筋肉はパワー・パワーは筋肉!!異世界に飛ばされた男はなんだかよくわからないけど筋肉でどうにかしていく話

神木駿

第1話 筋肉!!!

筋肉。それは物理法則のすべてを凌駕する可能性を持っており、すべての生物がもつ最強の鉾であり、盾である。


そんな筋肉を極限まで鍛え上げ、自らを最強と足らしめんとす男が今!


なんだかよくわからない魔法陣とやらに巻き込まれて、なんかよくわからない森の中に飛ばされてしまった!!


「ふむ、我は筋トレをしていたのだが、ここは森…か?」


男はあたりを見まわして、自身の置かれた環境を整理する。


そして一言


「プロテインが無いな…」


自室に置いて筋トレ後の習慣としているプロテイン。良質な動物性たんぱく質と植物性たんぱく質がマッチした男の筋肉に合わせた特別製のプロテイン。


それが無ければ彼は筋トレを終えたとは言えない。


「さて、困ったな」


上半身裸で森の中にひとり。


普通は動揺するところではあるが、彼は筋肉のことしか考えていない。


というより彼の思考は筋肉があれば何でもできるとか言うクソみたいな脳筋思考なのである。


その時、彼の背後からがさがさと葉が揺れる音が聞こえてきた。


彼の筋肉がその危険性をいち早く察知する。


「どうした?!上腕二頭筋よ!お前ほどの筋肉がそんなに反応するとは!?」


ちなみに彼は筋肉と対話することも可能である。(脳内で)


葉の中に潜む黒い影は男に危険な視線を向けながら様子をうかがっている。


「ふむ、なるほど。下手に動けばやられてしまうようだな。わが筋肉たちよ。一度停止しようか」


男は独り言のようにつぶやくと次の瞬間にすべての筋肉を硬直させた。


そして筋肉の硬直で心臓の動きまでもが動きを止めた。


生きるしかばねとなった男からは気配などというものを一切感じることができなくなり完全に森と同化した。


黒い獣は寸前までそこに会った気配を見失い、戸惑うばかり。


男のいた場所に姿を現した。


獲物を探す目をする黒い獣が森と同化した男の目の前を通り過ぎたとき、筋肉は動き出す。


「ふん!!!」


男は拳を握り、黒い獣の頭頂部を思いっきり殴りつけた。


黒い獣は気配に反応することすらできずにその拳をくらう。


鋭利な牙も砕け散り、頭は地面へと叩きつけられた。


地面はえぐられ周囲の地面にはひびが入る。


「ふぅ…さすがに今のはあまりよくなかったな。酸素が足りなくて筋肉がうまく動かせていない」


男は肩を回して筋肉をほぐす。


そしてすべての筋肉に酸素をいきわたらせるために周囲の空気を一気に吸い込んだ。


その瞬間、男の半径10メートル内にいた動物がすべて酸欠で意識をなくしてしまった。


一時的な宇宙空間を男は作り出したのだ。


その後、男は息を吐く。周囲の森は吹き飛ばされその風が上昇気流となり、雲を作って突発的な大雨が降る。


男の一挙動で天候すら、いや、自然の摂理すらも超える力を発揮しているのである。


そして男は言った。


「この肉は食えるのだろうか?」


獣は動物性たんぱく質として彼の筋肉の糧となる。


ちなみに言うと彼は人間である。


もう一度言おう、彼は人間である。


この物語は男が英雄と呼ばれるまでの物語


パワーマッスル筋肉と呼ばれるまでの物語

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

筋肉はパワー・パワーは筋肉!!異世界に飛ばされた男はなんだかよくわからないけど筋肉でどうにかしていく話 神木駿 @kamikishun05

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ