第73話

 地下迷宮第一層に出現するモンスターはオークだった。

「どうやら地下迷宮第一層のモンスターはオークみたいだな」

 オークというのはあの宿屋で食事として出てきたことのあるモンスターのことだろうか。

 この地下迷宮第一層のモンスターを討伐して、オークの肉を手に入れておくべきだろうか。

 オークの肉はうまい。

 オレは大魔法使いの職業のまま、ファイアーボールを使ってモンスターを討伐していく。

 そして全員で先へと進んでいく。

 地下迷宮を進んでいく。

 と、エルマは言った。

「みんな、目標は地下迷宮の下層だから、できるだけマジックポイントを使わないようにしましょう」

「ああ。そうだな。地下迷宮の下層は100だ。地下迷宮第100層まで行くのだから、できるだけマジックポイントは使わないほうがいいだろう」

 というオレ。

「地下迷宮の下層は……最下層は100層なの?」

 というのはエルマ。

 エレンは言った。

「サトウ……お前すべてを知っているような顔をしているが……このダンジョンを攻略したことでもあるのか?」

「まさか……オレはこのダンジョンを攻略したことなんてないっ」

 それを知っているのは大賢者だけだ。

 まあでもいちいちエレンたちが驚いているけど、それについてまでは話す必要はないだろう。

 あまりにすごすぎる能力は、取り扱いが難しいようだ。

 グレアが人間に嫌われる理由がわかった気がした。

 オレは少し考えたあと、大賢者に聞いた。

 大賢者、マジックポイントを温存しながら楽にダンジョン攻略をする方法ないのか?

 大賢者は答える。

 モンスターとの戦闘を極力減らせばよいでしょう。

 なるほど。

 たしかにモンスターとの戦闘を減らせば、無駄なマジックポイントを使わなくてすむ。

 大賢者は言った。

 大賢者、ダンジョンのマップ開けるか。

 開けます。

 さっそく道がわかれていた。

 大賢者、道が二つに分かれているが、どちらの道に進めばいい。

 はい。右の道に進むと、その先には宝箱があります。

 そして大賢者は答えた。

 はい。まっすぐの道に進むと、地下迷宮第二層へと続く階段があります。

 どちらの道に進みましょうか?

「なるほど。なら宝箱をとるか」

「?」

「?」

「?」

「?」

 なんだがひとり言が多いな、という顔をしているのはエルマ、エレン、アレク、サックの四人。

 グレアはというと、むしろオレがそうしていることは普通のことであるような、そんな行動は当然であるような顔をしている。

 ならオレたちは右手の道に進み宝箱を入手してから、地下迷宮第二層への道を進む。

 宝箱の中身はポーションだった。

 元きた道に戻り、進んだ先では、道が三つに分かれている。

 大賢者、どの道に進めばいい。

 右の道を進むと、その奥には宝箱があります。

 左の道は進めば行き止まりです。

 まっすぐの道は地下迷宮第二層への階段へとつながっています。

「なるほど」

 オレはまたひとり言をいっていた。

 大賢者の能力に付き合っていると、ひとり言が多くなるから困る。

「?」

「?」

「?」

「?」

 エルマ、エレン、アレク、サックはオレのことを見て、なんでこいつはひとりごとばかり言っているのだろうと、四人は首をかしげていた。

 大賢者、これからは自分で行動するから、マップを表示してくれているだけでいい。

 イエス。

 宝箱とか、レアアイテムの位置情報はわかるか?

 イエス。

 マップにアイテム、そしてレアアイテム、地下迷宮につながる階段の位置情報を表示しました。

 おう。

 サンキューな。

 宝箱の絵がかいてあるところがアイテム。

 かっこいい宝箱があるところがレアアイテムだ。

 オレはレアアイテムのある場所まで向かい、宝箱を開いた。

 マジックポーションを手に入れた。

 マジックポーションを使えば、マジックポイントを回復することができる。

「!」

「!」

「!」

「!」

「サトウ、やるわねっ。レアアイテムじゃない」

 というエルマ。

「サトウ、お前、本当にこのダンジョンにきたことがなかったのか? 実は来たことがあるんだろうっ」

 というエレン

「ないよ。オレは職業大賢者だから、アイテムの場所がわかるだけ。レアアイテムの場所がわかるだけ」

「もしかして……なんでもわかるのか?」

「いいや、オレにわかることは……知っている事だけだ」

 というオレ。

 大賢者が知っていることだけだ。

 さて、アイテムを一通り入手して、地下迷宮第二層へとつながる道を進んできたら、そこにはモンスターがいた。

 オークがいた。

 あまりマジックポイントは使わずに進みたかったが、まあ仕方がない。

 ここにいるオークは討伐していこう。


 オークLV20

 オークLV22

 オークLV24


 オークは三体いる。

 オレは大賢者から職業を大魔法使いへと変更させた。

 魔法を使う。

 それは無詠唱の魔法。

「ファイアーボール!!!」

 大魔法使いの魔法の威力はすごすぎる。

 グレアの魔法の威力もやばかったが、大魔法使いの魔法の威力も同じくらいにやばい。

 火の魔法でオークLV20の身体は消し炭になった。

 火の魔法でオークLV22の身体は消し炭になった。

 火の魔法でオークLV24の身体は消し炭になった。

 しまった。

 オークの肉を入手するつもりだったのに、また消し炭にしてしまっていた。

 グレアには魔法の威力を簡単に弱めろっていっていたけど、魔法の威力を弱めるのってけっこう難しいんだな。

 とオレはそう思いながら、消し炭になったオークを見ていた。

 オークを倒した道の先には、地下迷宮第二層へとつながる階段があった。

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