第15話 レベルアップ
【Lv1に上がりました】
いきなりレベルが上がる理由が見当たらないが、レベルアップで上がったパラメータが限界を超えた体を動かす。
(後もう少し燃えるもの集めれば、リオの所に戻って休める)
岩山のくぼみに戻り、拾った木の枝を三角に積み上げて、燃えるのを確認するとそのまま倒れ込んだ。
長く白い廊下にはいくつもの扉が見える、[306]と書かれた扉の前で、廊下の手摺に備え付けられている消毒液のポンプを2、3回押して、手を消毒してから扉を開ける。
「お兄ちゃん、来てくれたんだ」
読みかけの本を閉じて、笑顔で迎えてくれる。
「当たり前だ、毎日来てんだろ、本読んでたんだ」
「お兄ちゃんが持って来る本、面白くって!」
本を両手で抱えながら、興奮気味に
「あたしも、神様に違う世界に飛ばしてもらって、すごい能力貰って、マヨネーズとかカレー作って、お金持ちになって、世界の悪者倒すんだ!」
「だいたいの主人公は死んでから転生させられてるんだ、澪、お前はまだ可能性が高いだけで死ぬって決まった訳じゃ無いし、人生諦めさせるために俺は本を持って来てるんじゃないぞ」
「でも、そうなったらお兄ちゃんと一緒に冒険したいんだ、お兄ちゃんが襲われてる馬車をあたしが助けるんだ」
「俺は転生者がはじめに出会う貴族か」
「そうそう、そこから、仲間になって一緒に冒険始めるんだ」
澪は部活中に突然倒れ、脳腫瘍が見つかった。手術も困難で余命2ヶ月と言われてから、1ヶ月が経っている。
あと1ヶ月、俺は澪に何をしてやれるんだろうか?
「にいにー」
「リオ、起きたかい?」
「喉乾いただろうから、水を汲んでくるね」
岩山を降りて、手で水を掬いリオに飲ませる。コップの代わりになるものも探さないといけないな。でも取り敢えずは薪と食べ物だ。
「兄ちゃんは食べ物探して来るから、ここで大人しく待っててな」
リオなりに我儘が言える状況じゃないのが理解出来ているのか、リオは大人しく頷く。
食べられる物を表示するように意識しながら、周囲を見渡す。
たくさん食べられるものがあるようで、結構な数がポップアップしている。
【スライム 食べられる】
スライム食べられるのか…食べたくない。
検索の条件が悪かったみたいなので、栄養があっておいしく食べられるものを探した。
【火トカゲ 食べられる】
今は倒せないし、調理する道具もない、倒せるようになったら丸焼きにして食べてみよう。
道具もなく、調理方法も限られているので、適した食べ物を探す。
すこし離れるけど、森の手前に見える茂みに【木苺 食べられる】を見つけた。
【VR表示】のレベルアップで、対象物を表示非表示若干の補足説明で疑問や要望に答えてくれるようになっている。
表示できるものの設定や条件なども細かくできるようだ。
なので今回の食探しのように視界の届く範囲なら条件を指定することで、検索することが出来る。少し融通が聞かない所もあるけれど、道具も何もない状況ではかなり助かっている。
一度、表示できるものをすべて表示させてみたら、視界が表示枠ですべてふさがってしまい歩けなくなった事がある。
黄枠赤枠だけを表示する設定をして、警戒モードで採取に向かう。
これで音が鳴れば、最高なのに…
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