第6話 やっぱ俺には才能がないんやなぁ


 剣術の指南役は、あれからもう二度とくることはなかった。

 くそう、俺があまりにも弱すぎるから、見込みがないとあきれられてしまったのかもなぁ……。

 こうなりゃ、次は魔法だ。

 魔法を極めてやろう。

 そう考えて、俺は今度は魔法の指南役をつけてもらうように父に相談した。

 数日後、魔法を教えてくれる先生がやってきた。

 魔法の指南役は、豊満な胸をお持ちな、女の先生だった。


「私はマーガレット・ヨハンソンだ。よろしくな」

「よろしくお願いいたします」


 どうせ俺には、魔法の才能もないんだろうな。

 そう考えると憂鬱になってくるが、あきらめるわけにはいかない。

 俺はなんとしても魔法の使い手になるんだ!


「まずは君の素養を見たい。試しに火の魔法を出してみてくれるかな?」

「はい、わかりました」


 俺は先生に言われたとおりに、炎よ出ろと念じてみる。

 すると、俺の指先に、ほんの少し、炎とも呼べぬくらいの灯りがついた。


「で、できた……!」


 ちょっとだけ感動だ。

 まだこの世界に転生して、魔法なんてものを見たことがない。

 これが魔法か……。

 自分でも魔法が使えることに、ちょっと感動。

 だけど、やはりこれっぽっちか……。


 炎の魔法を出せと言われたのに、俺はほんの小さな明かりしか出すことができなかった。

 こんなの、一瞬指先が光っただけのことだ。

 ほんとうに赤子レベルでもできそうなくらいだ。

 やっぱり、俺には才能がないんだなぁ……。

 エスタの才能を呪うよ……。


「よ、よろしい。じゃあ、今度はそれをもっと維持できるように練習してみようか」

「はい!」


 うわぁ先生の顔もひきつっているよ。

 俺の才能があまりにもないんで、どう教えたらいいか迷ってるんだろうなぁ……。

 くそぅ、先生すみません!



 ◇



【sideマーガレット】



 私はマーガレット・ヨハンソン。国一番の魔術師と名高い存在だ。

 今回はシモーレ伯爵に呼ばれ、息子のエスタくんの魔法修行に手伝ってほしいとのことだった。

 来てみたはいいものの……。

 私は驚いていた。

 なんとこのエスタは、一度言っただけで、炎を指にともしてしまったのだ。


 なんという才能……。


 ふつう、こういわれてすぐにできるものではない。

 まだ指先に明かりがともっただけのことだが、それでも私がそれをできるまでには5か月もかかった。

 彼はとんでもない才能だ。


「よ、よろしい。じゃあ、今度はそれをもっと維持できるように練習してみようか」

「は、はい!」


 すると彼はさきほどの小さな火を、こんどは30秒ほど続けてみせた。

 すごい、もうそんなにできるなんて……。

 

 このまま彼に魔法を教えていっていいものか、そう悩む。

 一度言われてここまでできるなんて、常人のそれを超えている。

 もしこのまま彼に魔法を教えたら、とんでもないことになるぞ……。

 それこそ、魔王とかそういう災害のレベルだ。

 だめだ。私には彼を教えることなど……。

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ゲ一ムの序盤で「クソ雑魚」扱いされて死ぬ最弱キャラに転生したので、鍛えまくって生き残ろうと思います~やり込めば実は『裏ボス』だと判明する最強キャラにもかかわらず、過剰に努力し過ぎてました~ 月ノみんと@成長革命2巻発売 @MintoTsukino

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