8月26日 夏休み、隣の席の女の子を見つけました。
翌日も早朝から和奏の捜索をしていた。
「見つけた?」
「うんん。こっちにも居なかった。」
「俺は次こっち探すから、栞はそっちをお願い。」
「分かった。」
昨日との時間を合計してもう24時間以上も探しているが見つからない。
公園も、橋の下も入れそうなところを手当たり次第に探していくも、キリがない。
和奏が行きそうな場所。俺は頭を再びフル回転させる。
そんな時俺の携帯の着信音が鳴った。
「はい、もしもし。」
『もしもし、九重か?』
「先生!?どうしたんですか?」
『お前が困ってると聞いてな、少しでも助けになればいいと思ってな。
「分かりました。助かります。ありがとうございました。」
俺は電話を切ると、すぐさま先生に教えてもらった場所に向かう。
電車で三十分ほどの場所で、そう遠くはなかった。
神社に到着すると早速捜索を再開する。
安和神社と比べて、とても新しく大きい神社だった。
神社の周辺を回っても和奏の姿が見当たらず、俺も帰ろうと思った時、木が生い茂る中に細いが抜け道を見つけた。
見た感じ、山の頂上の方に続いているようだ。
俺はこの先に和奏がいるかもしれないと一抹の希望を持って、その細い道を歩いて行った。
しばらく薄暗い中を歩いていると、先の方に明かりが見えた。
そして、その先に見えたのは町を一望する綺麗な景色と、和奏だった。
彼女はその景色を座って眺めている。
俺は栞に和奏を見つけた胸のメッセージを送り、和奏に声を掛けようとすると、和奏がただ景色を眺めているのではなく、泣いているのだと気づく。
俺は持って来ていたブランケットを取り出すと、和奏に気付かれないように後ろから忍び寄り、彼女に掛ける。
「やっと、見つけた。」
「え?大地?」
俺の顔を見て、和奏は逃げ出そうとするが、俺はブランケットごと和奏のことを掴み逃げられないようにする。
「放して!」
「無理だ。放さないから諦めろ。和奏。俺は今、怒ってるぞ。どうしてか分かってるよな。」
その言葉に和奏は暴れるのを辞めて、俺の隣に腰を下ろすと「ごめんなさい。」と呟いた。
「ああ、心配したぞ。俺が告白した時お前に何て言ったのか忘れたのか?」
和奏は黙って顔を横に振る。
「そっか。それじゃあ、帰るぞ。栞も母さんも心配してるぞ。」
「許してくれるの?」
「自分が悪いことをしたってのは分かってるんだろ?それなら、大丈夫だ。もう、こんなことするなよ。」
「どうして、大地はそんなに優しくしてくれるの?」
「そりゃぁ、和奏の彼氏だからな。ほら、行くぞ。」
そうして、和奏大捜索は幕を閉じたのだった。
帰った後に栞に怒られていたことは言うまでもない。
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