Day 16

9月23日 木曜日


仕事の後、阿暮とショッピングモールへ買い物に行った。

背の高い阿暮の隣にいると

いつも安心する。


私は阿暮に近況を話した。

カフェのお客さんのこと、カサブランカのこと、

そして藝翔のこと。


「私は愛されるに値すると思う?」


レジ前に並んでいる時、阿暮に聞いてみた。

阿暮は、そう聞く人は失恋した人、または恋をしたい人だけだ、と笑った。


私は続けて、自分の美醜について聞いた。

阿暮はすぐには答えなかった。

「美しいものには賞味期限があるんだ」

彼は一瞬立ち止まり、買い物かごの中の牛乳を指さしながら、

「でも、君が買ってくれた以上、賞味期限切れでも飲み切るよ」と言った。


賞味期限の長いヨーグルトを一つ買い物カゴに追加した。

これなら牛乳が腐っても、ヨーグルトのように装うことができる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る