瑠菜視点
「ねぇ、れーな?」
「何?」
私がそう呼ぶとれーながビクリと少し反応して、返事をする。
「えっと……ね?」
今日こそ、れーなに私の気持ちを伝える。
私はそう覚悟を決めたはずなのに、振られる所を想像して涙が出そうになるのを必死に我慢しながら、私はれーなに言う。
「わ、私……れーなの事が好き……です」
私はれーなに拒絶されるかもしれないという、怖さの中そう言った。言ってしまった。
「私も好きだよ」
れーなからそんな返事が帰ってきた。いつも通りの声色で。
ドキリ、と心臓が動くのがわかった。
期待しちゃう。れーなが言う好きは私と違うのは分かってる。けど、もしかしたら、そんな思いを込めて私はれーなに聞く。
「幼馴染として、でしょ?」
「当たり前でしょ?」
……分かってた。れーなが私のことをそういう目で見てないなんてこと、分かってた。
今ならまだ間に合う。今ならまだ、冗談で済ませられる。
「そう……だよね」
「そう、だよ」
「れーなはそうでも、私の好きは違うよ?」
あぁ、冗談で済ませられたのに、叶わないって分かってるのに、もう、止まれない。
「どういう……」
「だから、私はれーなが好き。幼馴染としてじゃなくて、恋人になりたいって意味で好き」
れーなの顔が珍しく戸惑ってる。可愛い。このまま、私を受け入れて欲しい。
「れーな、私と付き合ってください」
「……私――」
れーなが何か答えようとした瞬間に私はれーなの口を抑えてしまった。
怖かったから、嫌だったから、れーなの口から、答えを聞くのが。私を拒絶されるのが怖かったから。
「るあ?」
れーながよく分かってない表情で、何とか私の名前を呼ぼうとしてるけど、私が口を抑えてるから、私の名前を上手く発音できてない。可愛い。
本当はこのままめちゃくちゃにしたい。でも、それをしたら本当に戻れなくなる。
「れーな……私れーなの答え分かってる」
顔がぐちゃぐちゃになりそうなのを必死に我慢しながられーなに向かって言う。
「れーなはさ……私の事、そんなふうに見たこと無かったよね。いきなりこんなこと言われて迷惑だよね」
そう言うとれーなが私の手をどかそうとしてくる。ごめん……私、聞きたくない。答えが分かってるからこそ、れーなの口から聞きたくない。
「でも、ごめん」
私はれーなのことが好き。だから、もしれーなと一緒に居られないなら、生きてる意味なんてない。
「私が、気持ちを言っちゃったから、もう……友達には戻れないよね。だから、選んで。私と一緒に死ぬか、私と付き合うか」
こんなことを言ったられーなの答えなんて一つに決まってる。
私、最低だ。でも、分かって? れーな。私はこんなことしてまで、れーなと付き合いたいの。結婚したいの。
「んー! んー!」
「あ、そっか、これじゃ答えられないよね」
そう言って私は、れーなの口を塞いでいた手だけ退ける。
「私も瑠菜のことが好き……だから、これからは恋人としてよろしくお願いします」
私はれーなのことが好きだけど、今、そんな気遣いはいらないよ。
「……れーなの好きは幼馴染として、でしょ?」
「え? いや……」
「でも、今は恋人になれただけで嬉しい。だから、頑張ってれーなに幼馴染としてじゃなくて、恋人として好きになってもらうから」
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