傾げ不思議そうな顔
「ねえミサキ、本当に何も、どんなことでもこの世界のこと知らないの?」
「知らない、何せ私は創られたばっかだしな」
「そう、じゃあ知りに行くの、ついてきてくれる?」
「それは構わねぇ、何せ寧音のお供が創られた理由だしな、それは知っている、それだけ、な。」
「じゃあ行こう、今から。」
「それは嫌だ、だってもう夜じゃねえか」
「それは、そう。」
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