第97話
お出かけ。
お出かけというものをすると、一日が経過してしまう。
だがお出かけをすると、やる気が上がる。
仲間との絆レベルが上がる。
大賢者も仲間とお出かけをしておけというので、絆レベルを上げておいたほうがいいと言うので、オレはゴブリンスレイヤーのリョウコともお出かけをすることにした。
全員と一気にお出かけをしたいが、一日に一人としかお出かけをすることはできないようだ。
まるでゲームみたいだな。
一人ずつしか絆レベルを上げることはできないようだ。
グレアに声をかけると、
「サトウさん、今日はわたしとお出かけしてください。お願いします。そろそろわたしと」
といってくるのだが、オレはいいえを選択した。
がっかりするグレアの顔を見て、オレはグレアとお出かけをしてあげたくなるけれど、ここはやはり我慢するしかないだろう。
ゴブリンスレイヤーのリョウコとお出かけをするためには、ほかの誰かとお出かけをするわけにはいかないのだ。
ゴブリンスレイヤーのリョウコは宿屋の前の道にいつもいる。
そこにいるリョウコに声をかけることにした。
「おう。リョウコ」
「あ、サトウさん……よかったらなんですけど、わたしとお出かけしませんか?」
と腕をもじもじしながら、顔を赤くしながら言うリョウコ。
胸がプルンプルンと揺れている。
ついその胸に目がいってしまう。
その胸、ずるすぎるだろう。
オレははいを選択した。
「おう。リョウコ、一緒にどこかにいこうぜっ」
とオレが言うと、リョウコは言った。
「本当ですかっ。わたし、サトウさんと一緒にお出かけがしてみたかったんです」
というリョウコ。
お出かけとは、男女問わず、どこかにご飯を食べに行ったり、どこかに服を買いにいったり、一緒にお弁当を食べに行ったりするのがお出かけかと思っていたが、どうやらそれは違うみたいだった。
「あの……サトウさん」
「なんだ?」
「わたし、サトウさんに鍛えてほしいんです。わたし、もっと強くなりたいんですっ」
「なんだと……?」
「サトウさん、わたしを鍛えてください」
そういって頭を下げてくるリョウコ。
「オレに鍛えてほしいだと?」
「お願いしますっ」
リョウコはオレの力になりたいらしい。
リョウコはオークディザスター戦で戦闘に参加できなかったのが悔しかったらしい。
そんな自分が不甲斐なかったらしい。
リョウコはオレの役に立ちたいようだ。
だが今のままでは、今のわたしでは、とてもサトウさんの役に立つことなんてできない。
と、そうリョウコは言っている。
「任せろ。オレは人を鍛えるのが得意だ」
オレはリョウコを鍛えることにした。
リョウコにやらせることは筋トレである。
リョウコにやらせることはランニングである。
必死に汗をかきながら、筋トレをするリョウコ。
必死に汗をかきながら、スクワットをするリョウコ。
リョウコのそのひたいには汗。
その汗は美しい。
ランニングをするたびに、リョウコの胸がぶるんぶるん揺れている。
ランニングをリョウコにやらせたのは間違いだったのかもしれない。
リョウコの胸があまりに揺れるので、その胸をあまり見ないようにするのはオレ。
だがリョウコはどれだけ胸が揺れても気にしていない。
むしろ見せつけているようにも見える。
リョウコはそんなにも強くなりたかったのだろうか。
だがオレは何かを手に入れるということは、何かを失うことだと思っている。
オレは最強へと進化するための力を手に入れたが、その代わりに大事なものを失ってしまった。
それは人の心だ。
最強にはなったが、もう人の心は戻らないかもしれない。
だがまだ最強を手に入れていないリョウコは、オレのために必死に筋トレをして、オレの役に立ちたいがために、必死にランニングをしている。
いい感じに汗をかいているリョウコ。
その姿は美しかった。
これが最強を求める美しさなのだろうか。
まあリョウコは最強までの強さは求めてはいないのかもしれないが。
オレの役に立つくらいの力しか求めていないのかもしれないが。
やたらその強調された胸がぶるんぶるんと揺れてしまうので、その部分はどうしても気になってしまうのだが。
というか、お出かけをするのに、筋トレなんてしていていいのだろうか。
お出かけをするのに腕立てをしていていいのだろうか。
ダメなような気もするが、お出かけなら二人でどこかに出かけたほうがいいと思うのだが、リョウコは必死で自分を鍛えている。
リョウコはランニングしている。
リョウコは筋トレをしている。
オレの役に立つために自分を鍛えている。
まあリョウコがそれでいいのなら、まあいいかと思いながら、オレはお出かけなのに筋トレをするリョウコの姿を見ていた。
ランニングをして汗をかくリョウコの姿を見ていた。
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