ハイタッチ
あなたへ
あなたは、覚えていますか。
ハイタッチが、我が家でのいつもの挨拶となった始まりの日のことを。
あなたが仕事へと出掛けてしまうことが寂しくて、
玄関先であの子が泣き出すようになったのは、
あの子が幾つくらいの頃だったでしょうか。
泣いているあの子を宥めて出掛けていたあなたは、
やがて、あの子との新しい挨拶を思いつきましたね。
行ってきますの、ハイタッチ。
それを始めてからのあの子は、あなたが仕事へ出掛けても、
泣かなくなりましたね。
そうして、それはいつの間にか、
あなたと私の挨拶にもなっていきました。
あれから、
あの子が幼稚園に上がっても、
小学校に上がっても、
ずっと、ずっと続けてきた我が家の挨拶。
今でも、続けていますよ。
あの子は、反抗期を迎えたけれど、朝は必ず、ハイタッチで送り出します。
もちろん、武道のお稽古に送った時も、頑張ってね のハイタッチ。
小さかったあの子の手は、
どんどん大きくなって、
力強いハイタッチに時々、手が痛いけど、
これからも、ずっと、この挨拶を大切にしたいと思っています。
あの子がいつか、巣立つ時も、
いつもと変わらず、ハイタッチで、
いってらっしゃいって、見送りたいなって、
そんなふうに思っています。
あなたが見つけてくれた我が家の挨拶は、
今でも私たちの宝物です。
2017.07.15
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