さん. 2
そんな過去の事情は、さておき。
有志の待ちあわせに使ったのは、駅に直結するショッピングモールの地下街。
いくらか早く来てしまった
あと、十五、六分ほどだが、のこりのメンバーの姿はまだない。
「それで、けっきょく、何人くるの?」
器には、ココア色の液体がゆれている。
「わからん。
ここに来なければ現地集合
でも、みんな、… ひどいんだ。
スケートなんて縁起悪いとか、ゲームするとか、ひたすら寝るーとか…。買物だ、ボーリングだって、別口で集合かけだしたりして…。
確実なところは、あんたも(わたしも)入れて七人って
全滅って可能性がないこともないけど、中学最後の思い出になるし(※まだ卒業はしていないので、この後も、思い出形成の余地はある)、
絶対来るって言ってる奴もいるからねー」
「ふぅん、誰が来るの?」
「それは、来てからのお楽しみとゆーことで…」
思うところでもあるのか、言いだしっぺの彼女――
容姿は
いまのところ、特に興味も覚えなかったし、
「(それ)にしても…。
昔はなんで泣いてるのか、なに(を)怖がってるのか、わからない子だったのに」
「なんのこと?」
「進路選択」
「そう?」
あえて指摘されるほどの自覚がなかった
学年主任に
『点数満たしていても、落ちる者は落ちる。あそこは面接と内申、生活環境(救済的必要性と生徒の印象)を重視するが、どこだろうと各教科の限度ラインはある。
おまえの実力で、英語三〇点以下、後が白紙では、情報に手違いがあったか、ズルしていたか、そうでなければメンタルに問題ありと受けとられかねない。
まだ、行けるところはある。
他校を勧めるのと平行して、脅しめいたご指導を頂戴したというのに、
気丈夫なふるまいで、中学生ばなれしたよゆうを感じさせる。
実際は、それなりに悩み、あくせくもしたのだが、すでに方向を決定づけした後なので、すっかり、ひらき直っている。
今は表面だけ…ということもないので、そうと言われてしまえば、その通りなのだった。
前に進むための悩みがつきない彼女だが、後ろは、参考ていどにしかふり返らない。
BAKUの
眠りの中に到るそれが《夢》であることに違いはないのかも知れないが、彼女のそれは、
大多数の人が見るものとは、
「前から思ってたんだけど、
リスクの高い特殊な
「んー。あそこ、生徒をあまり縛らないというか…、極端に走らない限りは自由みたいだから…。
ふところ広くて、苦学生に同情的なのも好感(を)もてる。
校舎も新築同然で、環境・設備とも贅沢に整ってる…。
公立で、あそこまで施設充実してるところって、なかなか無い。
あたしはまだ、なにに成りたいわけでもないから、これと定めないままに見識広める意味でも…。
いきなり、多くの情報にさらされても目が眩むから、影響受けすぎないていど。ほどほど維持できるペースで、異国の人達と交流できたらいいなぁと…」
「誰にもなびかないなぁ…思っていたら、外人かぶれかよ」
「知り合いに国も本名もあやふやなヤツが、約一名いるの(言葉に不自由はしてないけど、向こうは意外と何でもアリのような気がするから自動変換してるのかも知れないし…)」
「直接、会ったことあるの?」
「うん。ちょくちょく(睡眠下だけど)」
「
「どうだろ? わからない」
「男? 女?
「男。
でも、けっこう(というか、かなり)きれいなやつで、正体不明
(…。改めて考えてみると、睡眠下って、会ったことあるうちに入るのかな? こっちに実体が
「常識だけどさ…。素性はぐらかすヤツには気をつけた方がいいよ。
整形美人…ん? 美形? 偽装イケメン…フェイクフェイスなのかもしれないでしょう。
中身がきれーなら、それでもいいけど、それなりに仲よくなったら、カミングアウトして欲しい場面じゃない。
信用されなきゃ、とーぜん信用もできないっていうかさ…。
まぁ、それで(関係)壊れる可能性もあるわけだから勇気と根性は、いるよね…。でも、だけどだよ?
いざ、結婚となって、子供が出来たりしたら、あれれってことにもなるじゃない。
知っていたら、覚悟も出来て、いっしょにひらき直った対策、立てられたりもするのに…。本人が、白状するとも限らないし、よその親に浮気疑われて、噂される可能性だって出てくるわけでしょう?
とにかく、いい男・目立つモテ男、捕まえた女は、ひがまれるんだから…」
(
話が変な方向にすっ飛んでるよ。コウは、そうゆーんじゃないけど…。
まぁ、寝ているときしか会わないし…。似たようなものかな。
――整形か…。
それって、向こうでもありなのかな?
うん。ありかも…。変に白いし、なにかしらの修正が入っているのかも…)
友人の諭しに耳を傾けながら
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