第56話 056 【幕間4】酷い男
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★作者より
今回ギャグ回なのですが文体等が通常と著しく乖離しており
ます。 完全にキャラ崩壊してますので、普段の雰囲気が好
きだ!という方は読み飛ばしても全然大丈夫です。
少し汚い表現がなされています。汚物系です。ゲ●です。可
能な限りマイルドにしましたが、苦手な方は飛ばして下さい。
★読み飛ばす方へ
今回はストーリーの流れには特に関係ありません。
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俺はヘスティア隊の女シーフ、セイナに肩を貸し港町の夜道を歩いていた。
「うう"ぅ
何故このような状況となったのか。酒でろくに動かぬ頭を巡らせ記憶を辿る。
記憶が確かならば、三隊合同任務の打ち上げで彼女と会話し、介抱した後、家が近いため成り行きで送る事になったのだ。
普段理知的な彼女は酔った勢いでヘスティアに対する敬意、サーンへの恋慕、その葛藤、二人の門出、解散するパーティと自らの今後を悲喜こもごも語っていた。
「あ…ちょっと宜しいでしょうか」
彼女は肩を外し、道の脇にしゃがみ込む。
しこたま酔い潰れてるはずなのだが、突然普段の冷静な面が出るとちょっとビビる。
夜道に彼女の白い首筋が光る。
普段いかにも冒険者然とした地味な皮鎧に身を包む短髪の彼女は西方風の美形で、着飾ればきっと美しく見違えるだろう。
「私…」
「サーンのこと、好きだったんです」
潮風流れる港町の深夜、街道の大通りの隅で、彼女は意を決したよう告白する。
特に深い関りの無い俺だからこそ、打ち明けれらるものもあるのだろう。ただ誰かに、そうした想いを吐露したい時もあるのだろう。
わかる、うん。でもね。それもう今日30回は聞いてんだよね。
「元々うちらは3人で始めて。サーンの気持ちは知ってたし、姐さんの本心も薄々…だから、とっくに諦めて気持ちの整理はついてたはず…なんス…けど…うう"ぅぼぼぼぼぼぼぼぼ」
俺は物理的にその想いを絞り出し終えたセイナの肩を持ち、そしてまた歩き始める。
切ないッスぅ悲しいッスぅと震えるような彼女の呻きが夜道に消える。
「いずれきっと、イイ男が現れるさ」
俺は適当な言葉で慰める。
「うぅ男なんて…男なんてぇ…」
「オトコなんてクソっスよ…クソの●●の××っスよ…この世から消え失せればいいんス…」
なんか変なスイッチ押してしまったか。
「オトコなんてぇ…〇〇〇した上に▲▲▲して死滅すればイイんスよぉ…」
無茶苦茶コワイんですけど。
「あ…ちょっと宜しいでしょうか」
彼女は肩を外し、道の脇にしゃがみ込む。
夜道に彼女の白い首筋が光る。
「私…サーンのこと、好きだったんです」
うん、知ってる。
「元々うちらは3人で始めて。サーンの気持ちは知ってたし、姐さんの本心も薄々…だから、うう"ぅびょびょびょびょびょびょびょびょびょ」
俺は31回目の告白をし終えたセイナの肩を持ち、そしてまた歩き始める。
哀しいッスぅ寂しいッスぅと悶えるような彼女の僅かな呻きが夜道に消える。
俺は慎重に言葉を選び、慰める
「腕の良いシーフは希少だ。セイナならすぐに新しいパーティも…」
「オトコなんてクソっスよ…クソの■■の●●っスよ…この世から消え失せればいいんスよォ…」
あ、結局そう来るのね。
「オトコなんてぇ…〇〇〇
もうほんとコワ過ぎるんですけど。
「あ…ちょっと宜しいでしょうか」
道の脇にしゃがみ込む彼女の白い首筋が光る。
「私…サーンのこと、好ぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょ」
段々キーが上がってきてるな。次はぴゃぴゃぴゃか。
というかよく尽きないね。無限の胃袋なのかな?
俺は人体の神秘を感じながらセイナの肩を持ち、そしてまた歩き始める。
寂しいッスぅ寂しいッスぅと戦慄くような彼女の僅かな呻きが夜道に消える。
「…そんなに、男に嫌な思い出でもあるのか?」
俺はつい、踏み込んだ問いを口にする。
ヘスティア一筋だったサーンに恋慕していたならば、男に嫌悪を抱くような思いをする事は無かったのではないか。
「
兄…?
「小さい頃、お嫁さんにしてくれるって、約束した…」
幼馴染だろうか。よく聞く話ではある。
「でも、兄ちゃん、アタシの事完全に忘れてしまって…」
なるほど、酷い男だ。幼少の頃の約束と言えど、忘れてしまうのは良くない。俺はギルやガイとの約束を忘れた事はないぞ?
「あ…ここです」
セイナの家は俺の家の近くだった。
「ありがとうございました、ザックさん」
「礼は要らないさ。俺の家もすぐそこだ。…あれ?この家…セイナ、アンタ弟居るだろ?」
「…」
「小さい頃…そうだな、ギル達と知り合うもっと前だ。」
「…」
「名前なんだったかな?この家の子だ。痩せっぽちで色白の…」
「…」
「ギル達と遊ぶようになって疎遠になったが、よく遊んでたぞ!」
「…」
「多分セイナの弟だろ?元気か!?ははっ、懐かしいなぁ!!」
「…シネエエエェッ!!!」
そう叫ぶやセイナは俺の急所に的確な蹴りをクリティカルにヒットさせ、鬼のような形相で家に入って行った。
「…っ!?」
…よく分からないが、弟さんは既に不幸に遭ったのかもしれない。
俺は道に突っ伏し身悶えながら、明日朝一で謝ろうと思った。家近いし。
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