第17話

 フレンドになったフジイチはシトリに肩に担がれて、街に帰る。


「それじゃあ、俺はログアウトするけど、もし、何処かにいく時は、チャットで連絡取れるようにしとくから、気軽に連絡して」


 そう言い残して、シトリはログアウトした。


 フジイチはシトリからもらったフレンドの情報を見ながら、レイミャーコに連絡を取った。

 シトリは、デモリッシュというクランに所属していて、職業は悪魔の遊撃者。レベルは87と高い。


『シトリってプレイヤー知ってる?』

『知ってるけど何?』

『フレンドになれって脅された』

『あー、マジか。まぁ、仲良くしとけば?レベル高いし、いい感じにこき使いなよ』


 レイミャーコの軽い言葉に、それで良いのかと意外に思う。そして魔物狩りには丁度良いかもしれないと、考え始めた。


 フジイチは休憩してからレンタル屋でMP回復薬を作り、拠点に移動する。

 近寄って来たナギノミナを触りながら、忘れていた《ダンジョン作成》のスキルを取得する。シトリとともに、戦闘した時のレベルアップしたスキルポイントは残して置くことにした。

 フジイチは、《ダンジョン作成》をタップして、


『ダンジョンの作成を開始しますか?※ダンジョンが作成されると、ダンジョンコアの魔物が出現します。その魔物が倒されると、ダンジョンとダンジョンに出現する魔物の存在が消されます』


 と、画面に表示される。

 書かれている注意書きに悩んでいると、ナギノミナが鼻先でフジイチの体を押す。


「大丈夫ってこと?」


 フジイチの言葉に、鼻息を鳴らして返事をした。フジイチは、ナギノミナに背中を押されて、ダンジョンを作成する事にした。


『どこに作成しますか?』


 ワールドマップが大きく現れる。指と人差し指で広げるようにスワイプすると、マップがズームされ、難易度とその土地の特徴、拠点との相性が表示される。拠点との相性というのは、拠点の属性がその土地にあっていると、出現する魔物が強化される。


 フジイチが候補に出した場所は、3つ。


 1つ目の候補はアブラットから遠い場所にある盆地の湖の近く。近くにレベルの高いクランがあるが、レベルの低い野良の魔物も迷い込みやすく、ダンジョン内の魔物がレベルアップしやすい。拠点の相性は、96パーセントと高い。


 2つ目の候補は砂漠にあるオアシスの近く。クランは近くに無いが、レベルの高い野良の魔物のが出現する。ダンジョン内の魔物が殲滅される可能性がある。拠点の相性は78パーセント。


 3つ目の候補は海の中。クランも無く、レベルの低い魔物でレベルが上がりやすい。しかし、拠点の相性は35パーセントと低かった。


 フジイチは、3つ目の海の中にした。理由はクランが無いことと、魔物レベルが低いという事だ。相性はこれからゆっくり上げて行けばいいだろうと、フジイチは考えた。

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