第10話
「さて、これから
朝食を終わらせ片付け後お茶をすすりながら疑問を投げかけてきた。
「うーん、これからって言われてもなぁ…」
そう考えるもの当然と言えば当然だった、何せ死んだ!と思ったらよくわからない空間で変な神々とその使いに転生がどうたらこうたらと言われ、惰性で選んだ結果天空から地面に叩き落された、そんな状態で「じゃあ私はこれからここでこんなことやあんなことする!」とすぐ決められるだろうか、いや、ない。
「あ、でもそもそもこの世界のこと知らないから今始めるならそこからかな。」
「なるほどなぁ、確かに。」
「うん、じゃ教えて?」
「は?」
「は?」
私は人生の中で初めて鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした人間を見た。
「えっ?いや、あの、ね?この世界についてお、しえてほしいなぁ…っていったんだけど。」
まさか自分で私は神の使いだ!と言っていた人が
「えっ?何それ知らないんだけどwwww」みたいな顔しているなんて
「えっ?何それ知らないんだけどwwww」
言いやがったこいつ、顔だけにしとけよそういうのは。
最初はふざけているのかと思ったがその後の沈黙の空気を以てして理解した。
ああ、これは本当なんだな、と。
そして自分の体から血の気が引いていくことを、顔が青ざめる、という感覚を身をもって味わうこととなった。
「あっ、えっ。」
音となったのはそれだけ、それ以外は音にすらならず、池で人に餌をよこせと群がる鯉のごとく、無様に口をパクパクと、空気を吐き出す以外に何もできなかった。
目に涙が溜まっていることもわからず、焦り、怖がり、怯え、ただただ絶望していた。それしかできなかった。
未知の世界に何の説明もなく、ただ送り込まれじゃあここで生活してください、自由にと言われたところで、「はいわかりました」と素直に飲み込めるわけもなく、わからないというだけでその不安は人を震え上がらせ縛り付けるには十分だと、後に知ることとなる。
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