初めてのリハビリ

土曜日、理学療法士の二人が車いすを押してやってきた。

石山さんが私に手を貸して体を起こした。「クラクラしない?」と聞かれたので私がうなずくと「しばらくそのままで」と佐々野さんが足にまかれた器具を外した。

「ゆっくり向きを変えてベットの端から足を下ろして」と佐々野さん。石山さんに補助してもらってどうにかベットのふちに座ることが出来た。佐々野さんは私の左足に持ってきた補助具を付けた。

「ゆっくり立ちあがって」と佐々野さん。石山さんに支えてもらって私はゆっくりと立ち上がった。

「体を回して車いすに座って」と佐々野さんが言い、石山さんの補助でどうにか車いすに座ることに成功した。両足を車いすの足置きにあげてもらい、石山さんが押して病室を出た。

向かったのは廊下。廊下に平衡のバーが置いてある所。車いすはバーの端につけられ、「バーを握ってゆっくり立ちあがって」と佐々野さんから言われた。

私はバーを握り両手に力を込めて立ちあがった。

「どう、足の感覚」と佐々野さんに聞かれたので、「右足がついてないような気がします」と私は答えた。「歩ける?」と言われ、私は恐る恐るバーを握ったまま歩き始めた。でも、右足は引きずるばかりで両手を突っ張ってようよし体が前に進むという状態。常に石山さんが付き添ってくれた。端までどうにか行くと「体の向きを変えて一休み」と佐々野さん。私は向きを変え息をついた。私が息が整ったのを見て「こっちに戻ってきて」と佐々野さん。私はゆっくりとバーを頼りに歩いた。車いすのところまで戻ってくると「体の向きを変えて座って」と佐々野さんが言い私はゆっくりと向きを変え車いすに座た。

「往復歩いてみてどうだった?」と佐々野さんに聞かれ、私は「右足に力が入らなくて、両手の力を使って歩いていたようです」と答えた。

「まだ、手術して間もないからそれが当たり前ね。すこしづつ右足も使えるようになるから」と佐々野さんが言った。


それから休みながら2往復ぐらいしただろうか、「今日はこれでおわり」と佐々野さんが言い病室に戻った。

病室に戻るとさっきと逆の動き、車いすからベットに座り体を回してベットにあがる。そして補助してもらってベットに横たわった。私が横たわると足に圧迫する器具がつけられ、私はまた身動き取れなくなった。

「また明日、明日は石山が来ます」と佐々野さんが言い私が「ありがとうございました」と言うと二人は車いすを押して病室を出て行った。


たったこれだけ動いただけで私は疲労困憊していた。


翌日曜日、同じようにリハビリ、少しは楽だが本当に歩けるようになるのか心配になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る