Icona Pop - Feels In My Body

 Zara Larssonからバトンを受け取った第68回は、同郷スウェーデン・ストックホルムにて2009年に結成された、エレクトロハウスとインディーポップに影響を受けたエレクトロポップ・デュオ──Icona Popより『Feels In My Body』を聴いていきましょう!


 スウェーデン人の母とスウェーデン系フィンランド人の父を持つCaroline Hjeltと、フィンランド人の母とガンビア人の父を持つAino Jawoは、ストックホルム内の音楽学校に通っていた一歳差の先輩・後輩関係です。二人は2009年2月に開かれたパーティーで偶然出会い、意気投合──デュオ結成の意向が固められます。「ドラムとシンセを用いたクラシカルなポップ・メロディー」と自らを表現する彼女らの音楽の親和性は高く、結成4週間後には早速楽曲製作が始まっていたといいます。


 一見して、Icona Popとしての彼女らの挑戦は、その場のノリと勢いで始まった見切り発車とも言うべきものに感じられますね。ですが、彼女らの才能はすぐに世間の耳目を集めることとなりました。


 2012年、セルフタイトルのデビューアルバム『Icona Pop』のプレリリース『I Love It』は、スウェーデンの公式シングルチャート・Sverigetopplistanにチャートイン──イギリス人歌手・Charli XCXをボーカルに迎えた当該楽曲は、2012年に発売されたレースゲーム『Need for Speed: Most Wanted』に始まり、2013年1月よりコカ・コーラ社発のダイエットコーラ・Coca-Cola Lightのドイツ国内テレビCM、MTVのテレビシリーズ『Snooki & JWoww』のテーマ、HBOのコメディドラマ・テレビシリーズ『Girls』にティーンドラマ『The Vampire Diaries』の挿入歌としても採用されるなど、空前絶後のメガヒットを記録。日本でもSamsung Galaxy S4のCMソングとして使用されたなど、既にこの曲を耳にしたことがある方もきっと居るでしょう。


 その夏、湾岸都市・ヨーテボリで開催されたEDMフェスティバル・Summerburstに出演し、ストックホルム・スタジアムで開催された国際フェスティバルのオープニング・アクトとして登場するなど、表舞台での活躍も増えてきたIcona Popの人気は鰻登り! 英・NME, The Guardian、米・Rolling Stone, Pitchforkなど、大手専門誌からも多種多様な称賛を受け、スウェーデン国内のみならず、イギリス、ドイツ、イタリア、カナダ、香港など世界各国に活躍の場を広げ、Miley CyrusやKaty Perry, One Directionといったトップアーティストのツアー・サポートを務めるなど、手広く着実にファンの心を掴んでいきます。


 とはいえ、同時期に発表されたシングル『Get Lost』以降、Icona Popの国際的な注目度は次第に下降線を辿ってしまいます。当時、彼女らの代表曲のひとつ『We Got The World』が米・ミュージカルコメディ映画『Pitch Perfect 2』の劇中歌として採用されたり、翌2016年にはスウェーデン版グラミー賞とも呼び声高いGrammisの開会式にてZara Larssonと同じ舞台に立ち、新曲『Someone Who Can Dance』を披露するなど、業界での影響力は依然として凄まじいものがありましたが、1stアルバムが巻き起こした旋風を想起させるような爆発的ヒットには至りません……。


 「いやいや、最近だってIcona Popの魅力が詰まった良曲は沢山あるんだぞ!」との思いを伝えるべく、今回紹介するのは2020年という比較的最近リリースされたシングル『Feels In My Body』です! 普段はダンスポップなんて滅多に聴かないという方も、興味はあるけど食わず嫌いしてしまうという方も、彗星の如く現れ、グローバルに名声を獲得してきた天才デュオが紡ぐメロディーに心躍らせてみるのは如何でしょうか……?


[Verse1(0:00~)]

「ホテルの明かりを見つめ続けてたのよ、一晩中」

「この衝動を受け止めてくれる誰かを待ってるの」

「皆起き上がっても、私は深夜テンションのまま」

「この持て余した気持ちを発散できるパーティーを探してる」


[Pre-Chorus(0:15~)]

「剥き出しの感情が私の身体を貫くのよ、電流が走るみたいに」

「私の心はこの音楽に開かれてる、自動ドアみたいに」

「自分の感情すら制御できない」

「もっと正直にならなくちゃ」

「ありのままの自分で」


[Chorus(0:30~)]

「身体の中で感じるもの全て」

「もうコントロールなんてできない」

「孤独なんかじゃないわ」

「身体を駆け巡る感覚がとまらないの」

「今にも舞い上がりそうなくらい」

「今はもう孤独じゃない」


 身体中を駆け巡る衝動──それを発散できるのも、自分の気持ちに素直になれる瞬間も、音楽を聴いているときだけ。そう、音楽と共に踊っている時は自分がありのままで居られる時間であり、その瞬間だけは孤独を感じないで済むのだという音楽への愛に溢れた歌詞ではないでしょうか。


 いつものように複雑で色々と考えさせられる深い内容の歌詞も考察し甲斐があって好きですが、たまにはこのような単純明快かつキャッチーなメッセージも良いものですね!


[Chorus(1:02~)]

繰り返し


[Verse2(1:18~)]

「野生児みたいにずっと街を駆けずり回ってた」

「この気持ちを共にできる誰かを探し求めて、でしょ?」

「もしそれが貴方なら、月よりも高いところまで連れていくわ」

「一緒にいきましょう、そしてあの景色を貴方にも見せてあげたい、それだけなの」


[Pre-Chorus(1:34~)]

繰り返し


[Chorus(1:49~)]

繰り返し


 僕にとって、スウェーデンのハウス・ミュージックといったら随分と前に取り上げたSwedish House Mafia一択と言って良いほど、昔からのファンなのですが、Icona Popのようにややポップ寄りのメロディーも楽しげがあって、気負わずに聴き入ることができるので良いですね!


 個人的な話ですが、数年前にオーストラリアへと留学していた僕は、当時通っていた学校で出会ったスウェーデン人の同級生がタブレットでイヤホンもせず大音量で流していたIcona Popの楽曲を通じて意気投合したものです。やはり音楽は世界共通語なのだなぁーと、身を以て体感しました出来事として僕の胸に深く刻み込まれています。読者の皆様も、今後北欧出身者の外国人と仲良くなる予定がありましたら、是非とも親交を深めるためにIcona Popや前回のZara Larssonなどを深堀りしまくっちゃってくださいな(笑)。



 †††



 ※本作における改行後の連続する「」内は主に作品タイトルとなっている楽曲の歌詞の一部分又はその翻訳です。今回はIcona Pop - Feels In My Bodyから引用しております。


 ※本作品は、著作権法32条1項に依拠して公正な慣行のもと批評に必要な範囲で「引用」するという形で楽曲の歌詞を一部和訳しております。文化庁は引用における注意事項として、他人の著作物を引用する必然性があること、かぎ括弧をつけるなどして自分の著作物と引用部分とが区別されていること、自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること、出所の明示がなされていることの4要件を提示しておりますが、本作品はいずれの要件も充足していると執筆者は考えております。


 ※カクヨム運営様からも「カクヨム上で他者が権利を有する創作物の引用をすることは可能ですが、その場合は、著作権の引用の要件に従って行ってください。また、外国語の翻訳は書き方にもよりますが、引用にならないと存じます。」という旨の回答によってお墨付きを得たものと解釈しております。


 ※ただし、歌詞原文の全てを掲載することは引用の範疇を越えると思われますので、読者の皆様は紹介する楽曲の歌詞をお手元の端末などで表示しながら、執筆者による独自の解釈を楽しんでいただけると幸いです。

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