入学式 女子side
今日は待ちに待った入学式。
仁保无日本の最高峰桜堂学園の生徒に私はなるの。
ちなみに私は勉学科で五組よ。
桜堂学園ではクラス40人の女子の内、20人が普通科、10人がスポーツ科、10人が芸術科で構成されて、成績順で一組から振り分けられて行くんだ。それとこれは公にはなっていないんだけど、性格、学力、身体能力、外見、を加味した上での評価が高い順で一組から振り分けられるっていうのは公然の秘密だったりするの。秘密の理由は下に落ちた男子の機嫌を損ねないためなんだ。
あっ到着しちゃった。すっごい建物。まるで映画みたい。
そんな事を思いながら自分の教室に地図を見ながらたどり着いた。
何でも講堂に移動するのは予定時間になってからなんだって。だからそれまでは窓から登校してくる男子を見ててもいいみたい。だけど、予定時間前に来る男子なんて居るわけないんだから意味ないけどね。
あれ?なんか窓際の子が倒れちゃった。大丈夫!?
急いで駆け寄ってみるとすっごく幸せそうな顔で意識を失っていた。何を見てこんなことになったのか気になって私も外を覗いてみる。
………………………
はっ!?今一瞬天使様、うんん悪魔様が見えた気がした。
でも気のせいよね。あんなかっこいい男の子いるわけ無いし。男の子はぽっちゃりしてるもんなんだから。
そう思ってもう一度覗いてみる。
……ッ!!?!?!!????
何あれ!?何あれ!?やばいよやばいよ!!あんなかっこいい子本当にいたんだ!私漫画かアニメの中の世界にしかいないと思ってた。………あ、きっと彼の方は私たちの為に二次元から来てくださったのね。きっとそうだわ。そうじゃないとカッコいいのは一億歩譲ってあり得るとしても、女の子と腕を組んでるのを説明できないもの。いくら身内でも接触は厳禁っていうのが常識だからね。……うんやっぱりあの人はリアルじゃないわね。多分私達が集団幻覚を見てたのよ。それかホログラムによる新手のテロね。あんなかっこいい子いたら国が滅ぶわ。人類が堕落しちゃうもの……だから悪魔様なのね!
その後も私はへたり込んだままずっと頭の中がカオスになっていた。ちなみこれでもマシな方なの。結構な子が気絶しちゃってるからね。しばらくしてようやく頭がまともに動くようになって倒れたままの子を介抱しようと体に力を入れた時、外を見る余裕のあった精神強者の子が「おうじさ、ま゛っ!?」と言い残して倒れちゃった。
そしてその言葉に皆んなが反応した……貴方さっきまで気絶してなかった?
もちろん私も見に行くとそこには、茶髪のイケメン君が母親と距離を置いて歩いていた。
……うん。ヘタな男優さんよりカッコいいんだけど、さっきの悪魔様ほどじゃないかな。だからか皆落ち着いて見れてるもん。普段ならあんなイケメンを生で見れたら感動で泣き出す子続出なのに。
そんな事をしていると移動の時間になった。
そうこれから始まるのは今日のメインディッシュ――入学式!
会場に入れるのは私達新入生だけだけど、先輩方もリモートで見ているの。
そこまでして見たがるのにはやっぱり理由があるわ。
それは三つ。
一つ目は、一学年の男子を全員見れるチャンスだから。
二つ目は男子生徒代表挨拶。これは学校が最も優れていると判断した男子生徒に頼む物なの。だからその挨拶をした男の子がその年の最優良物件ってわけなんだ。
でも今年の代表挨拶はさっきの軽そうな雰囲気の男の子じゃないかな。時間前に来るってだけですっごい事だし。……え?悪魔様じゃないのって?だからさっきも言ったじゃん。あれは幻覚かテロのどっちかだって
そして三つ目が新入生代表挨拶。式の最初の方にやるやつで、一番優秀な生徒が選ばれるの。だからその子がその年の最大脅威になるってこと。みんな敵の分析に余念がないからね首席ちゃんは注目の的だよ。……まぁ多分今年は虎白院様で決まりだと思うけど。
そして教頭先生の開始の合図で入学式が始まった。粛々と式は進んで、理事長先生と総理大臣の挨拶も終わって校長先生の番になった。でもここら辺で変だなって私は思ったの。例年なら新入生代表挨拶を首席の女の子がする筈なのにまだないから。今年はないのかな?って思いながら校長先生の言葉を聞き流していると「新入生代表挨拶桐生奏斗様」っていう声が聞こえてくる。それを聞いて、やっときた。名前も男の子っぽいしかっこいい系の娘なのかな?って思って舞台袖をじっと見つめ、
時が止まった
もう比喩じゃなくて本当に止まったの。風の音や鳥の囀り、ありとあらゆるものが動きを止めて全ての音が消えたの。(奏斗は緊張のせいで異様な雰囲気に気づいていない)あ、でもそんな事はどうでもよくて、あれ?何で悪魔様が?今は男性代表挨拶じゃないのに。新入生代表挨拶は首席の人がやるのもので……もしかして桐生様が首席だったの!?確かに首席が務めるのであって女子が務めるなんて明言されていないけど。それじゃあ桐生様は見た目だけじゃなくて頭もいいってことになる……受験疲れが抜けてないのかな。そんな超人がいるわけないのに。
そんな事を考えていると桐生様はそのままスタスタとカッコよく歩いていかれて講演台にたどり着きになったわ。そして内ポケットから何かを取り出そうとして手を突っ込んみなさったの。
え?もしかして挨拶の内容を考えて来てくださってたの!?例年だと二言ぐらいで終わっちゃうものなのに!?
その神対応に感激して涙を流しながらその凛々しいお顔を見つめていると何故か私は違和感を感じたわ。それでよく見て見ると、さっきから動いてない様な……固まってる?でも何で?……もしかして原稿を忘れてしまったのかしら!?た、大変、何とかしてお助けして差し上げないと。さっきまでの凛々しいお顔が助けを求める顔をしている様に見えてきたわ!そのお姿もギャップ萌えで素晴らしいです!!……はっ!こんな事考えていないで早く代わりに探しに行かないと。大丈夫。私は今から私は警察犬よ。残り香で見つけ出してみせるっ!!
「春の息吹が感じられる今日、私達は桜堂学園に入学します。本日は私たちのために、このような盛大な式を挙行していただき誠にありがとうございます。新入生を代表してお礼申し上げます。私は中学生になるということに、正直まだ実感がありません。(ここに立てていることに喜びを……という文章を入れるべき)これまでは両親を初め、多くの方々の力を借りて日々を過ごしてきました。まだまだ子供で未熟な私たちですが、大人へと成長するために、先生方(先輩方)の背中を見ながら成長していきたいです。伝統ある桜堂学院(学園)の一員として、責任ある行動を心がけていきます。校長先生を初め先生方、先輩方、どうか暖かいご指導をよろしくお願いいたします。また皆さんと一緒に楽しい学生生活を送りたいと思っています。 以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます」
ふぁあ……み、耳が幸せすぎる。思わず駆け出そうとしてたのに動きを止めちゃった。……あ、原稿覚えてたんだ。すごいなー原稿を考えて来ただけじゃなくて覚えてたなんて。私の高性能マイク(耳)が桐生様の完璧なスピーチを聞き取ったもの。違和感のない完璧な文章に(色々違った)、人を引き込む様な話し方(声が若干震えてた)どちらも素晴らしかった。(耳鼻科に行ったほうがいい)
話終えた桐生様は堂々と壇上から去って行った。それを私達はただ見つめることしかできなかったの。まだ余韻が抜けないせいで動けなかったから。
その後もしばらく放心状態だったんだけど、となりから資料がまわされてきてようやく我に帰った。そして、それを見ながら、桐生様と同じクラスの一組の子達が羨ましいと唐突に思ったの。だから入学できただけで満足していた私だけど来年のクラス替えで一組になれる様に頑張ろうって今決意した。
◇◆◇◆◇
次話は12時投稿
星が……星が見たいんじゃ。
というわけで「フォロー」と「★★★」お願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます