連続幼女誘拐殺人事件
1話
宮沢は朝起きると、大学へ行く準備を始める。
朝飯に菓子パン一つだけを食べ、ニュースを見る。
今日も有名人の不倫やら強盗事件やらが報道されている。
いつもと変わらない日々。
淡々と過ぎていく日々。
出勤前に仏壇に手を合わせる。
「乙女、今日もいってきます」
遺影には小学生くらいの女児が笑顔で写っていた。
大学の講義が終わり、神田神保町のgift本部にでも寄ろうかと思った時だった。
一通のメールが来た。
「今時メールなんて珍しいな」
差出人は元妻だった。
これから会えないかとのことだった。
離婚から8年。それまで一度も会っていない。
今更何だっていうのだ。
それでも気になった宮沢は元妻・直子に会うことにした。
直子の指定したカフェに着くと、彼女はもう座っていてホットコーヒーを飲んでいた。
「よお、久しぶりだな」
どうやって声をかけようか迷ったが、シンプルに軽い感じで行った。
「ええ、久しぶりね」
宮沢は同じホットコーヒーを頼むと席に着いた。
宮沢は直子を見る。
(ちょっと痩せたか? やつれたのか?)
「で、要件は何だ?」
「これ」
直子が宮沢に見せたのは一枚のリーフレットだった。
「犯罪遺族の会 夕晴れ?」
「あなたも入らない?」
「俺は……」
乙女が殺されたことは吹っ切れていない。
そんな簡単に吹っ切れるものでもない。
宮沢は直子の誘いにすぐ答えられなかった。
「考えとく」
「そう」
直子はコーヒーを飲み干して立ち上がると「じゃ」と言って去っていった。
一人残された宮沢はリーフレットに目を通す。
活動内容としては遺族同士で話して悲しみを共有し合ったりするらしい。
宮沢は明日、giftの皆に相談しようと思った。
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