私が悪いんだから
「ねぇ、私に嘘ついて、なんであの子とお風呂に入ったのか早く答えてよ」
「……た、たまたま、お風呂屋さんの前で会ったから」
空気を取り込み終えた私は、瑠奈の質問に答える。
「へぇ、れーなはたまたま会った好きでもない人に裸見せるんだ」
「違う、から……」
「何が違うの? 何も違わなないでしょ?」
「……見せてない」
美菜璃に見せたりしてない。……見られはしたけど。
「じゃあ、どこまで見られたの?」
「……そ、れは」
私が少し言い淀むと、首に置いてある瑠奈の手に少し力が入ってくる。
「待って、言う、から……」
もうさっきの苦しみを体験したくない私は必死にそう言う。
「……足、とか」
嘘だ。ほぼ全部見られてる。
「ほんとに?」
「……うん」
少し頷くようにすると、瑠奈の手に力が入ってくる。
「れーな、ほんと?」
「……ほ、んと」
嘘だけど、ここでほんとなんて言ったら、また嘘ついたことがバレる。
バレてないはず。さっきだって美菜璃と一緒にお風呂に入ったことを私が言わなかったら、気がついてないみたいだったし。
「れーな、次嘘ついたら、ほんとに許さないから」
……大丈夫。気がついてないはず。……引っ掛けに決まってる。
「……もう、嘘つかない」
「うん。じゃあ、体洗う時とかどうしたの? タオル邪魔だよね」
「……離れてた」
いまさっき嘘つかないって言ったばっかりなのに、また嘘ついちゃった。……でも、ホントのこと言ったら、今度こそ殺される。
「ふーん。恋人がいるのに、他の人とお風呂に入っちゃうれーなが体洗う時だけ離れたりするんだ」
「……わ、私も流石にまずいかなって」
「れーな、脱いで」
「え……」
脱いで? 何を? いや、服……だよね。……今?
私が困惑していると、瑠奈が私の首から手をどけ、服へ手を伸ばし脱がそうとしてくる。
私は咄嗟に服をつかみ脱がされないようにした。
「れーな? 浮気する最低なれーなに拒否権はないよ?」
「……浮気なんてしてない」
「じゃあなんで離れて体を洗ったなんて、また嘘ついたの?」
「……嘘じゃ――」
「嘘」
「あっ」
耳元で囁かれ、一気に力が抜けた。そこをつかれ、服を脱がされてしまった。
下着をつけてないから、咄嗟に胸を手で隠した。
「隠さないで」
「は、恥ずかしいから」
「……あの子には見せられて、私には見せられないんだ」
それは……脱ぐときに仕方なくで、見せたかったわけじゃ……
「否定しないんだ」
「ち、違う」
「れーな、手、退けて全部正直に話して?」
「……学校、行かないと」
そろそろ家を出ないと、遅刻しちゃう。だから私はそれを言い訳にした。
「れーなが話してくれて、私が許していいって思えたなら行かせてあげる」
「そ、れは……」
学校に行くどころか、死後の世界に行っちゃいそうなんだけど。
「言わないってことは、私が許さないようなことをしたんだ」
「ち、違うから」
「違うなら言って。違わなくても言ってもらうけど」
私は話した。全部話した。美菜璃にほぼ全部見られたことも、美菜璃に背中を洗ってもらったりしたことも、髪をドライヤーで乾かしてもらったことも。
話してる最中、瑠奈にさっきみたいに首を絞められることは無かった。……その代わり、話が進む事に瑠奈の目からハイライトが消えていった。
「全部脱いで」
「る、瑠奈?」
「全部脱いで」
瑠奈は凍えるような声でそう言ってくる。
「早くして?」
「こ、心の準備が……」
「そんなの要らないから、早く脱いで?」
「る、な……ご、めんなさい」
謝る私に瑠奈はめの光を戻し、キスをしてきた。
「んっ……る、瑠奈?」
「大丈夫だよ、れーな。もう、二度と浮気なんてできないように、体に覚えさせてあげるから。……ちょっと痛くなるかもしれないけど、れーなは恋人じゃない人に裸を見せるような変態だから、直ぐにその痛みも気持ちよくなってくるよ」
逃げられない。
そう思った私はもう抵抗することなく、瑠奈に見られながら下も全部脱がされた。
これから何をされようが、抵抗できない。……だって私が悪いんだから。
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