紙の本が消えても、物語は終わらない

 時代のうねりに呑み込まれ、静かに終焉を迎える「本屋」の風景には、紙の本を愛してきた者なら誰しも胸にくるものがあるはず。人々の思惑やプライド、ちょっとした駆け引きまでもが、最後の瞬間の中で生き生きと描かれていて、「歴史に名を残す」という小さな野望にも共感と微笑みが湧きました。けれど、そんなドラマの余韻すら軽やかに裏切るラスト。

 変化を受け入れながらも、人の営みはどこまでも続く――そんな強さとユーモアを感じました。

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